電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モンゴメリ『アンの愛情』を読む(3)

2009年11月26日 06時17分54秒 | -外国文学
モンゴメリ作の『赤毛のアン』シリーズ第三巻、『アンの愛情』を読んでいます。物語は中盤をすぎ、いよいよ佳境に入ってきました。

第21章「きのうのばら」、第22章「アン、グリン・ゲイブルスに帰る」。アンは、フィルと一緒に彼女の帰省先であるポーリングブロークを訪れ、滞在中に自分の生家を訪ねます。訪ねあてたその家で、アンは両親の若い日の話を聞き、古い手紙の束をもらいます。アンの赤ん坊時代、父と母が綴った愛情と信頼に満ちた書簡が12通。これは貴重な、まさに「昨日のバラのように」よみがえる、何物にも代えがたい「時の贈り物」でした。アヴォンリーに帰ったアンを迎えるマリラは、双子を育てているうちに、ずいぶん柔和になったようです。

第23章「山彦荘の人びと」、第24章「ジョナス登場」。ギルバートの求愛を拒絶したものの、空虚感は消し去ることができません。しばらくぶりに山彦荘に帰ってきたラヴェンダー夫妻とポール、シャーロッタ四世との再会に喜びますが、ギルバートの不在はこたえます。ましてやあのフィルが牧師の卵ジョナスを真剣に愛し始めているときに。アンの心は揺らぎます。

第25章「美しの王子登場」、第26章「クリスチン登場」。アンの前には絵に描いたように立派な青年ロイが、ギルバートの前にはクリスチンが登場、アンはロイの洗練に心をときめかせますが、ギルバートとクリスチンの姿に心が波立つものを感じます。

第27章「打明け話」、第28章「六月のたそがれ」。若い娘たちの、いわゆる無意識のコケットリーもなくはないのでしょうから、アンとギルバートは、それぞれにそのときは楽しかったのではないかな。ただし、ロイとギルバートとの違い=それはユーモアを解するかどうかという点です。美辞麗句が好きなアンにロイの洗練と真面目さは似合うのでしょうが、ロイにはギルバートの明るいユーモアはないのですね。フィルはジョナスとの結婚を決意、そしてダイアナももうすぐフレッドと結婚するのです。このあたりも、アンには無意識のうちにプレッシャーになっていたかもしれません。

第29章「ダイアナの結婚式」、第30章「スキナー夫人のロマンス」。ダイアナの結婚式のはずなのに、描写はギルバートとの関係が中心です。求愛を拒絶されたギルバートは、それでもアンとペアで出席したのですね。ギルバート君、立派です。古い友人の結婚式を、欠席などしてはいけません。
そして、スキナー夫人のロマンスの章の主題は、幸福について。幸福は必ずしもお金や立派な家にはないことを、素朴な形で示しているのでしょうか。実際、お金がないのは生活上困るけれど、お金がたくさんあるから幸福とは限らない、というのは正しいと思いますね。どちらかといえば、ないよりはあったほうがいいとは言えますが(^o^)/

(*):モンゴメリ『アンの愛情』を読む(1),(2),(4)~「電網郊外散歩道」より

写真は、黄花の食用菊です。

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