事のなりゆき

日々のなりゆきを語ります

前兆・・・

2010-03-12 17:23:20 | Weblog
暖かくなって心配になるのが、雪崩や地すべりだ。きょうも蔵王のライザスキー場で雪崩があったよう

だ。これからしばらくは雪崩に注意が必要だ。小生はどうも災害づいているようだ。新潟県内の大きな災

害はだいたい小生が記者もしくは管理職の時に発生している。今は危険な箇所に手厚い保護がされている

場所が多いためか、近年は大規模な雪崩や地すべりは発生していない。

 ニュースが終わってのんびりしていた午後7時ころに一本の電話があった。国道が地すべりのために通

行止めになったとの一報だった。建設省国道工事事務所からの連絡だった。現場の詳細はわからないとい

う。ただ大量の土砂が道路をふさいでいるという。場所は富山県境だ。当時は高速道路がなく、急いでも

3時間以上はかかる。けが人がいなければ、これからのニュースに入れる必要はない。ところが数分後警

察からの連絡で部内は騒然となった。少なくても10人が生き埋めになり、5棟あまりが全壊していると

いう。大変なことになった。のんびりムードが一変した。取材クルーばかりではなく、中継車も用意し

た。何時に現場に着けるか、映像は何時のニュースに入れることが出来るのか、すでに東京のキー局から

問い合わせの電話が来た。当時は石川県に系列局がなかった。新潟から行くしかない。小生が飛び出し

た。とにかくできるだけ早く映像を入れなければいけない。

 夜中に着いたが、現場はすごかった。救出は進んでいなかった。山全体が崩れたように見える。なぜこ

んなことになったのか、防ぐことができなかったのか。様々なことが頭に浮かんだが、今はそんなことよ

り事実を報道するしかなかった。土砂の間から人の手がでているところもあった。大量の土砂で、位置関

係がまったくわからなかった。徹夜での救出作業が続いた。取材は救出の様子を丹念に追った。救出され

た遺体にカメラを向けて、殴られたカメラマンもいた。助かった人にインタビューを撮ろうと救急車の中

までマイクが突っ込み、怒鳴られた。

 夜が明けて現場の概要がわかった。驚くほどの規模だ。発表によれば地すべりは長さ110m、幅70m、

推定移動土塊量4万立方メートルだ。結果死者10人、重軽傷者4名。全壊住宅5棟、半壊住宅2棟。

 山の山頂近くに住んでいる人はこんなことを言った。数日前に頭の上の神棚がかたかたと小さく地震で

もないのに揺れたというのだ。変だなと思ったが、特にだれにも連絡をしなかった。もしかして、地滑り

はその時から始まっていたのかも知れない。少しずつ地盤が動いていたのかもしれない。その時異常を誰

かに知らせていれば、防げていたかもしれない。前兆だったのかもしれない。

1985年2月15日午後6時25分発生。新潟県糸魚川市(旧西頚城郡青海町)玉ノ木地すべり。

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