11月県議会で、島根県議会の「慰安婦決議撤回の請願」が不採択となった事は、間違っていようとも押し通さなければメンツにかかわる、と自民党会派の″島根版ドンもどき”の面々が思ったからに違いない。欧米議会では決してあり得ない党議拘束などで自分たちの意見に従わせ る、そして新人若手も”新風・活力”どころか党派を超えて恭順し反論さえしない。こんな事では自民党も予定調和的な県議会もいずれ分解するだろう。マスコミの対応は、記事にしたのは産経新聞だけで他社はいつもの通り黙殺している。県立大学浜田キャンパスの問題も慰安婦問題と通底しており、関心を持ち取り上げようとした記者は極めて例外的で、みな申し合わせたかのようにだんまりを決め込んでいる。反対討論で予見した事が、奇しくも韓国釜山市で慰安婦少女像が新たに設置され現実となった.流石に外務省も今度ばかりは動きを見せたが・・。県議会の無関心は県民の無関心。マスコミの責任は大きい。私は左翼ではないが決して右翼でもない。以下議会で行った反対討論を原文のまま記載。
反対討論 2016.12.16
請願第14号「平成25年6月26日付で決議された〝日本軍慰安婦問題への誠実な対応を求める意見書″の撤回決議を求める請願」に賛成し、不採択とした委員長報告に反対する討論を行います。 平成25年、「慰安婦問題に関する意見書」決議は、全国都道府県の中で京都府と、島根県だけであり、市町村を含めると43の地方自治体で決議されました。松江市議会は、同様の陳情を「歴史的経緯などを研究する必要がある」として継続審査とし、その後不採択としていますが慧眼であったという他ありません。
平成26年11月、「25年6月に採択された意見書決議を撤回し、国に対し慰安婦問題に関する適切な対応を求める」請願が出されましたが、島根県議会はこれを不採択としました。この採択に先立ち同年6月、政府による「従軍慰安婦問題への旧日本軍の関与と強制性を認めた1993年の河野談話に関し有識者チームの検証報告」が国会に報告され、河野談話が日本と韓国が水面下で綿密に文言調整し作成されたという経緯が明記され、元慰安婦証言の裏付け調査を行なっていなかった事が指摘されました。又、韓国が日本に金銭的補償は求めない事を条件に強制性を認め謝罪するよう要求。談話の原案が元慰安婦への聞き取り調査終了前に作成されていたことも明らかにされました。
日本がこうして韓国の要求を容れ強制性を認めて4年後、韓国の柳宗夏外相は約束をたがえ元慰安婦へ国家賠償を要求。石原元官房副長官は、女性たちの名誉が回復されるという事で強制性を認めたが、国家賠償の前提としての話だったら、通常の裁判同様、厳密な事実関係の調査に基づいた証拠を求めていたはずだと、述べたものの、時すでに遅く善意で応えたつもりが、手玉に取られ「強制性」は以後独り歩きし、動かぬ証拠と国際社会から糾弾される事になります。我が総務委員会でも、まさにこの事を強制性を示す証拠だと指摘する委員がいましたが、善意で対処した事が出し抜かれたと証言されている事は認識して置かねばならない事であります。続く8月には、朝日新聞が報じ続けた吉田清治なる人物の韓国での慰安婦狩り出し証言は虚言であったと、それまでの報道を取り消しました。強制連行や従軍慰安婦が性奴隷であったとする証言が一気に崩れ去り、河野談話の信ぴょう性が崩壊、全国的に地方議会で次々と「河野談話の見直し、慰安婦是正を求める意見書」などが採択・決議され、京都府議会でさえ以前の意見書決議を修正する動きとなりました。相も変わらず韓国やこれを支援する左翼団体に同調して河野談話をそのまま正当化しているのは、全国で島根県議会だけとなりました。
今回、改選された議員に歴史認識を問うべくあらためて「慰安婦決議撤回を求める意見書」が提出されました。戦中を生き抜いた方々も、流石にいつまでも汚名を着ているわけにはいかないと立ち上がられて提出者に名を連ねられたのだと思います。
今回総務委員会では、委員から「なぜ今頃慰安婦問題なのか」とか、「昨年末の従軍慰安婦問題は、最終的かつ不可逆的に解決される事が日韓で合意されたので今更撤回は必要ない」との意見がありました。あまりに暢気すぎないでしょうか?合意は、元慰安婦への支援であって慰安婦動員の強制性などを巡る歴史認識について合意したわけではありません。今後、教科書への記述や「竹島問題」など歴史認識問題が再燃する事は必至であります。従軍慰安婦少女像の撤去に関しては、米国など諸外国との問題解決に何の見通しも立っていません。「国連女子差別撤廃委員会」を初めとする国連機関にも国内左翼団体等からの政治工作が及んでおり、地方議会としても事実を直視、歴史認識問題は継続して息長く取り組んでいくべき重要な課題であります。
別の委員からは「本人の意思としてではなく慰安婦として買春行為をしなければならなかった事が問題」との意見がありましたが、既に3回も提出されているにも拘らず、何が問題で争点となっているのか請願の意味がよく理解されておらず残念と言う他ありません。また「強制性は河野談話で明確に述べられており、政府見解である。学説では通らない。政府見解を地方議会としても踏襲すべきだ」とこれまで同様の意見の表明もありました。米政府はクリントン・ブッシュ両政権下で、国防総省、国務省、中央情報局、連邦捜査局などの未公開の公式文書を点検すべく、戦争犯罪に関する資料の公開が指示され、2000年から8年かけてドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査が行われました。そのうち日本に関するものとしては「日本帝国政府開示法」に基づき、日本に関する文書の点検基準を「日本軍統治地域女性の性的目的のための組織的奴隷化」にかかわるものとし、それ等文書を発見し報告するよう指示されたものです。07年に行われた調査報告では「慰安婦関連」は皆無であり、その後「20万人もの女性を強制連行し性的奴隷にした」という主張が虚構であり、米議会の非難決議や、クワラスワミ報告など撤回を求めるべきだとする主張の根拠となっています。こうした事実を重ね合わせ、なぜ「朝日新聞の虚報問題」や「河野談話検証」がいつまでたっても理解されないのでしょうか?それともそもそも理解する気など頭からないという事なのでしょうか?断っておかねばなりませんが、この請願はメンツというレベルで判断してはなりません。県民の利益、国益につながる話だと思うからです。
下條正男教授は、竹島問題を放置してきた事で教科書問題や慰安婦問題などで韓国から攻勢を受ける隙を作ったのだと主張されています。島根県議会は竹島問題では政府より積極的な取り組みが為されたにも拘わらず、慰安婦問題では隙だらけと言う他ありません。加えて、日韓漁業協定による暫定水域の設定は、本来日本の海とする好機をみすみす逃したばかりでなく、「乱獲の海」としてしまった事、そしてまた、我が国の領海であるにも拘らず尖閣諸島がらみでの「日台漁業取り決め」で安易に「共同管理水域」を設け国益を損ねる結果を招いてしまっていると批判しています。つまり、難問題を先送りし戦略的対応を怠ってきた事で日本の利益を損ねる愚を重ねてきたのは、国家主権に関する問題を持続的に研究する機関がないからだと問題提起されています。韓国の「東北アジア歴史財団」や中国の「国家海洋情報センター」に比肩するものがない、との指摘は傾聴に値するものだと思います。
中国、韓国は自らの国益のために、これからも歴史問題をカードとして日本封じ込めにしつこく利用してくると言われています。特に竹島問題を抱える島根県としては、歴史認識問題に直面し続ける事から慰安婦問題への対処を自ら 正し、歴史を正しく理解しておく事が、隣国と適切かつ良好な関係を構築するうえで必要不可欠だと考えます。その為にも史実を積み上げての地道な歴史研究が欠かせません。
今回の請願は高齢者の方々にとってその思いを遂げる最後の機会かもしれません。私達の父や祖父同様、日本人として、先の大戦で命を懸けて国を守ろうと戦い抜き、そして戦後を日本復興と繁栄に尽くしてこられた先達に、後世代の私達が外国の貶めようとする手前勝手な思惑に負けて、汚名を着せるわけにはいきません。そして後に続く我々も、中国や、韓国の言いがかりは断固拒否しなければなりません。
皆さんの冷静で常識ある判断を期待し反対討論と致します。
(島根県議会議員 成相 安信)