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スキャン代行を標的ってのは矛先違ってるんじゃないかと

2011-12-21 22:55:31 | Mac,ガジェット
作家センセー達が、紙の書籍をスキャンして電子化する、
自炊と呼ばれる作業を代行する事業者を相手取って提訴しましたね。


 東野圭吾さんら作家7名がスキャン代行業者2社を提訴――その意図


提訴したのは浅田次郎氏、大沢在昌氏、永井豪氏、林真理子氏、東野圭吾氏、
弘兼憲史氏、武論尊氏の7人となっておりますが、きっと他の著作権者、団体、
あるいは出版社等の後押しなんかもあったんじゃないでしょうかね。

出版社のような大企業が零細なスキャン代行業者をいじめてるという構図よりは、
個人事業主である作家センセーが提訴したほうが世間の同情も得られやすいと
考えているんじゃないでしょうか。


問題としているのは、ユーザーが私的目的で使用する範囲内ではコピーも合法だけども、
代行業者ではそれにあたらないため、著作権法の複製権侵害に当たるというものです。

それとは別に、原告となった7名それぞれの言い分はこういうものです。


 スキャン代行業者提訴で作家7名はかく語りき

 裁断された本、私はあれを正視に堪えない――浅田次郎

 悪貨が良貨を駆逐してはならない――大沢在昌

 “本”の尊厳が傷つけられている――林真理子

 漫画家や小説家は将来成立しなくなる恐れも――東野圭吾

 業界の存続、作家のモチベーションにもかかわる大きな問題――弘兼憲史氏

 知ってもらうことが一番大事――武論尊

 スキャン事業者は創作基盤を破壊する可能性のある業態――永井豪


最初に言っておきますと、自分は雑誌などの著作物の自炊をしてるってことで、
代行業へというか、自炊する人々のニーズ、自炊そのものへの理解が、
おそらくあるほうだと思われます。

だからといいますか、この提訴には否定的な立場でおります。
以下に書くことも、必然そういう論調になっております。


ってことで率直に言いますと、何が悪いんですか? と。

自炊代行が著作権侵害だというのは、代行するというのが
コピーを助長するように見えるからなのでしょうか。

しかし代行とは言え、自炊の主体、コピーの主体はあくまで依頼者のはずです。
自炊代行業者は単なる作業の代行であって、著作物複製の主体ではありません。
ところが依頼者でなく代行業者を標的にするのことに違和感が拭えません。

だって自分自身でスキャンするのも、誰かにスキャンを依頼するのも、
著作物をコピーする意思を持っているのは依頼人のほうであるのに、
依頼されたほうが罪になってしまうのは、いかがなものでしょうか。

ま、このへんの解釈なのでしょうけれども。

自炊をバンバンすることは許されて、ちょっと頼まれてしまうことは違法って、
どうも腑に落ちません。


それに原告によりますと、こうやってスキャンされる書籍が増えると、
ネットにコンテンツが不正に流通するとか言うのですが、
それならなおさらコンテンツの流通と自炊代行とは関係ないですよね。

だったら不正に流通させる行為を取り締まるべきです。

自炊業者がコンテンツをネットにアップして不正な利益を得てるのならば、
それはそれでその行為を突き止めて、自炊代行とは別に訴えるべきでしょう。


で、原告のような著作権者としてはこうなるのでしょうか?


作品がスキャンされて電子化されて違法に流通されちゃうと困るよ、
死活問題になり得るよ、

自炊は個人で楽しむ範囲なら違法ではないのはわかるけども、
ネットに流通するのをどうやって食い止められるだろうか?

あ、ひょっとして、スキャンを代行を止めさせればいいのじゃないか?


ってことで、誰を悪者にしたらいいかということで、
それがスキャンの依頼主ではなく自炊代行業者になったという、、、
自分の妄想ですけれども。

ま、わかりませんが、そんなカンジで代行業者を攻撃するんだとしたら、
やっぱり矛先が違うんじゃないでしょうかねえ。


自分だって雑誌をスキャンしてますが、
そのコンテンツをネットで流通させようと思えばできてしまうのですよ。

問題はスキャンじゃなくて、そこから先、ってのは明らかですね。


上の記事には本が裁断されて哀しいってな作家センセーの感傷的な言葉がありますが、
こうしてタブレットを含むPCやスマポンで書籍を楽しめることができる今や、
書籍は紙という物理的な必然を持たないコンテンツなのですよ。

で、自分にあった端末あるいはスタイルでそのコンテンツを楽しみたいと、
もうみんな思ってますし、そういう時代になったのです。


であれば、物理的な制約を受けることなく書籍などを楽しめるのなら、
紙であったモノを電子化したいという欲求が現れるのも当然です。


それに、自炊代行されるのは必ずしも著作物とは限りません。

例えば自分は年賀状をスキャンしていますし、
他には学生時代に使ったノートやらをスキャンしたいという人もいるでしょう。

単純にスキャン代行をNGとしたなら、
そうした純粋なニーズまで摘んでしまうことにもなりかねませんが、
それはいいのでしょうか。

ま、著作物の自炊代行については拒否すべきということはあるかもしれませんが。


ところで、自炊を行っている者として言わせてもらうと、
なぜ業者に自炊を依頼するかというと、書籍を裁断する手間があるのが
一番の理由ではないかと思うのですけどね。

スキャンはスキャンでたまにエラーが出たりもしますから
面倒くさくないってワケではないのですが、順調ならすぐ済んでしまうものです。
それに比べると裁断は気を遣いますし体力も時間も使いますから。


でもやっぱりですねえ、スキャンというコピー行為の主体はあくまで依頼者であって、
依頼はいいけど代行行為を違法、とするのは無理があるように思いますけどねえ。
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