柳通り便り

アメリカでの勉強と仕事に関するよしなし事

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聴くという武器

2011-01-06 17:20:15 | Weblog
明けましておめでとうございます。

去年の目標のなかに、「毎日、仕事関係の本を読む」というのがありました。色々と読んだ中で、一番教えられたのがこの本。

We've Got To Start Meeting Like This! How to Get Better Results with Fewer Meetings
Robert C. Kausen

会社でする会議の効率を上げるにはどうしたら良いか、と考えて読んだのですが、会議を越えて、ひろく人とのコミュニケーション一般に、非常に役に立ちました。

本の主なメッセージは、「聴く事」の重要性です。仕事人どうしの会話・会議で、お互いが言いたいことを言いあい、何も合意に至らず、不満が残ったまま去る、ということがよくあります。この原因は、「人は、自分の話をちゃんと聴いてもらったと感じるまでは、相手の話を聴くことはない」という法則です。そこで筆者(私ではなくて Kausen)は、"Reflective Listening" という聴き方を提案します。

・相手の言うこと、立場を完全に理解するまでは、口をはさまない(はさむのは言っていることを理解するための質問だけ)
・同様に、相手が喋っているときに、自分の頭の中で、言っていることが正しいかどうか考えたり、賛成論、反論を作ったりしない
・相手が誰であっても、上記のように、相手を尊重して聴く

アメリカでは「喋ってアピールしなきゃいけない」という強迫観念を誰もが持っているので、この考え方は、大きな発想の転換でした。
この聴き方を実践したところ、会議は効率が上がり、メンバーも私の言うことを、もっと聴いてくれるようになりました。「自分のほうが立場が上だから聴け」「自分のほうが正しいから聴け」というふうに思いがちですが、「自分は君の言ってることを理解した上で、こういう提案をするから、考えてみてくれ」というメッセージのほうが、はるかに効率的です。

この本、流行していないどころか、なんと廃版です。しかし最近はアマゾンが古本を売ってくれますので、興味があれば取り寄せて読んでみて下さい。短かいし、英語は平易です。

ところで、私は、実践している、といっても、忙しかったり、白熱すると忘れてしまい、「聴いてないじゃん!」と怒られることもあります。そういうときは潔く「ごめん、聴いてなかった」と謝って、やり直しです。
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自分のしたい事・自分にできる事

2010-08-09 03:17:30 | Weblog
仕事は、自分のしたい事を選ぶ、という考え方が一般的になってから、暫く経ちます。日本でもアメリカでも、ここ20年くらいの考え方でしょうか。「で、どんな仕事したいの?」「いや、まだ良く分かりません」という会話に、皆さんも訊く方ないし答える方の立場で、参加したことがあるでしょう。

ところが、この「自分のしたい仕事」というが厄介です。なぜかというと、完全に楽しい仕事というものは無いから。仕事をしている時間のうち、100%の時間を楽しく過ごせる仕事、というものは、存在しないか、やっても仕方のない仕事だと思います。

仕事をしているときの気分を、4つに区切ってみましょう。

1. こんなこと嫌だ。辞めてやる。
2. つらいけど、なんとか耐えていこう。
3. 快適に、充実感をもってやってる。
4. すごく楽しい。この仕事すごく好き。

3と4の割合が多い仕事、というのが、いい仕事です。そういう仕事に着いていたとしても、1と2が無いということはないと思います。

「自分のしたい仕事」を追い求めていく危険は、4が100%でなければ、これはいい仕事ではない、という錯覚に陥るからです。そうすると仕事に不満が募り、不幸になります。あるいは、仕事に着くのが面倒になったり、怖くなります。

3と4を増やすには、「自分のしたい事」よりも、「自分にできる事」を求めてみてはどうでしょう。
仕事の喜びは、内容が楽しいというよりも、何かを成し遂げたときの達成感、充実感にあるようです。

私は、二十歳くらいのときに、名古屋大学の北部生協食堂で、定食を食べた後、散歩していて、突然悟ったことがありました。自分には、するのが好きなことはたくさんある。音楽、スポーツ、文学。けれども、人並み以上に、今からなれそうなものは、一つしなくて、それはソフトウェアを書くこと。

その瞬間から、選ぶ必要がなくなったので、進路で悩まなくなりました。分野の中では、学者になりたいのか、社長になりたいのか、エンジニアになりたいのか、と言った迷いはありますが、小さな悩みです。

一日、本当に頭がちゃんと働くのはまあ6時間。人生のうちで、若者の特権である情熱と、向こう見ずな勢い、頭の柔軟性、年齢からくる経験と、時間をかけて勝ち取らなければいけない周囲からの信頼。この全てがそろう時間というのは、まあ10年から20年。

一度しかない人生で、何かを成し遂げようと思ったら、あっちこっちに手を出したり、好きだの嫌いだの言ってる暇はありません。自分にできることを見つけたら、直進あるのみです。
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スタートアップの成長曲線

2010-04-25 07:28:20 | Weblog
スタートアップの成長曲線は、子供と同じである、という話を聞きました。これはなかなか上手い比喩です。

子供は、毎月、同じ勢いで体重や身長が増えていく、ということはありません。良く食べて良く寝て、急速に成長する時期と、食欲も睡眠もそこそこで、それほど成長しない時期、というのを繰り返しながら大人になっていきます。

スタートアップも、毎四半期、少しずつお客が増えて行き、仕事の量も増えていく、という、スムースな直線的成長、という会社はあまりありません。ある時は、何ヶ月も、すごい勢いでお客が増え、お客がお客を呼び、仕事の量が急激に増え、社員は皆忙殺される。またある時は、何ヶ月も、新しいお客が現れず、懸命に物を作っても契約してもらえない。こういうサイクルを繰り返して、大きくなります。

社員にとっては、成長期も停滞期も、どちらも試練です。

成長期には、とにかく忙しい。働いても働いても、新しい仕事が入って来るので、終わりがありません。忙しさに耐えられず、辞める人が出たりすると、残った者にはさらにプレッシャーがかかります。また、私生活の忙しい時期と重なる、というのも悪夢です。私の娘が産まれた時が、ちょうどこういう時期で、目が回るような忙しさでした。今となっては良い想い出ですが。

停滞期には、チーム全体の士気が下がり、人心が荒みます。非難合戦が始まり、喧嘩に発展します。つらくなって辞める人が出ます。

大切なことは、このサイクルを認識することです。多忙も不況も、必ず終わりが来ます。辞めてしまうと、今まで積み重ねたことが無駄になりますから、サイクルから来るつらさを理由に辞めるべきではありません。

サイクルが認識したら、そのときにあった仕事ができます。忙しいときには、会社の成長を楽しんで、いつもより多く仕事をする。私生活では旅行などの大きなイベントは控えて、できるだけ休息しましょう。不況期には、普段はできないような仕事 - 勉強したり、ソフトウェアの内部構造を改良したり、仕事のプロセスを改善したりします。人心が荒むのを抑えるために、幸せそうな顔をして、機嫌の悪い同僚がいても、知らない顔をしていましょう。有給休暇を取るチャンスでもあります。

チンギス・ハーンのモンゴル帝国で重用されたのは、帝国初期に戦争に負けたとき、バルジュナ湖に落ち延びるハーンに最後まで付き添った数人の騎兵でした。富めるときも貧しきときも、一緒に乗り越えてこそ起業です。
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子育てと起業

2010-01-03 08:59:54 | Weblog
明けましておめでとうございます。

昨年の11月に二番目の、女の子が産まれたため、また投稿の間が空いてしまいました。今も抱っこしながらこれを書いています。

当然のことですが、子供ができると、家ですることが増えます。一日を順に追って行くと、

朝 6:45 長男が起きるので起きる
長男の着替え
月曜と金曜は洗濯
自分の朝食の支度
朝食
長男の学校の準備
長男を自転車で学校へ送る
8:40 の電車で会社へ
仕事
午後 6:00 仕事終わり
6:10 の電車で家へ
学校に寄って長男の自転車を持って帰る
長男、次女と遊ぶ
夕食
次女、長男を風呂に入れる
長男の着替え
長男に絵本を読む
9:00 長男が寝る
リラックスする時間。妻と話したり、本を読んだりする。
10:30 自分が寝る

というような感じ。こう書くと大変そうですが、実は本当に大変です。仕事は6時で終わらせないといけないので、一分も無駄にできませんから、常に真剣に仕事します。もちろん、もっと遅くなる日もあります。

さて、こう書いたのは、俺はこんなにがんばってるんだ、と言いたいわけではありません。

そうではなくて、家庭をもって、家事に参加して、妻も仕事をし(今は産休中ですが)、かつスタートアップで働く、という事が、可能なんだ、と言いたいからです。家庭があるからスタートアップは無理、あるいは逆に、スターアップで働くと仕事が忙しいから家庭は持てない、と考えてしまう人が多いような気がしますが、そんなことは無いと思います。

家庭に回す時間は捻出するために、仕事では、無駄な時間をぎりぎりまで削ります。

・しなくていい仕事はしない
・行かなくてもいい会議に行かない
・会議は必要最低限の時間で終わらせる
・政治は、どうしても必要なとき以外はしない
・同じ議論を一度以上しなくていいように、議事録を取り、アクションアイテムをフォローアップする
・行きの電車の中で、一日にする事を箇条書きにして、職場ではそれをこなす
・メールで解決できない問題は直接話して解決

アメリカは、家庭と仕事の両立ができるように、仕事には時間をかけ過ぎず、効率的にやって、家にかえって家族とのんびりする、というのを重視する文化を持っています。一般にアメリカの会社では、社員の多くは早く家に帰りたいと思っていますから、もっと効率的にやりたい、と言えば文句が出ることは殆どありません。去年は自分の仕事の効率化に専念しましたが、今年は、スコープを広げて、会社全体の効率アップを積極的に推し進めて行こうかと思っています。

成功を信じるスタートアップで働き、仕事も面白く、子育てにも参加できる、というのは、最高な幸せです。

これを可能にしてくれる妻と子供達、会社、そしてアメリカ社会に、多大な感謝をしつつ、今年もがんばります。

2010年 新春 次女の揺り籠を揺らしつつ
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この広大なアメリカ大陸に

2009-09-11 03:49:13 | Weblog
石川好という作家の、「ストロベリー・ロード」という本があって、私が好きな本の一冊ですが、それをまた読み返しました。アメリカで生きる日本人の気持を率直に書いてあり、また彼の回りにいる人々の描写が鋭くて、とても面白い。

1960年代。18歳の石川少年は、11歳年上で、アメリカで農業を営む兄から、「出て来い、この広大なアメリカ大陸に出て来い」という手紙をもらい、この殺し文句に説得されて渡米。英語が話せないのと、社会、文化の違いに苦しみながら成長していく、という話です。

石川少年と同じように、私がなぜアメリカに来て、アメリカで働き生活しているかを考えると、この殺し文句一言に尽きます。アメリカに来て働く人は、みんなそうなんじゃないでしょうか。広大な土地、可能性、それを追い求めるガツガツした人々、彼等を励まし育む文化。1960年代の農業でも、2000年代のITスタートアップでも、こういうものを追い求めて人々はアメリカにやってきます。これが、いわゆるアメリカンドリーム。

日本を離れて住んでみれば、日本のいいところに気付くようになります。家族はいるし、安全だし、魚はおいしいし、社会が環境問題に真面目に取り組んでいるし、人種差別されないし、技術的に面白い仕事もあるし。

それでも日本に帰ろうと思わないのは、私もアメリカンドリームに魅せられてるから。そして、自分の子供にも、アメリカンドリームを持って生きて行って欲しいから。

もう一つ面白かった点は、60年代の農業と、現在のスタートアップに、意外なほど共通点が多い、ということ。

・外国から移民がたくさんやって来て、一生懸命働く。
・海のものとも、山のものとも分からない移民を使わないといけないから、使う側は、大きな仕事をいきなり与えて、どれだけ頑張れるかで、その人の評価をする。これが一番手っとり早く、人の能力を見分ける方法だから。
・この試験にパスできれば、それ以前のこと、例えば祖国で何していたか、学歴、などは問題にならない。
・来たての移民は、必ず搾取される(低賃金で労働)。そこから抜け出すために皆努力する。

全く違う職種なのに、人を使い使われる基本的なアルゴリズムは変わっていません。

何十年も、農地で日本人、日系人が流して来た血と汗のおかげで、日本人、日系人もだんだんアメリカ社会で受け入れられるようになり、私自身もこうやって広大なアメリカの一角で仕事をすることができるわけです。

この有り難さを噛み締めて、自分の力に変え、多少の困難にはへこたれずに、日々前進していかないといけません。
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アーキテクトという仕事

2009-05-12 03:22:14 | Weblog
私事がいろいろあり、二ヶ月も空けてしまいました。申し訳ない。

5年くらい前から、「アーキテクト」という肩書を良く耳にするようになりました。ビル・ゲイツがしばらく「Chief Software Architect」だったので、それで知名度が上がったのかもしれません。

ソフトウェアエンジニアの出世コースとして、

Software Engineer -> Engineering Manager -> Vice President of Engineering

は昔からあり、今もこれに乗る人はたくさんいます。しかし問題は、マネージャーになったあとは、最前線で技術に携わる機会が減ることです。偉くなって下につく人が増えれば増えるほど、技術から遠ざかります。5年も10年もかけて、エンジニアとして技術を磨いたのに、技術を生かせないのはもったいない。また、優秀なエンジニアで、人の管理に時間を使うのは嫌で、技術に集中したい、という人もいます。

そこで、別の出世コースが開拓されたんだと思います。

Software Engineer -> Architect -> Chief Technology Officer

私は、アーキテクトという仕事は、エンジニアの延長線上にあり、経験を積んだエンジニアがなる、というくらいにしか思っていませんでしたが、それ以外の面が色々あるということがだんだん分かってきました。

プロダクト・マネージメントとエンジニアリングをつなぐ

プロダクト・マネージメントが何を作るかを決めて、エンジニアリングがそれを作るわけですが、往々にして対立が生じます。例えば、一ヶ月の開発期間があるとして、前者は、もう一つ機能を増やして欲しい。後者は、そうすると大変なので、増やしたくない。どちらの見方ももっとなので、両者のバランスを取らないといけません。

プロダクト・マネージメントは、技術的なことは分からないので、何が大変なのか分からないし、エンジニアは、技術に集中するので、その機能がどのようにお客さんの役に立つか、ピンと来ません。

アーキテクトには、両方の考え方を理解して、適切な妥協点を見付けることが要求されます。

製品全体を見る

エンジニアやエンジニアリング部門が、自分の作っているものだけに集中して、回りの部署のしていることを把握していないと、一つ一つの部品は動くけれども、全部品をまとめて製品にしたときに、部品同士が上手く動かない、という問題が生じます。

技術に優れたエンジニアでも、人並外れた集中力を持っているのが仇になり、自分の部品はものすごく良く知っているけれど、他の部品には興味が無いので何も知らない、という罠に陥いることがあります。

アーキテクトは、自分の部署の外の動きにも目を配り、自分の部品が、外の部品と協調できるように、気を付けないといけません。

正しいアーキテクチャを目指す

エンジニアの仕事で重要なことと言えば何といっても、時間内にソフトウェアを作る、ということです。結果として、ソフトウェアのデザインを選ぶときに、良いデザインではないけど、時間がないし、まあ動くから、簡単なやり方でいいや、という選択をしばしばします。

この妥協は絶対に必要ですが、やり過ぎると、内部構造がめちゃめちゃになってしまい、次回コードを修正するときに、大変な苦労を強いられるます。

アーキテクトは、一番簡単な実装に比べると、若干労力がかかっても、正しいアーキテクチャで作ろう、という方向性を持たなくてはいけません。正しいアーキテクチャ、というのも難しく、教科書に書いてあることが良いとは限りません。エンジニアリング部門、会社と、お客さんにとって、向こう何年かたっても上手く動くアーキテクチャは何か、ということを常に考えることが重要です。
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無意識を使え

2009-02-16 10:26:30 | Weblog
私は、他のエンジニアと比べると、パソコンの前に座っている時間は短い方だと思います。仕事の重要な部分は、パソコンの前でするものではない、と思っているので。椅子に座って、考え込むよりも、他のことをしているときのほうが、良いアイデアを思いついたり、混乱した考えがまとまったりします。

皆さんも経験があるのではないかと思うのですが、難しい問題があり、パソコンの前で数時間考えたものの解決できず、今日はもうあきらめるか、と帰宅の途についたとたんに、良い方法を思い付く。アルキメデスがお風呂で、王様からの難問の解法を思い付いて、ユリーカ!と叫んだというのは有名ですが、もう少し崇高でない例として、ある相撲取りが、夫婦生活を営んでるときに、新しい投げ技を思い付いた、というのもあります。遠藤周作も似たようなことを書いていましたし、古今東西、例が尽きません。

私は、考え事は無意識にさせる、ということを心がけています。そのために、会社にいるときでも、積極的に散歩に行ったり、自転車に乗ったりします。自動車通勤から、電車通勤に換えた理由の一つも、電車に乗っている時間は、無意識を働かせる貴重な時間だからです(車を運転しているときは、リラックスできないからか、あまり働かないようです)。

コツは二つあって、無意識をいくら働かせても、無い情報は入って来ないので、パソコンの前にいるときに、集中して情報を収集する。また、何の問題について考えるか決めておかないと、思考があっちこっちに行ってしまうので、無意識が働き出す前に、考えるテーマを決めておきます。

たとえば、上司から何か仕事を与えられた場合には、私の仕事は、

1. 指令が来る
2. 散歩に出る - どうやって指令を満たすか考え、計画を立てる
3. パソコンを使うか、同僚と話して、情報収集
4. 散歩に出る - 情報を消化する
5. 作業(コーディング、デバッグなど)が必要であればする
6. 3-5 繰り返し
7. 結果を上司に報告するか、レポートを書く

という感じで進みます。同僚からみると、ぷらぷらと散歩ばかりしている奴だ、と見えるかもしれません。

知り合いの、非常に優秀なエンジニアに、ぺらぺらと話してばかりいる人もいます。おそらく彼の場合、話すことで無意識を使ってるんでしょう。
やり方は人それぞれでも、上手く無意識を使う術を覚えると、仕事がはかどると思います。

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完璧な英語を話さなくてもいい

2009-01-06 14:42:08 | Weblog
あけましておめでとうございます。

年末年始に一時帰国したときに、親戚の英語の先生と話す機会があり、日本の英語教育について考えました。

日本人は皆、若いとき(中学校)から一生懸命に英語を勉強しますが、意外としゃべれるようにならない。勉強はしてるんですから、実力がないはずはなくて、心理的な理由が大きいように思います。

・英語をしゃべるのって難しい、という思い込み
・完璧にしゃべらないと恥ずかしい、という気持ち

この二つを捨てたら、あっさりと話せるようになる人がたくさんいるはず。私の留学仲間を見ていても、発音と文法に気をつかって、緊張して話す人よりも、下手でも構わず、どんどん話す人のほうが、数年経つとずっと上手くなります。

そもそも英語は、世界のあちこちで話されているので、場所によって発音はまったくちがう。例えば、イギリス、アメリカ、オーストラリア、シンガポールの間では、大きな相違があり、お互いの発音を冗談のタネにしたりします。あまりにちがうので、どこが正しいということはなく、要するに通じればいい、ということになってしまう。

私自身、アメリカに住んで12年、というと、「じゃあ英語ぺらぺらでしょう」と訊かれますが、そんなことはありません。まだまだ日本語なまりの英語であり、しゃべるのと考えるのを同時にできない、という問題もあります。しかしソフトウエアエンジニアとして働く分には、あまり困りません。同僚の半数以上は外国人(アメリカ人ではない)ですし、アメリカ人の同僚や仕事相手も、外国人に慣れているので、下手な英語でも通用します。

昔デーモン小暮が、英会話で知っておかなければ唯一の単語は「Pardon?」で、これを100回くらい繰り返せば、だいたいのことは通じるだろう、と言ってましたが、これは真実。恥ずかしがらず、あきらめずに訊き続ければ、いつかは必ず通じます。

日本の英語教育について、不安なこともあります。文科省の方針が、文法、読み書き中心の教育から、英会話に重点を移しているように見えることです。私が受けた20年くらい前の日本の教育は、文法、読み書きはしっかりしていたので、話せなくても教科書は読める、メールは書ける、という強みがありました。この強みが失われないよう、文法、読み書きがおろそかにされないといいなあ、と思います。

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34歳の新入社員

2008-11-01 06:41:30 | Weblog
スタートアップで働き始めてから、二月経ちました。34歳にして、またしても新入社員になったわけです。転職はもう5度目。5回もすると、さすがに分かってくることもありますので、今回の転職で気をつけている、新入社員の心得について書きます。

しゃべるより聞く

新入社員には、会社について、たくさん学ぶことがあります。既存の技術、製品は当然のこと、仕事を進める手順、会議の進め方など。文書化されていない部分も多くあるので、同僚に聞いて学ばないといけません。人に物を聞く、というのは(特にプライドの高い人にとっては)、面倒だし難しいものですが、聞かないと仕事にならないので、とにかくやりましょう。

「私が前にいた会社ではこうしていた」、「学校ではああしていた」、と言いたくなることがありますが、言わない方が良いです。こういう人は「でわの海」と呼ばれますが、前にいた会社の方が良かった、と言ってるように受けとられて印象が良くありません。

エンジニアであれば、経験豊かな人でも、新しい会社に入ったら最初の一年間は勉強。口を開くよりも、じっと人の話を聞くことから始めましょう。

最初の仕事は特に気合を入れる

恋愛と同じで仕事も第一印象が大切。最初の大きな仕事をしっかりこなすと、頼りになる、と上役や同僚に思ってもらえ、その後の仕事がしやすくなります。バグ直しだったり、お客のところで起きた問題の解決に当たったり、何であっても、最初の仕事は気合を入れてやりましょう。始めたばかりで右も左も分からないのですが、分からないのでできません、と言わずに、何とか奮闘することが大切です。

自分を追い詰めない

とは言え、健康を害したり、不幸になるほどは、がんばらないほうがいいです。不幸になると、チーム内やお客とのコミュニケーションに支障をきたし、生産性が落ちます。仕事の大変な時期というのは必ずやってくるので、そのときに、もうひとがんばりできるように、心身の余裕を持っておくのも、プロとしての準備です。

私も以前の会社で、身体を壊すほど働いた時期もありましたが、長い目で見ると、心身を安定させて仕事をした方が、会社のためになります。今は、毎日昼休みに自転車に乗ったり、茶葉から入れたお茶を飲んだりして、心身の安定を保っています。

長期的目標を持つ

人間関係など、働いていれば必ず嫌なことはありますから、それをやり過ごすために、長期的目標を持ちます。何ヶ月後、何年後には、ここに到達する、という目標を書いておく。嫌なことがある度に目標を読み返して、これをするためにがんばってるんだから、明るい気持で前進していこう、と自分に言い聞かせます。

目標は、自分だけのものにせず、上司が理解してくれて、応援してくれると、もっと良いです。そういう上司を持てるかどうかは運も大きいですが、どの上司がそうか、じっくり観察しましょう。

皆と仲良くする

会社が小さくなればなるほど、チームワークの重要性は増します。チーム内に、仲の悪い人、口の聞けない人を作ってしまうと、コミュニケーションが滞り、仕事が進まなくなります。大きい会社であれば、別の人が間に入れますが、スタートアップは、コストを抑えるために、そういう余剰人員は持つべきではありません。気にいらない人がいても、喧嘩にならないように、礼儀正しくしましょう。

オフィスで寝ない

日本のオフィスでは寝ている人をけっこう見ます。お昼のあと、眠いのをこらえて仕事をするよりも、昼寝してしまったほうが、頭をすっきりして働けるので。

私も、アメリカの会社で良く昼寝していたのですが、アメリカでは職場では絶対寝てはいけない、と先輩に助言されました。どんなに頭が良くて仕事ができても、オフィスで寝るような人間はプロではない、クビにされても文句は言えない。寝たければ駐車場に行って車で寝ろ、と。

どちらが正しいか分かりませんが、とりあえず今は寝ないようにしてます。
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帰りなん、いざ

2008-10-10 08:30:40 | Weblog
SVJENで一緒にブログを書いている、岡田さんと、先日、はじめてお会いしました。なかなか背が高くてかっこいい人だったということはさておき、盛り上がったのは、起業しながらブログを書くということのむずかしさ、という話。

・仕事が進んだり、変化があると、面白いので書きたい事は増えていく
・しかし、パートナー、お客、投資家など、関係する人が増えていくので、書けないことも増えていく
・書けるか、書けないか、吟味したり、人に確認したりすることは、時間がかかり過ぎてできなくなる

それで結局は、当たり触わりのない内容にして行かざるを得なくなります。(だから自分で起業しないと学べないことがたくさんあるんです。)

今回書くことも、その一例で、色々な事情があって、中川さんとの仕事は終わりになりました。一ヶ月かけて、次のステップを模索。オプションは以下のようでした。

1. また一人で仕事をする
2. 立ち上がり直後の小さな会社にファウンダーとして入る
3. ある程度立ち上がっているスタートアップに入る

仕事で知り合った人達や、家族にアドバイスを訊き、自分でもじっくり考え、3 を選択。60人ほどのスタートアップに、エンジニアとして就職しました。理由はこうです。

・自分には、売れる商品を思い付く、という能力(マーケットビジョン)がない
・しかし、一年半の起業経験から、良いマーケットビジョンを見抜く能力は若干ついてきた(ような気がする)
・そこで、良いと思うマーケットビジョンを持っている、小さくて、若い会社で働き、そこで会社と共に成長したい

また、数ヶ月の仕事を転々とするのではなく、一つの仕事にじっくり取組みたい、という気持も芽生えました。両親が日本から遊びに来ていて、一緒に コンピューター歴史博物館 を見学。1960年代からの、古いコンピューターがたくさん展示してあり、自分が小学生のときに初めて触れたコモドールのマイコンなども置いてありました。

最近50年間のコンピューターの凄まじい進歩を見るにつけ、この技術革新の本場に憧れてアメリカに出て来て、勉強し、仕事をしているんだ、ということを再認識。社長あるいは副社長として会社をクロージングして、大金をもうける云々よりも、技術の進歩に、エンジニアとして貢献したい、という気持がよみがえってきました。

起業から、エンジニアに戻って、モチベーションを維持できるか、自分でも心配でしたし、雇う方もかなり心配したようです。しかし、戻ってみたら楽しくて心配はいりませんでした。プロジェクトが明日無くなるかもしれない、物を作っても誰も買ってくれないかもしれない、という心配をしないで、技術的な仕事に打ち込める、という幸せを噛みしめつつ、日々こつこつと仕事をしてます。
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