新バッハ日記 7

2017-09-06 | 音楽
9月某日

チェロ組曲のみならずバッハのプレリュードは、絶えなく湧き出る泉のように様々な楽想やアイディアに溢れている。

第1番と第4番のプレリュードは有名な平均律第1巻の第1番のプレリュードと同様に分散和音のみで構成されている。この美しい和声進行につい旋律をつけてみたくなった人は今までにもたくさんいるのではないか。有名なグノーの「アヴェ・マリア」はそうして生まれたわけだ。実はこれには裏話があってこの曲の本当の作者はファニー・メンデルスゾーン(フェリックス・メンデルスゾーンの姉)ではないかという人がいる。

どういうことかというと、当時ローマ大賞を受賞してヴィラ・メディチに滞在していたグノーがその頃ローマを旅行していたファニーと音楽談義で意気投合してしばしば私的な音楽サロンをひらいていた。そんな折ファニーがバッハの素晴らしさを語りあった中で、平均律のこのプレリュードに即興で美しい旋律をつけて弾いた。グノーはそれにいたく感心してパリに戻ってから記憶を辿って書いた旋律が「アヴェ・マリア」ではないのかということらしい。



そこで自分も同じことをやってみる気になった。第4番のプレリュードはバスコンティニュー(通奏低音)的な動きなことも興味をそそられた。例えばカンタータの中でソロチェロ オブリガートとヴァイオリンソロか、オーボエソロでというイメージが湧いてくる。実のことを言えば、昔からこれをやってみたかったがなかなか機会がなかった。書いてみるとバッハの和声進行の巧みさがさらに理解が深まった気がした。

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