今日は友人Kに誘われて、「月の舞台」へ演劇を観にいった。
「月の舞台」は、旭川西岸に建てられた介護付老人ホームの5階に併設された空間で、能舞台を移築、再生したものらしい…
おりしも「月の舞台」近くの出石町では「出石芸術百貨街07」が開催されており、至る所に手作りのアート作品が飾られ、野外コンサートが開かれ、カフェやワークショップがにぎわっている…戦前からの趣のある古い建物をゆっくり眺めることもでき、いつも車で通り過ぎている出石町が、こんなに風情のある街だったことに感嘆し、再発見するきっかけになった。
ほとんど初夏の日差しの中、てくてくと老人ホームまで歩き、入口でスリッパにはきかえてエレベーターで5階の会場へ…
一見ホテルかと思われる小奇麗な造りだが、舞台は和室で、会場の片側に木の長イスが段を組んで並べられており、30〜40人ほどの観客で満席状態だ。
ホームに入居のお年寄りも介護士さんに付き添われ、車椅子のまま客席についておられる。
14時ピッタリに芝居が始まった。
背中にこぶのある男(ごまのはえ)と気味の悪い赤ん坊の人形を抱いた女(筒井加寿子)… 芝居の始まりと同時に、舞台は異様な雰囲気に包まれた。
背中のこぶから声が聞こえてくるという男…病気の母親に飲ませる牛乳代を得るため、妹である赤ん坊を売ろうとする女…しかし赤ん坊は売れず、代わりに死に装束用の白いレースの服を貰い受けてくる…ストーリーらしい会話はこのあたりで消滅し、後は2人の理解不可能な、暗闇に迷い込んだような、唐突で、ときに醜悪なシーンが次から次へと展開される…
録音されたテープに合わせてしゃべったり、ずらせてしゃべったり、エサをねだる池の鯉のように口をプカプカ開けたり閉めたり…
2人の鍛えられた、無駄のない動き、…倒れる、ころがる、打ちのめす!
女のぶっきらぼうで力強く、張り詰めた声に、男の身悶えるような、つきまとうような声が答える…
久しぶりにこういうアングラ劇(って言うのかな?)を観たけれど、この役者さん2人の熱演には本当に圧倒された!
暗い井戸の底に引きずりこまれたような、逃げようとしてもどんどん追いかけてこられるような…妖しくて、奇奇怪怪で、それでいて惹きつけられる…恐ろしい舞台だった!
でも、老人ホームのお年寄りが鑑賞するにはちょっと強烈だったんじゃないかな!?
女がどんどん服を脱いでいって下着1枚になるシーンもあり、オイオイどこまで脱ぐんだよ〜!!と心配になったり… 
この作品を書いた松田正隆さんの『月の岬』という芝居を7年前に岡山で観た。
演出が平田オリザさんで、静謐で美しく、芝居の解釈を観客の感性に委ねるような作品だった記憶があるが、その作品と今回の作品とは随分変わってきたように感じた。
終演後に演出家・出演者とのアフタートークもあったのだが、会場の暑さと芝居の興奮で息苦しくなり、外の空気を吸いに出た。
帰り道、友人Kと「すごいもん観ちゃったねぇ〜!」とひとしきり感想を述べ合い、気分転換にカフェ「アルタミラ」でお茶を飲んだ。
アルタミラで、安井祥二監督の映画『海より上 屋上より下』のポスターを貼ってもらえないかとお願いしたら、ここでは貼れないと言われたが、姉妹店の『シュリ』に貼ってもらえることになった。ポスターを持ってきた甲斐があったよん!ありがとうございます!









