直列☆ちょこれいつ

最近は神社や神道などの古い文書の解読をしています。
研究のまとめはカテゴリ『自作本』から。

少女漫画の口は大きい?

2010年11月29日 | ちょこのひとかけ


ネットでページを見ていると、内容とまったく関係のない
商品の広告がでてくることがあります。
あるとき、そこに少女漫画らしいものの表紙が出ていて、
描かれているキャラの口がやけに大きくて気持ち悪いなあと
思いながら見ていました。

そういえば、わたしが好きな女性漫画家も、
あるときからだんだんと口が大きくなってきて
すこしがっかりしたのを思い出します。
でも、さらに思うと、最近の少女漫画全般で
口が大きくなる傾向があるような気がします。

『少女漫画読んでる人は、これでいいの?』
『この大きな口に何も思わないの?』
と声なく他問してみて、さらにひっかかるものがありました。

それは、アゴです。
少女漫画のすごい話をきくと、アゴがのびてきたとか
アゴがささりそうだとか、アゴがおさまればいい漫画、
とかいう感想もぼちぼちとあるようです。
それと個人的な感想を加えると、少女漫画では、
特に男性キャラの手が大きくなる傾向がある気がします。

ここで微妙な少女漫画描写の特徴をまとめると、こんな感じです。
1 口が大きい
2 あごが長い・するどい
3 手が大きい


こう言うと、反論というか、報復けなしが出てくるのも世の常なので、
少年向け、男性向け漫画のキャラにおける、微妙な特徴を見てみます。

わたしが聞く中で第一に思い出すのが、【目が異様に大きい】です。
顔の三分の一もあったら頭の中どうなってるの、など
揶揄されたりします。
あとは、【頭が悪い】と【胸おばけ】でしょうか。

【頭が悪い】というのは外見上ではありませんが、
キャラクター描写上のことで、ヒロイン系の女の子は
基本的に自分というものがありません。
ソーラーパネルで動くロボットのように、
男性にからみ、男性の視点があるときだけ、
何かしらの行動を起こしているような感じです。
誰もいない際に、過去の失敗を悔やんで奇声を上げることもなければ、
男性キャラと友達キャラとの付き合いについて
打算で行動することも考えることもありません。

【胸おばけ】というのは、やたら胸だけ大きいことです。
これについてはわたしも思うところがあるので、
たぶん後に詳述します。

それと、これも個人的に加えると、
別の特徴として【髪もっさり】があると思います。
これは人によって違いますが、
髪を盛る人は顔の倍くらいまで髪を盛ります。

さて、まとめると。
微妙な少年・男性漫画描写の特徴は、こんな感じです。
1 目が大きい
2 胸が大きい
3 自分がない
4 髪が多い


◆◆画像10-11-29a◆◆



どうしてこんな違いが出るんだろうと考えていたのですが……

そこでアタシはピン、ときた。
これはノストラダムスのしわざだってね。
そこでアタシ言ってやりましたよ、
「また前に立ちふさがっちゃうの? ノストラダムス」ってね。ええ。


というのはさておいて、ふと思ったわけです。
少女漫画は口が大きい。アゴがすごい。
かつての少女漫画は目が大きい。
男子漫画は目が大きい。

……これ、なにかを思い出しませんか?

思い出さないかもしれませんし、わたしのこじ付けかもしれません。
でもわたしは、認知心理学あたりの授業でやった、
赤ちゃんによる他人の認識、というものを思い出しました。

赤ちゃんは、時期にもよりますが、
対面する人の顔を、目・鼻・口・アゴ・輪郭、あたりの
パーツによって認識します。
そのため赤ちゃんが生まれたころからめがねをかけていた人が
急にめがねをはずして赤ちゃんと対面した場合、
または赤ちゃんがうまれたころからヒゲをはやしていた人が
急にヒゲをそって赤ちゃんと対面した場合、
あかちゃんは知らない人だと思って泣き叫びます。

その赤ちゃんがすこし大きくなり、
幼児になって絵を描くと――そこに描かれるのは【頭足人】と
呼ばれたりするものです。
そのものがわからない人は【ニコちゃん大王】を
思い出してください。
それも知らない人は以下の図をごらんください。


◆◆画像10-11-29b◆◆



なぜ幼児は、自分がこんな姿でないとわかり、
周りにいる人間も、モデルにできる他人も
決してこんな姿ではないのに、こんな絵を描くのでしょうか?

実は、それにははっきりと結論が出ていて、
人々が言うには
「おおげさに描いている」
「描くほうに問題がある」
「さわぎにしたくてこう描いている」
のだそうです。


……まあ、それは冗談ですが、本当の理由は
【こどもの頭の中ではそう認識されている】からです。

つまり、その絵を描いた幼児にとって、
【人間=顔】であり、【人間=顔が乗った歩くもの】であり、
【顔以外のどうでもいいものは描かなかった】なのです。
たとえ周りのおとなが、
「人間はそうじゃないでしょ。よく見て描きなさい」
といったところで、こどもにとっての人間の認識は
頭足人でしかないので、何枚描いても頭足人として出力されます。
このことからもわかるように、
こどもにとって、他人で一番注目する、重要な部分は顔なのです。

ここですこし脱線して、いじめの話をしましょう。
いじめられている子に、周りは
「おおげさに言うな」
「いじめられているほうに問題がある」
「さわぎにしたくてそう言っている」
などと言ったりします。

でもそれは、上述の認知・認識の観点から、誤りだと言えます。
他人から見たら、いじめには見えないかもしれません。
でもそれは、他人から見えないようにいじめが
おこなわれているだけかもしれません。
または、本当に一般常識で考えて、いじめとはいえないこと
なのかもしれません。
でも、個人の中では、いじめはいじめであり、
苦痛の継続は個人の魂と心を壊していきます。
周りがいくら、人間は頭足人ではないと言っても
幼児が認識する人間は頭足人であるのと同じように、
周りがいくら、ある行為をいじめではないと言っても、
それをいじめと認識する人にとっては、いじめであるのです。
人間の内面に、他人が干渉して変化させることなんてできません。
幼児性愛者はあくまで幼児に性愛をもつのであって、
殺人を犯すものはあくまで殺人を犯します。
個人的には、嗜好で犯罪を犯すものには
【更正可能性】なんてないと確信しています。
あるのは【再犯可能性】だけです。
更正が可能だというならば、そういう人たちだけが住む町で
その犯罪者と一緒に暮らしてみればいいのです。


では、話を戻しましょう。
これも心理学における認知の話であるのですが、
資料が手元になかったのでうろおぼえのまま述べます。

婦女連続暴行か、婦女連続暴行殺人かをひたすらやり続けて
つかまった男がいました。
その男に女性の絵を描かせてみたところ、
こんな感じのものになったそうです。


◆◆画像10-11-29c◆◆



顔は適当、体格も適当。
でも、女性でも女の子でも赤ちゃんでも、
胸だけはくっきりはっきり描かれていました。

これはなぜかと言うのなら、
たぶん、これがその犯罪者における【女性】の認知だったからです。


さて、ここまで見てくると、
わたしの中でひとつの結論が見えてきます。
すなわち、
【絵を描く人間が好きである、または意識する部分は、
 その者の描く絵において誇張される】であり、
その裏返しとして、
【絵を描く人間が好きではない、または意識しない部分は
 その者の描く絵において省略される】のです。

略して、
【好きだから強調しちゃいましたの法則】
【好きでもないから省略しちゃいましたの法則】
とでも言っておきましょう。


では、ここで最初の話を再び見てみます。

●微妙な少女漫画描写の特徴
1 口が大きい
2 あごが長い・するどい
3 手が大きい

●微妙な少年・男性漫画描写の特徴
1 目が大きい
2 胸が大きい
3 自分がない
4 髪が多い

この特徴というものは、どうして出たと思いますか?


ここで改めて考えれば、もう答えは簡単です。
口が大きい絵を描く人は、他人の口元を特に意識してるのです。
そして、口元自体も好きなのでしょう。
少女漫画自体に増えているような気がするということは、
女子や女性において、口元を意識する傾向があるか、
強まっていっているからだとも考えられます。

アゴが長かったりするどかったりするのは、
その人がアゴを意識しているか、好きだからでしょう。
口と近い部分であることは意味深いですが、
口とは独立したものとも考えられます。

少女漫画で男性の手や背が大きくかかれがちなのは、
男性は大きなものという実感や憧れのようなものが
現れているとも考えられます。

一方で、男性向け漫画で目が大きいのは、
世の男性の中では女性の目に注目している人が
多いのではないかと考えられます。

 昔の少女漫画は目が大きくてきらきらしていたのは、
 少女たちが目に注目していたこともあったのでしょう。
 また、女性のお化粧では、眉、目のふち、ほほ、唇に
 なんらかの工夫をするのが常道ですが、
 漫画から見る認知では、実は目以外のお化粧は
 男性にとってはあまり意味がないのかもしれませんね。


それから胸が大きい、髪が多いのも意識と好みの問題で、
自分がないというのも好みでしょう。
これだけ精神ですが、描写という点では同じです。

男性漫画で女性にリアリティがないとか、
女性に自立性がないというのは、
男性が女性の気に入っているところを
誇張して描いているのでしょう。
ただし、これは男性が、【漫画としての女性】に
それを求めているという点に注意が必要です。
現実にそういう女性を求めているとは限りません。

たとえるならそれは、戦国モノばかりを読む人が、
戦国時代に行って槍ひとつで敵に突っ込み、
人を殺して手柄をあげるために首を切りたいとか
耳を切りたいとか考えないのと同じことです。
……中には同じ嗜好の持ち主もいるかもしれないですけれど。


そして最後に、小耳に挟んだ共通項。
日本の漫画の鼻省略です。

わたしはSDガンダムに衝撃を受けて、
小さいキャラなどを描き始めたのですが、
SD(スーパーデフォルメ)には鼻がありません。
鼻を入れるとリアル度が増すというか、
必要等身があがるというか、そういう気分になるのです。

デフォルメでもそうですが、もっと等身がちゃんとある絵でも、
日本の絵では鼻が省略されることがあります。
たとえばまったくなかったり、点であらわされたり、
鼻を直接かかずに影で表現されたりします。
これは、先の認知の観点から行くと、
日本人は相手の顔において、鼻を重要なものととらえていないと
考えることができます。

一方、ヨーロッパ圏の人の中には、日本の絵に鼻がないのが
どうしてもなじめない人たちがいるらしいのです。
日本人はもともと鼻筋が低い人種なので気にしないかもしれませんが、
そういう人たちは掘りが深い人ですから、
きっと鼻を重要なものとしてかんがえているのでしょうね。

そう考えると、ニンテンドーキャラがなぜ
ヨーロッパ圏でも受けるのかがわかる気がします。

まず、マリオ。
もう、だれがなんというまでもなく、鼻でしょう、鼻。
鼻・ヒゲ・帽子・情熱の赤。これがマリオです。
つぎにゼルダの伝説のリンク。
長耳・長っぱな。
そして、どうだか知りませんが、MOTHER2でのどせいさん。
体、鼻。もうこれだけしかありません。

たぶん鼻さえしっかりしていればヨーロッパ圏は安心です。


さあ、締めくくります。
人が描いた絵には、
【好きだから強調しちゃいましたの法則】
【好きでもないから省略しちゃいましたの法則】
があるようです。
漫画など、同じキャラが何度も出てくるもののほうが
わかりやすそうですが、絵を見るときは、
その人が何にこだわっているのかを考えてみると、
また違った見方ができて、おもしろいかもしれません。

たとえばわたしのかつての絵から、
わたしがどこが好きで、どこをどうでもいいと思っているのか
読み取ることはできるでしょうか?


※胸の話もしたかったのですが、
文脈上入れる場所がなかったので後日に回します。

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