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ヒストリック・コレクションについて

2008-01-27 | ヒストリー
50年代の物とは異なる仕様で作られていた70年代のレス・ポール・モデルに対し、幾つかのショップの特注による50年代を意識した特別仕様のレス・ポールモデルの発売が相次ぐ80年代。
そんな特注レス・ポール・モデルの売れ行きがとても好調で、反響も大きかった事からギブソン社自身も本格的にビンテージギターの復刻生産を計画しはじめる。
当初はレギュラーライン工場の片隅で3人ほどしか居なかった(90年~)。
そしてまずはアーチドトップ(フルアコ)のギターが作られ、やがてヒストリック初のソリッドギターであるコリーナV、コリーナ・エクスプローラーが発売され、
93年、ヒスコレ・レスポール59は誕生した。

現在のヒストリック・コレクションは米国テネシー州のナッシュビルにあるギブソン・レギュラーライン本工場の隣の同じ敷地内にあるカスタムショップ専用工場にて生産されている。
そこで高い技術力を持つクラフツマンがいる本工場よりも更に高度な技術を持つクラフツマンが働いているそうです。

ヒストリックシリーズは、木材の入手ルートからしてレギュラー物とは違い、ただ単に材木屋さんにオーダーするのではなく、ヒストリック・マネージャー自ら世界中を駆け巡り、それぞれのモデルに見合った材を地に生えている段階から選定しているのだという。
特にレスポール59モデルに対しては選定基準が厳しく、上記方法によって集められた材の中から更に重量、杢目などに拘り、選定しているのだそうです。
そんなヒストリックシリーズに使用される程の上質な木材は年々激減の一途をたどっており、入手は難しくなってきているとの事。

また、個々モデル開発段階でもヒストリックコレクションは拘りがあり、レスポール59モデルに関しては、これまでに100~150本の「本物」をリサーチしたとの事。
近年から採用されたアルミテールピースに関してはオリジナルを溶かして成分分析までしたそうです。
開発段階において、レスポールにはトム・マーフィー氏が、57クラシック・ピックアップの開発にはトム・ホームズ氏がアドバイザーとして関与している事から見てもこのモデルのレベルの高さが想像できます。

ヒストリックシリーズの全てに関して開発陣が絶対に譲れなかったのがディープジョイントとヘッドのつき板にホリーウッド(ひいらぎ)を採用する事(レギュラーはプラ板)だったとの事。
これは簡単に思えるが
実は当時としては大変困難だったそうで、つき板に関しては塗装からインレイまで既に出来合いのプラ板を貼るだけの工程からは比べられない程の手間が掛かっているのだとか。
ネックジョイントにしても当時はディープジョイント(以下DJ)を採用しているモデルは無く、再現には困難を極めたそうです。

塗料にはニトロセルロースがレギュラー、ヒスコレ共に使用されているが、レギュラーはヒビが入らないようにする為の添加剤が入っているのに対し、ヒストリックでは経時変化と共に自然なクラックが入るようにあえてひび割れを防ぐ添加剤は入っていない。
塗装方法にしてもレギュラーではシーラーに静電塗装が施されているのに対しヒスコレでは全て手作業だそうです。

つまり、レギュラーシリーズでは企業として当然の「商品の品質の安定及び向上と生産効率の向上」の元に
生産されているが、ヒストリックシリーズでは全くその逆を行っているとも言えるかもしれません(笑)
(と言うよりも、ユーザーの要望が昔ながらの製法を望んでいる為)

レギュラーとヒスコレはどちらも同じ「ギブソン・ギター」なのですが中身は全く別物と言った方が正しいかもしれません。
では、ヒスコレとビンテージは同じレベルなのか?と言われればやはりビンテージとは別物です。
どんなにヒスコレ開発陣が努力しても40年間という時間の経過は再現できませんし、追いつく事も出来ないと思います。
また、マニアックな観点で細かいディテールを見ると、ビンテージ物とは多数の相違点があるのも事実です。
でも数多くの現行量産品のギターの中でもヒストリックシリーズは最高ランクの楽器である事は間違い無いのではないでしょうか・・・?


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