ブログ de なんで屋 @東京

みんなで「これからの社会」を考えるために、『場』と『認識』を提供する社会事業です。

充足の学び~算額のすすめ~

2010-11-18 16:29:49 | 路上の声~社会~
テレビ界では学びの伝道師とまで言われている池上彰氏のニュース解説が大人気、出版界ではP・F・ドラッガーの経済学が学べる本「マネジメント」が100万部を突破し、さらに「もう一度読む山川日本史、山川世界史とか大人のための「高校数学」が売れている。またBenkyo-Cafeと言う学べる喫茶店も出現して会社帰りに猛勉強していたり社会人対象の数学教室が定員オーバーしている現状だ!

調べてみると日本人の「学」びたい気持ちは昔からあったようだ。
さて次の問題が解けますか?(問題は 天保の算学 よりお借りしました。)

問題1.与えられた正方形(一辺が10寸)に等しい面積を持つ円の直径を求めよ。
    

答曰(こたえていわく) 円の直径は11.2寸 
術曰(じゅつにいわく) 円の直径=1.12×(正方形の一辺)
 
問題2.正方形の内に二個の斜線を作り、甲の正方形三個と乙の正方形一個を入れる。甲正方形の一辺の長さを知って乙正方形の一辺の長さを求めよ。
    

答曰  乙の正方形の一辺=(√5-1)×(甲正方形の一辺)÷2

問題1.2.は岐阜県養老郡養老町高田の田代神社に天保12年(1841年)に奉納されている「算額」に書かれています。なんと170年も前、11歳と12歳の子供の出した問題です。

江戸時代に日本独自に栄えた数学を現在「和算」とよびます。
当時の和算家や一般の数学愛好家たちが,問題を創ったり解いたりしたものを「絵馬」のようにして神社やお寺に奉納したものを「算額」といいます。

問題が解けたことを神仏に感謝し,ますます勉学に励むことを祈願しました。
また算額は成果発表の場でもあったようでそれを見た人々も学んでいました。

算額奉納の習慣は外国に例を見ないものですが,現存する最古の算額は栃木県の1683年のもので,現在確認されているだけで日本全国で880枚以上の算額が見つかっている。
(他にもこんな問題があります。 リンク

算額は最近テレビのクイズ番組や高校・大学の入試問題にも採用され,学校教育でも関心を集めています。

算額に記されているのはほとんどがユークリッド幾何学の問題だ。そのレベルについても,西欧の数学より何年も早く高度な定理を扱っていたものも少なくない。
関孝和は江戸時代に活躍した和算家として有名だが,彼はライプニッツより10年早く行列式の展開を扱う一方,1458次という高次方程式の解法も発展させている。

鎖国によって海外との交渉を断っていた江戸時代は,日本が数々の独自文化を生み出した時代でもあるが,数学の面でも世界的にかなり高度な独自な世界を築き上げていた。
算額はそうした文化的背景の中から生み出されて来たのだろう。

算額を奉納したのは,当時の知識階級である武士だけでなく,商人や農民などあらゆる階層の人々にわたっていたと考えられている。「当時の人々は芸術や俳句を楽しんだように,数学を楽しんだ」と,和算研究を行っている深川博士は言っている。

●「考えることが楽しい!」を実感しながら学ぶ。
現在の学習塾でもパズル形式で「考える」ことが楽しめるようになればほおっておいても学力が付いてくる、と言う方針で成功しているところがあります。(宮本算数教室

充足があるから考えが柔軟になり長続きし、集中力も追究力もUPするのではないかと思います。

"充足"がキーワードですね。
 

     -- By mukai -- 

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