●R仮想現実=Iイメージ×V臨場感という公式
現在、最大の洗脳機構はマスコミだが、実はマスコミが作り出す仮想現実と、私たち自身が頭の中で作り出す実現イメージは、基本的に同じ構造をしている。その仕組みを脳機能学者・苫別地英人氏は、【イメージ】×【臨場感】=【現実】という公式で説明している。
例えば、よく事故を起こす人がいるが、当人は自分自身で事故を起こしやすい人だということを知っているし、家族も知っている。“自分は事故を起こしやすい”という【自己イメージ】があるから、脳は創造的にそれを実際に引き起こす方法を考えつき、無意識に行動する。
そして、周りの人たちも当人に対して同様のイメージを持っているから、「気をつけてね。あんたはいつも事故を起こすんだから・・・」といった感じで指摘を繰り返す。そこに【臨場感】が生まれ、【現実】化する(→本当に事故に遭ってしまう)という構造だ。
では、一方のマスコミはどうか?
続きを読む前にクリックで応援おねがい!
↓ ↓ ↓
●黒澤明が作った現代メディアの構造
実は、現代メディアで使われている【臨場感】を出す映像技法は、映画監督・黒澤明あたりにその起源がある。実際、彼が映画の中で【臨場感】を出すためにどのような工夫をしたかと言うと、
>従来の映画は、舞台演劇を観る観客の視点、つまり観客席側にカメラを置く形で撮影されていた。黒澤はそれを逆転させ、“舞台の上にカメラを置いた”。そうすることで、斬られるときの斬られる人の視点や、横にいる人の視点など複数の視点を自由自在に出せるようになった。
>舞台演劇では、暗転(照明の消灯による場面転換)を使って「シーンが変わって一年後」を表現していたが、黒澤の場合、例えば10秒間の川が流れている映像によって「一年です」と表現する手法をとるようになった。
>あるいは、「悲しみ」や「浄化」を表現する雨の降るシーンをピース(=断片)化、パラメータ(媒介変数)化した。その表現を繰り返しいろいろな作品で表現することで、観客が雨のシーンを見たら悲しい感情が湧いてくるようにした。
>また、三船敏郎を常に黒澤映画に出すことで、仮に全然違う役柄で出したとしても、三船の演技に対する情動を再現できるようにした。現代で言えば「キムタク」もそうだが、役者はいちいち「演技」をしなくても、自然体で、過去に成功した役を多少アレンジして繰り返しているだけのピース(断片)になった。
等々。
これらは現代の映像慣れした我々にとってはすでにお馴染みの映像表現とも言えるが、この黒澤方式がやがてスピルバーグやルーカスに踏襲され、ハリウッド映画やTVドラマの基本様式として確立されていく。
●日本人はメディアによって訓練され続けている
しかし、この「お馴染み」という感覚が生まれること自体が、まさに私たちが子供のころから映画やテレビドラマの視聴を繰り返す中で、現実の捉え方を訓練され、洗脳されてきたことの証左である。「雨→悲しい」「キムタク→理想の男性」ならまだ可愛いもので、例えばこれが「アメリカ→正義」「フセイン→悪魔」だったらどうだろう。そんな恐ろしいことが実際に行われている。
恣意的に設定された【イメージ】が、巧みな演出による【臨場感】によって【現実】へと変わり、それが映画やテレビを通じて繰り返し流されることで、その【現実】が更に強固なものとなっていく。それがマスコミによる「イメージ×臨場感=現実」という洗脳の実態だ。
私たちは別に面白くもない芸人のギャグでも、面白いというイメージを与えられ、笑いマシーンによる臨場感を演出され、そして反復してみることを通じて、面白いものとして見るように「訓練されている」のである。
そしてこのように、訓練されれば、脳は自前で充足イメージを構築する力を失ってしまう。こうして受信するだけの怠惰な脳が出来上がってしまい、ますます人はテレビに支配され、考えられなくなっていくのだ。
【参考図書】
1.苫米地英人「残り97%の脳の使い方~人生を思い通りにする!「脳と心」を洗う2つの方法~」(リンク)
2.苫米地英人「脳と心の洗い方~『なりたい自分』になれるプライミングの技術~」(リンク)
現在、最大の洗脳機構はマスコミだが、実はマスコミが作り出す仮想現実と、私たち自身が頭の中で作り出す実現イメージは、基本的に同じ構造をしている。その仕組みを脳機能学者・苫別地英人氏は、【イメージ】×【臨場感】=【現実】という公式で説明している。
例えば、よく事故を起こす人がいるが、当人は自分自身で事故を起こしやすい人だということを知っているし、家族も知っている。“自分は事故を起こしやすい”という【自己イメージ】があるから、脳は創造的にそれを実際に引き起こす方法を考えつき、無意識に行動する。
そして、周りの人たちも当人に対して同様のイメージを持っているから、「気をつけてね。あんたはいつも事故を起こすんだから・・・」といった感じで指摘を繰り返す。そこに【臨場感】が生まれ、【現実】化する(→本当に事故に遭ってしまう)という構造だ。
では、一方のマスコミはどうか?
続きを読む前にクリックで応援おねがい!
↓ ↓ ↓
●黒澤明が作った現代メディアの構造
実は、現代メディアで使われている【臨場感】を出す映像技法は、映画監督・黒澤明あたりにその起源がある。実際、彼が映画の中で【臨場感】を出すためにどのような工夫をしたかと言うと、
>従来の映画は、舞台演劇を観る観客の視点、つまり観客席側にカメラを置く形で撮影されていた。黒澤はそれを逆転させ、“舞台の上にカメラを置いた”。そうすることで、斬られるときの斬られる人の視点や、横にいる人の視点など複数の視点を自由自在に出せるようになった。
>舞台演劇では、暗転(照明の消灯による場面転換)を使って「シーンが変わって一年後」を表現していたが、黒澤の場合、例えば10秒間の川が流れている映像によって「一年です」と表現する手法をとるようになった。
>あるいは、「悲しみ」や「浄化」を表現する雨の降るシーンをピース(=断片)化、パラメータ(媒介変数)化した。その表現を繰り返しいろいろな作品で表現することで、観客が雨のシーンを見たら悲しい感情が湧いてくるようにした。
>また、三船敏郎を常に黒澤映画に出すことで、仮に全然違う役柄で出したとしても、三船の演技に対する情動を再現できるようにした。現代で言えば「キムタク」もそうだが、役者はいちいち「演技」をしなくても、自然体で、過去に成功した役を多少アレンジして繰り返しているだけのピース(断片)になった。
等々。
これらは現代の映像慣れした我々にとってはすでにお馴染みの映像表現とも言えるが、この黒澤方式がやがてスピルバーグやルーカスに踏襲され、ハリウッド映画やTVドラマの基本様式として確立されていく。
●日本人はメディアによって訓練され続けている
しかし、この「お馴染み」という感覚が生まれること自体が、まさに私たちが子供のころから映画やテレビドラマの視聴を繰り返す中で、現実の捉え方を訓練され、洗脳されてきたことの証左である。「雨→悲しい」「キムタク→理想の男性」ならまだ可愛いもので、例えばこれが「アメリカ→正義」「フセイン→悪魔」だったらどうだろう。そんな恐ろしいことが実際に行われている。
恣意的に設定された【イメージ】が、巧みな演出による【臨場感】によって【現実】へと変わり、それが映画やテレビを通じて繰り返し流されることで、その【現実】が更に強固なものとなっていく。それがマスコミによる「イメージ×臨場感=現実」という洗脳の実態だ。
私たちは別に面白くもない芸人のギャグでも、面白いというイメージを与えられ、笑いマシーンによる臨場感を演出され、そして反復してみることを通じて、面白いものとして見るように「訓練されている」のである。
そしてこのように、訓練されれば、脳は自前で充足イメージを構築する力を失ってしまう。こうして受信するだけの怠惰な脳が出来上がってしまい、ますます人はテレビに支配され、考えられなくなっていくのだ。
【参考図書】
1.苫米地英人「残り97%の脳の使い方~人生を思い通りにする!「脳と心」を洗う2つの方法~」(リンク)
2.苫米地英人「脳と心の洗い方~『なりたい自分』になれるプライミングの技術~」(リンク)