即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

静かなる闘志

2007年10月20日 02時53分22秒 | 将棋
おとといの記事の続きです。

竜王戦の渡辺竜王と、女流王位戦の石橋女流四段の素晴らしい勝利に酔いしれた日。
両対局とも、本当に快勝譜でしたね。

そのあたりについて、(本人に確認したわけでもなんでもないので)自分なりの勝手な意見(読み)、書いてみます。

昨日のお二人の対局をネットで見ていて、僕は何か感じるものがありました。

それは、強い自信。そして、無心の力。

まず、渡辺竜王。
何よりも大事な順位戦の不振、他の対局も竜王らしくなく、思わぬところで星を落としている。なんか調子がおかしい。
いろいろ忙しいこともあり、竜王戦に向けて徐々に調子を上げていく、ということも、本当に計画通りに行っているのか?

6月の棋聖戦。せっかくつかんだ挑戦権だったのに、佐藤二冠に対して、力の差を見せ付けられたような結果で敗退。
10月に入ってからの体調のこともあり、ファンとしては、大丈夫なんだろうか、という感じで4連覇のかかった重要なタイトル戦を迎えることになった。

しかも相手はまたしても佐藤二冠。当然向こうも去年のことがあるので、負けられない。ここで、また負けたら、なんとなく格付けが決まってしまう、ということも感じるだろうし。

今期の竜王戦。
渡辺竜王は今までにない強い決意を持って臨んだのではないかと思っています。

そして、その強さというのは、去年のあの大熱戦の竜王戦で、一回り大きくなった強さだと思うのです。

去年の竜王戦で、苦しみながらも最終局までもつれ込んで、防衛した時、
こんな記事を書きましたが、この時の竜王の言葉。

『良い将棋を指せば将棋界は盛り上がるんだなということを肌で感じることができました。』

この心から発した一言。
とても大きな価値のある一言だと思えます。

その裏には、ブログを通じてのファンとの密接な関係があり、ファンのことをしっかり意識してるということがあると思います。

竜王が自身のブログを強い意志を持って続けている、毎日のように更新している、ということは、ファンのため、ファンに楽しんでもらうため、という側面だけではないはずです。
ファンを大切にする気持ち、将棋の楽しさや奥深さを伝えたい気持ちももちろんあるのでしょうが、何よりも自分で楽しんでいる、棋界における自分の立ち位置を作って行きたい、ということがあるはずです。

そして、そういう中から、将棋界を盛り上げたい、普及に力を入れたいという気持ちが強まり、で、自分として何ができるのか、と考えたとき、やはり、原点に戻って、「良い将棋を指すことが一番」、という結論に立ち至ったのだと推測します。

勝ちたい、勝たなければいけない、というよりも、良い将棋を指すこと。

ある意味相手も関係ない、駆け引きなども関係ない、去年の因縁も関係ない。

そこに気持ちが集中できているのではないかと思うのです。


次に、石橋女流四段。

おとといの将棋、素晴らしかったです。

北の国に、たいふ~が吹き荒れた

第一局、第二局については、週刊将棋に、かなりひどい書かれ方されてました。

女流王位の悪手に悪手で返す挑戦者
疑問手連発の殴り合い
控え室では「投了以上の悪手」という声

僕らのヘボ将棋の形容みたいですねえ。

どんどん勢いづいて攻めていると、ポカをやってしまい、
今度は敵が勢いづいて、攻め始める。
またいいとこまで行くと、読みが足りなくて、こけてしまう、
またこっちが優勢になる。
その繰り返しで、いつまでたっても勝負つかない。
なんてことありますよね。

まあそこまでではないけれど、こんな記事読むと、おんなじじゃん、って思えるほど。

それはともかく、第二局、ひどい内容でした。

多分対局直後、携帯で書き込んだと思える、
あかんなぁ(>_<)という短い記事に、無念の気持ちと、強い反省の念が現れています。

LPSAに初タイトルを、という意識が強すぎて、それが暴発したのでは、と思えました。
後ろに16人+αの顔が見える。(負けたら罰ゲームも待っている。)
思いが先行して、気負いすぎて空回りしてしまった。。。。
頭でっかちでなく、気持ちでっかちになってしまった。。。

そして迎えた第三局。

将棋の内容については、プロ棋士から、お強いですね。(驚)と認められた、ザ・たっちの片割れshogitygooさんが、昨日の記事で書いてますので、ご覧ください。
相変わらず軽妙に楽しく解説しています。

この第三局、素晴らしい内容でした。
どっしりした大きな構想力に基づく、絶妙な差し回し。
勢いや気合も十分で、師匠を圧倒しました。

気持ちの充実振りを感じます。
どっしりした自信を感じます。

北海道新聞特設ページ道新スタッフブログでも、下記のように書かれています。

『序盤は石橋、中盤は清水が流れを引き寄せたかに見えたが、終盤は石橋女流四段が攻めて攻めて攻めまくりました。清水女流王位も必死に反撃しましたが、厚い攻めの前に流れは変わりませんでした。
 石橋女流四段は終盤は、男性棋士のタイトル戦と見まごうほどの鋭い攻撃。対局の検討をしている控え室には「強い」「本局の調子が続けば、すごい」という声が相次いでいました。』

去年からの独立問題。
LPSAの今までと今後という記事を、涙ながらに書きました。

LPSAの設立パーティの時の挨拶で、中井代表が語った
「本当に色々なことがあった。」
「いろいろ全部話したら、このパーティが終わってしまう。」という言葉。

石橋さんにとっても、重いものがあるはずです。
最年少でLPSAを引っ張ってきた責任。
米長会長や連盟に対する、いい意味での恩返し。

そんな思いをすべて今回のタイトル戦にぶつけたいのだと思います。

そんな強い執念。固い決意。

絶対に負けられない戦いをどう戦うのか。

渡辺竜王も石橋女流四段も、
ここはぜひがんばってほしいところです。

負けると勝つとは大違い。

勝手な応援の弁ですが、

メラメラと熱く燃える闘志は、表に出すのではなく、

静かな、自然と湧き出てくるような、湧き水のような闘志。

ひたむきで、ピュアで、泰然とした気持ち。

でも中は熱く、密度が濃く、はちきれんばかりに充実している。

安定してしっかりと定着している。

うまく言えないけど、熱烈なファンとしてお二人の健闘を期待してやみません。

応援しています。
コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日は、仕事にならない | トップ | 規格外 »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TB深謝 (Dancho)
2007-10-20 08:32:10
nanaponさん、おはようございます。

これから、会社です。家に居ると色々な誘惑が待っているので、静かな場所で英語との格闘!が待っています。

TB深謝と共に、静かなる自信…これ、良い言葉ですね~。

大風呂敷ではないけれど、応援団もそうなんです。
実力的には負ける対戦校との試合があったとしますよね。
でも、応援団は、最初から負け試合を見るために球場へ応援に駆けつけるのでは決してない…。
むしろ、その逆。
諦めることなど、ゲームセットの審判の声がかかるまで決してないのです。

そのためには、応援団にも「静かなる闘志」…これ、必須です。

こちらは将棋に関する内容の記事ですが、よ~く拝読すると、その内容は実に応援団的です。

小生も、拙ブログにまたまた凄いコメントを頂戴し、涙が流れる思いです。
その最初の思いに応えるべく、日付が変わった昨日の未明、入魂記事(気になる『2つのことば』と題しました)をエントリーしました。
nanaponさんの記事も引き合いに出しています。
是非、ご一読&ご感想をお寄せいただけたら…と思います。

なお、nanaponさんのパクリ丸出しですが…

「気になる『2つのことば』の続きです…」

みたいな感じで第2弾もやらねば…と思っています。

またまた凄いコメントなので…。

こちらの記事とコレボレートできるような内容に持ってこれるよう頑張りたいと思う次第です。

ブログ…改めて始めてよかったと思っています。

あえて言わせていただきますね。

『師匠』…素晴らしい記事の数々、本当にありがとうございます。

つい熱くなりました。気合が入りました。頑張ってきます…仕事。
女流王位戦と竜王戦 (spinoza95)
2007-10-20 20:07:18
トラックバックありがとうございました。

女流王位戦の方は石橋女流四段がどうこういうより
僕には清水女流王位の方が変に意識しているのではと思えます。
第二局のように重要なところで自分から転んだりしなければ
石橋四段が今回は奪取できるように思えます。
ただ清水王位が角番に追込まれたことで開き直り
自分の将棋を取り戻すようなことがあれば別ですが。

竜王戦は第一局の内容をみた限りでは
渡辺竜王にもまして佐藤二冠の調子が悪いように感じられたので
今回はあっさりと防衛に終るのではと思っていました。
ところが渡辺竜王はブログの自戦回顧の中で
▲9六歩は怖いからやってこないと思っていたといっています。
たぶん渡辺竜王は本当にそう思っていたのだと思います。
となると佐藤二冠は疑問であったとしてもそういう手を指したわけで
まだ分からないところがあるように思えてきました。
このふたりは昨年の竜王戦が後手の4勝3敗,
今年の棋聖戦にいたっては後手が3勝1敗でしたから,
次の先手番は渡辺竜王にとって大きな一番になりそうです。
次、楽しみです。 (nanapon)
2007-10-23 20:16:52
★Danchoさん、こんばんは。

>これから、会社です。家に居ると色々な誘惑が待っているので、静かな場所で英語との格闘!が待っています。

遅くなりましたが、休日出勤、お疲れ様でした。

>そのためには、応援団にも「静かなる闘志」…これ、必須です。

そうなんでしょうね。
技術的なことは、気合ではどうにもならない部分があるとは思うんです。
アニマル浜口のように、気合だあああ!といくら言っても。

ただ、そうであったとしても決してあきらめないんですね。
応援団魂、まるで知らない世界だっただけに、いろいろ勉強になります。

>ブログ…改めて始めてよかったと思っています。
>あえて言わせていただきますね。
>『師匠』…素晴らしい記事の数々、本当にありがとうございます。

師匠、なんて、そんなこと言われたことないですし、そんなキャラじゃないですよ。皆、お互い様で、刺激しあったり、啓発されたり。
ブログは、そういうところがたまらないですよね。

★spinoza05さん、こんばんは。

>女流王位戦の方は石橋女流四段がどうこういうより
>僕には清水女流王位の方が変に意識しているのではと思えます。
>第二局のように重要なところで自分から転んだりしなければ
>石橋四段が今回は奪取できるように思えます。

そう願って、仕事中に時々見ていましたが、残念でした。途中から差がついちゃいましたね。最終局、期待しましょう。

>このふたりは昨年の竜王戦が後手の4勝3敗,
>今年の棋聖戦にいたっては後手が3勝1敗でしたから,次の先手番は渡辺竜王にとって大きな一番になりそうです。

佐藤二冠は、今期負け越しの成績ですね。とは言っても、挑戦権つかんでるわけなので、ここ一番のところではそう簡単ではないと思います。
どちらにしても、去年を上回る熱戦が見られるものと思っています。
でも、最終局に持ち込まれました (振られ飛車)
2007-10-25 18:05:11
>悪手連発
プロ棋士は最善手でくるという前提で読んでいるわけですから、悪手であっても、読みにない手で読みを外されてしまうと、こちらもお付き合いで悪手を指してしまう。こういうことですね。

>清水二冠
がけの上のライオン、いや女性ですからライオネスですね。ここでクラッシュギャルズが出てくれば35以上ですね。
弟子の石橋四段のことを考えれば、彼女はLPSAに行ったかもしれません。もし行っていれば、女流の双翼が新団体に移籍すれば、残留組は崩壊していたかもしれません。関西所属棋士はお気楽だから大丈夫でしょうが。
ならば彼女のとる道は一つ、自らは残留し、弟子には実力でタイトルをもぎ取れと発破をかけているのだと私は思うのです。
いよいよ最終局ですね。 (nanapon)
2007-10-30 00:04:34
振られ飛車さん、 こんばんは。

>がけの上のライオン、いや女性ですからライオネスですね。ここでクラッシュギャルズが出てくれば35以上ですね。

じゃあ、ビューティペアはいくつ以上ですか?(笑)

>ならば彼女のとる道は一つ、自らは残留し、弟子には実力でタイトルをもぎ取れと発破をかけているのだと私は思うのです。

現在の二人の関係がどこまで師弟愛が息づいているのかわかりませんが、実力でもぎとれ、と言外に言っているというのは多分あるのではと思います。ただ、そう簡単には取らせんぞ、というのもあると思うので、どちらの思いが強いのか、最終局はとっても楽しみですね。

コメントを投稿

将棋」カテゴリの最新記事