「腐女子&妄想部屋へようこそ♪」BYななりん

映画、アニメ、小説などなど・・・
腐女子の萌え素材を元に、勝手に妄想しちゃったりするお部屋です♪♪

風に吹かれて(#23)

2016年12月12日 21時34分53秒 | RUN&GUN風土記
いつの間にか眠っていたらしく、幸佑はインターホンの音で目を覚ました。
時計を見ると、岡本と電話をしてから50分あまりが経っている。 おそらく岡本だろう。
幸佑は誰何することなく鍵を解除してドアを開けた。 そこには違わず岡本が立っていた。
 「・・・すいません、こんなとこまで来てもらって・・・」
詫びながら、部屋へと招き入れる。
ベッドとテーブルの間に岡本を座らせ、飲み物を出すためにキッチンへ向かおうとすると、岡本が声をかけてきた。
 「差し入れ持ってきたから。 おまえも座れよ」
そう言ってレジ袋をテーブルの上に置き、中から缶ビールとつまみを取り出した。
 「・・・おまえ、ひどい顔色だぞ。 ビールじゃなくて栄養ドリンクの方が良かったか?」
 「いえ・・・。 いただきます」
岡本の隣に腰を下ろし、よく冷えている缶ビールのプルタブを開けて、ひと口流し込む。 
そういえば今日はまだ何も食べていない。 空腹感はないが、空っぽの胃にアルコールが沁みていくのがわかる。
その様子をじっと見つめていた岡本が、窺うように問いかける。
 「・・・何かあったんだろ? 話してみろよ。 そのために呼んだんだろ」
幸佑は手にしたビールをしばし握り締めたままでいたが、やがて重い口を開いた。
 「・・・なんだか、一人でいたくなかったんです。 一人でいると、どん底まで堕ちていきそうで怖くて・・・」
俯いたままでそう呟いた幸佑が、ふと岡本を見た。
 「すいません。 こんな俺に付き合わせちゃって・・・。 岡本さんも忙しいのに」
 「気にすんな。 今日は俺も珍しく家にいたんだよ。 それより、なんでそんなに落ち込んでるんだ?」
 「・・・・・・」
雄也のことが頭に去来する。 しかし岡本に言えるわけがない。 幸佑は小さく頭を振って苦い笑いを張り付けた。
 「・・・いえ・・・。 俺もともとネガティブだし、時々こうなるんですよ。 今日は特にひどくて」
言葉の意味をじっくり噛みしめるように岡本が幸佑の目を見つめている。 たまらず幸佑は目を逸らしてしまった。
 「・・・おまえ、嘘つくとき目を合わせないよな。 俺がそんなこともわからないと思ったか?」
 「・・・・・・」
そう言われても、やはり目を合わせることができない。 顔を背けたまま、目をきつく閉じる。
 「・・・・・・苦しい恋でもしてるのか」
唐突に核心を突くことを岡本が口にする。 幸佑は思わず息が止まりそうになって、目を見開いた。
自分をごまかすことが下手な幸佑に、岡本は苦笑いを浮かべて同情した。
 「・・・まぁ、俺も同じような立場だから、気持ちはわかるよ」
独り言のようにそう呟いた岡本の真意がすぐにはわからず、幸佑が不思議そうな顔をする。
が、その脳裏にいつかの告白が不意に蘇る。
 (おまえが好きだ。 愛してる・・・)
 (たとえ誰を想っていても・・・な)
 「あ・・・」
唐突に、自分がなんて残酷なことをしているのかを悟った。
自分を愛していると言った岡本。 そしてそんな岡本に慰めを求めている自分。 
岡本にしてみれば、苦しんでいる幸佑が自分に差し伸べた手を振り払うことなどできないだろう。 
たとえそれが、他の誰かに向けられた想いからくる苦しみだったとしても。
 「・・・・・・」
誰かが言っていた。 落ち込んでいるときには、自分のことしか見えないもの。 周囲を気遣うことなどできないのだ、と。
その通りだと思った。 岡本に対する申し訳ない気持ちが溢れ出す。
 「岡本さん、すいません・・・。 俺、自分のことしか考えてなくて」
 「ん?」
 「岡本さんに甘えられる立場じゃないってこと、忘れてました・・・すいません」
思えば、岡本の恋人である玲奈ともただならぬ関係をもってしまった。 いくら自分の意志ではなかったとはいえ、自分の優柔不断さが招いた結果ともいえる。
自分の厚顔さを恥じ、頭を下げて心から詫びた。
 「おい、勘違いするなよ。 前にも言ったろ、おまえは一人で抱え込む癖があるから、たまには頼ってくれって。 だから今日電話くれて、俺は
  嬉しかったんだぜ」
 「え・・・」
思いがけない言葉に、ふと幸佑が顔を上げる。
 「やっと俺に甘えてくれたよな。 いつかはあんなひどいことをしちまって、もう許してくれないと思ってたからさ」
 「岡本さん・・・」
つん、と鼻の奥が痛んだ。 どうも最近涙腺が脆くなった気がする。 岡本に悟られないよう、そっと目を伏せた。
それを見つめていた岡本が、そっと幸佑の肩を抱き寄せた。
 「今日はずっとそばにいるよ。 泣きたいなら泣けばいい」
優しい声でそう呟いて、肩を抱く手に力を込める。 幸佑は岡本の肩に頭を載せ、目を閉じた。 つぅ、とひとすじ涙が頬を伝う。
それがきっかけのように、幾重にも涙が零れ落ちていく。
嗚咽を堪えて小さく震える幸佑が愛しくて、哀しくて、岡本はとうとう体ごと幸佑を抱きしめた。
腕の中の幸佑は抗うことなく、岡本の胸を涙で濡らしている。 できることなら、その苦しみを自分が取り除いてやりたい。
俺ならば、決しておまえを悲しませたりはしないのに。
胸の中でそう何度も叫びながら、岡本は苦し気に目を閉じた。
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2 コメント

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切ない (かりん)
2016-12-14 23:44:34
こんばんは。
途中までこのまま幸佑は雄也といい感じになるのかなーと思っていたのに、なかなかそう上手くいかせませんね!
ななりんさんてばっ(上手いなぁ~)
どの登場人物も共感できる部分があるだけに、なんだかみんな、片思いみたいな状況で切ないですね。

まさかここで幸佑が岡本になんて・・・やっぱり幸佑は魔性ですね!無自覚ってこわいわ。
思わず、雄也すぐ飛んできてーと心で叫んでしまいました。入院中だっていうのに(苦笑)

今後も楽しみにしてます♪

毎度ありがとうございます(笑) (ななりん)
2016-12-15 01:17:05
ご愛読ありがとうです^^

そう、なかなか幸佑を幸せにしてはやらないのです (笑)
でも、次回で正義の味方・雄也が助けに・・・

くるのか? 爆


かりんさんが書かれてるように、この小説におけるメインテーマは「切ない」なんですよ。
いろんな切なさを書いてみたいと思ってます。

魔性のヲトコ・幸佑を取り巻く男と女の愛憎劇・・・
これからもよろしくお願いしますねっ☆

コメントありがとうございました!
いつも励みになりますです *(^ω^@)

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