「腐女子&妄想部屋へようこそ♪」BYななりん

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腐女子の萌え素材を元に、勝手に妄想しちゃったりするお部屋です♪♪

風に吹かれて(#13)

2016年11月25日 23時26分20秒 | RUN&GUN風土記
今朝もいい天気だ。 病室の窓から差し込む光が眩しい。
朝食を終えた雄也は、ベッドに寝転んで風に揺れる木々の梢をぼんやりと眺めていた。
昨日、珍しく夜に洋介が顔を出しに来た。 帰る前に少し立ち寄っただけと言い、明日幸佑が来たら教えてほしい、と言っていた。
雄也がふと時計を見る。
 (9時か・・・)
今日から舞台初日。 確か小屋入りは10時半だと言っていた。 逆算すれば、そろそろ来てもいい頃だ。
稽古が忙しくて(と本人は言っていたが)来れなかった3日間以外は毎日顔を出しに来ているので、あえて連絡はしていない。
そのうち来るだろう、と思って目を閉じたとき、誰かが部屋に入ってくる気配がした。
 「雄也くん、おはよ」
 「おう。 今日も早いな」
うすいピンクのワンピースに身を包んだ里美は、すでに夏の装いだ。 ベッドまで来ると、持っていた紙袋をサイドテーブルに置いた。
 「いつも昼からか夕方やったのに、なんでここんとここんなに早いんや? 仕事の都合か?」
 「うーん、それもあるけど・・・」
そこまで言うとなぜか口ごもり、チラッと上目遣いに雄也を見る。
 「・・・この時間に来れば、幸佑さんを見れるかも知れないでしょ?」
 「はぁ?」
思わず素っ頓狂な声が漏れた。 あわてて里美が付け足す。
 「純粋に、あの幸佑さんの美しいお顔を見ていたいなぁ~って。 あ、でもでも、あたしが好きなのは雄也くん! これは間違いないから!」
あけっぴろげすぎる里美の好奇心に、呆れて何も言えなくなった。
普通なら、彼氏の友人に会いたいから、なんて言えば、当然不穏な雰囲気が漂うだろう。 しかし不思議とそうならないのは、里美が持つ天真爛漫さ
や無邪気さのせいだと雄也は思った。
 「あ、そういえばさぁ、昨日優香と渋谷歩いてたら、幸佑さんに会ったよ」
 「え」
 「優香が先に見つけたんだけどね。 あっ!すごい綺麗な人!って。 ホントそういうの目ざといんだから」
 「駅でか?」
 「うんそう。 スタイルのいい美人さんと一緒だったよ。 腕なんか組んじゃってさ~、おかげで声かけられなかった」
 「・・・へぇ・・・」
 「綺麗な人っていうから、あたしてっきり女の人の方言ってるんだと思ってたのよね。 でもよく考えたら、あたしも幸佑さん見て綺麗って言ったわ!
  と思って」
そもそも優香が女の人に振り向くわけないもんね!と、楽し気に言い放つ。
 「でね、渋谷でいい物見つけたから、雄也くんにも買ってきたんだ~」
と言って、テーブルに置いた紙袋の中をごそごそ探し始めた。 その様子を眺めながら、いつかの幸佑とのやり取りを思い出す。
 (俺にも、彼女が・・・)
 (積極的でちょっと困る・・・)
 (じゃあアレも彼女に付けられたんか?・・・)
里美たちが目撃したのは、きっとこの彼女だったのだろう。
実を言うと、雄也は少し疑っていたのだ。 あのキスマークと幸佑の態度を正当化させるために、また、雄也を安心させるために、もしかして幸佑は
嘘をついたんじゃないか・・・と。
しかし、事実だった。 わずかに胸が沁みる。 それは少し、淋しさに似ていた。
 「・・・幸佑さん、遅いね~。 今日はもう来ないのかなぁ?」
里美の声に気付いて時計を見ると、あと少しで10時になろうとしている。 小屋入りまであと30分、今日はもうきっと来ないだろう。
ふと、里美に尋ねる。
 「昨日おまえが幸佑見たのって、渋谷駅やて言うてたよな。 どこ行きの電車乗って行ったかわかるか?」
 「さぁ、そこまでは・・・。 でも、確か山手線の方へ歩いてった気が・・・」
 「何時くらいやった?」
 「えっと、夜の8時くらい・・・?」
渋谷から幸佑のアパートのある浅草へ行くには、山手線ではなくメトロのはずだ。 ということは・・・。
しかし、雄也はどこか腑に落ちないものを感じた。 幸佑は、舞台初日の前日はいつも稽古が終わったらすぐ帰宅して、翌日のために備える。
早めに寝て、コンディションを充分に整えるためだ。
それは雄也も同じだった。 極力外出せず、この日ばかりは酒も控え、万全の態勢で初日に臨むようにしている。
そんな幸佑が、稽古終わりの8時から出かけるとは。 そして行先は、おそらく女の・・・。
これまでの彼にはありえない、およそらしくない行動に、雄也の胸が妙にざわつく。
そして今日、来ると思っていたのに来なかった。
また、いつかのように言い知れぬ不安が頭をもたげ始めるのを感じたが、雄也はそれを里美に気付かれぬよう、そっと胸の奥に押し込んだ。


里美が帰った後、雄也はナースステーションへやってきた。 食事や入浴など、看護師が忙しいと思われる時間帯を避けて来たせいか、ステーション
の中にはいつもより多めの6,7人のナースがいた。
 「あの、すいません」
入口から声をかけると、一番近くにいたナースが返事をしながら振り向く。 
あら、永田さん!という彼女の声に、他のナースたちが一斉に振り向いた。
最初に応じたナースが、特権を得たとばかりに素早く雄也のところへ飛んでくる。
 「どうされました?」
肉付きの良い、少々年増のナースが満面の笑みで尋ねる。 彼女の後ろで出遅れた若いナースが悔しそうにその様子を見つめていた。
 「あ・・・あの、平岡先生はみえますか?」
女心丸出しの集団に圧倒されて、思わず後ずさりしたくなるのを堪えながら、何とか平静を保って雄也が口を開いた。
 「あ~、平岡先生なら今は外来の診察に当たってるので、内科2診の方にいますよ。 ここへは午後の回診のときになったら来ますけど」
急ぎなら先生のPHSに連絡入れましょうか?と聞かれたが、診察の邪魔をしてまで話すことでもないと思った雄也は、ナースの申し出を丁重に断った。
 「じゃあ先生がいらしたら、一番に永田さんの所へ行くように言っときますね」
 「お願いします」
ぺこりと軽く頭を下げて、長居は無用とばかりに雄也は素早く踵を返した。




幸佑が玲奈のマンションを出たのは、10時前だった。
今日はオフで、一日自宅で過ごすという玲奈に見送られて、一人とぼとぼと駅までの道を歩き始める。
玲奈はまったく気にした様子はなかったが、幸佑にとっては由々しき事態だった。 そもそも初めから、昨夜の自分はどうかしていた。
本来ならば初対面の女性の部屋になど行くような自分ではない。 いくら強引に付き合わされたとはいえ、本気で拒否すれば回避できたはずだ。
それがどうだ。 部屋に上がり込んだばかりか、よりによって眠りこけて、あげく朝帰りとは。 しかも今日は舞台初日だというのに。
あまりの愚かさに、笑いがこみ上げてくる。 こんな心身ともに最悪の状態で初日に臨む羽目になった自分を呪う。
そんなことを欝々と考えているうちに、いつの間にか劇場へたどり着いていた。
体は重く、二日酔いなのか頭痛と悪心がひどい。 ソファで寝ていたせいか、あちこちの関節が痛む。 しかし、すべては自業自得なのだ。
控室へと続く廊下で、スタッフや共演者に挨拶をされるたび、次第に舞台への緊張感が漲り始めてくる。
いつまでもうだうだ引きずっている場合ではない。 心を入れ替えなければ。
まずは、この体調不良をいくらかでも緩和すべく、幸佑は鎮痛剤を鞄から取り出した。


控室には、もうほとんどの出演者が揃っていた。
出演者には全部で3つの控室が用意されている。 幸佑の部屋には7人がおり、その中には岡本の姿もあった。
 「よ、遅かったな」
さっそく岡本が声をかけてくる。 稽古にしろ本番にしろ、幸佑はいつも集合時間より早く来ることが多かったので、今日のようにギリギリなのは
珍しい。
 「ちょっと、寝坊して・・・」
衣装に着替えるためにシャツを脱ぎながらそう言い、幸佑は苦笑いを漏らしてみせた。
しかしその時、岡本の目が不意に鋭く光った。
 「・・・おまえ、なんだこれ・・・」
片袖を脱いだ腕を、岡本が掴んだ。 そのまま鏡前まで引っ張っていく。
 「岡本さん? ちょ、痛いです・・・」
幸佑の訴えにも構わず、強引に鏡の前に立たせると、掴んでいた腕を離して、かわりにそこを指さした。
 「・・・!」
息が止まるかと思った。 幸佑の腕に、信じられないモノが浮かび上がっている。
いや、腕だけではない。 よく見ると、首や顎、喉元・・・。 いたるところにソレがある。
幸佑は、脱ぎかけていたシャツを再び羽織り、ぎゅっと胸元で握りしめた。 こんなものを岡本に見られた恥ずかしさで、その場に蹲ってしまう。
間違いなく、これは玲奈の仕業だ。 きっと幸佑が眠り込んでいる間につけたのに違いない。
 「・・・幸佑、もしかして知らない間にやられたのか・・・?」
声を潜めて話しかけてくる岡本のその言葉が妙に卑猥に感じ、思わず顔が赤く染まる。
 「・・・とりあえず、俺が他のヤツには見えんように隠してやるから、その間に着替えろ」
 「は・・・はい・・・」
パーテーション代わりに岡本が立ち、その後ろで素早く幸佑が着替え始める。 チラッと鏡に映る自分の裸体が見えた。 上半身に、無数のソレが
ある・・・。
立ちふさがっている岡本にも、その様子は見えていた。 眉間に深い皺が刻まれる。 いったい誰が・・・?
そのとき、妙に嗅ぎ慣れた香りが鼻をかすめた。 幸佑が脱いで岡本の足元に置いたシャツから、その匂いがほのかに香ってくる。
シャツを拾い上げ、そっと匂いを嗅ぐ。 その瞬間、信じられない衝撃が岡本を打ちのめした。
この甘い香り。 いつもの幸佑のシトラスではなく、フローラルの香水。
疑いようもなく、それは玲奈の香りだった。 
 「・・・・・・」
凍り付くような眼で、岡本は背後の幸佑を振り返った。 
 「・・・あ、ありがとうございました。 着替え、終わりました・・・」
目線を合わせられないまま幸佑がぎこちなく礼を言ったが、岡本が何も言わないのを不審に思って、ふと顔を上げる。
岡本の表情が、なかった。
 「・・・岡本さん・・・?」
岡本はシャツ握りしめたまま、いきなり幸佑の手首を掴んで歩き出した。
 「岡本さん? どこ行くんですか?」
何も言わない岡本に不安を感じて尋ねるが、答えはない。 そのまま控室を出て、人気のないところまで来ると、ようやく岡本が立ち止まった。
 「どうしたんですか・・・」
手首を掴まれたまま、怯えるような声で幸佑が問いかける。
背中を向けたままで、岡本が小さく尋ねてきた。
 「・・・おまえ、昨夜はどこにいたんだ・・・?」
 「え・・・」
幸佑が言葉を紡ぐのを待たず、岡本が振り向いて続けざまに口を開く。
 「いや、どこに泊まった? 今日は朝帰りなんだろ」
ストレートに言い当てられて、幸佑は思わず言葉を失った。 しかしこのキスマークの嵐を見れば、そんなことは容易に想像できるというものだ。
 「もしかして・・・森下玲奈か」
 「!!」
今度こそ、心臓が止まるかと思った。 視界がくらくらして、そのまま倒れそうになる。 が、その体を岡本が支えた。
 「おい、倒れてる場合じゃないぞ。 やっぱり玲奈なんだな、この痕をつけたのも」
 「・・・・・・」
幸佑は肯定も否定もしなかったが、その表情がすべてを物語っていた。 しばらくして、幸佑が重い口を開いた。
 「・・・覚えてないんです。 昨夜、ワインを1杯飲んだだけで酔っ払って眠り込んでしまったみたいで・・・」
 「ワイン・・・? 玲奈の部屋でか」
 「はい・・・。 気づいたら、朝で・・・。 しかも、森下さんに起こされるまで全く目が覚めなかったなんて」
 「・・・・・・」
妙な話だ。 幸佑は酒に強かったはずだ。 たかがワイン1杯でそこまで泥酔するとは思えない。
しかしそれより気がかりなのは、なぜ玲奈が幸佑にこんなことをするのか、だった。
岡本が玲奈と付き合いつつも、幸佑を愛しているということは気づいていないはずだ。 後輩として可愛がっているとは言ったが、まさかそんなこと
で嫉妬したわけでもないだろう。
と、その時、遠くから人の話し声が聞こえてきた。 とっさに腕時計を見ると、もう11時前だった。
 「幸佑、もうゲネプロが始まる。 このことはまた今夜、ソワレ後にでもゆっくり話そう」
そう言って、岡本は幸佑を促してステージへと向かって行った。

 
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4 コメント

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玲奈って (かりん)
2016-11-26 23:02:27
結構岡本のこと本気だったんですね。
なんだか女性として、その気持ちもわからないでもないような。
でも、巻き込まれ事故的な思わぬ三角関係になって幸佑がちょっとかわいそう・・・と思いつつもワインで気を失うあたりついつい小辰を思い出してにやついてしまいました(笑)
雄也がやっと特別な気持ちに気付いてきた感に、こっちのカップルもどうなるのかな?なんて思ってしまいます。
何にしても、美人の幸佑は罪な男ですね!

それから、ブログに遊びに来てくださって、ありがとうございました。
すごく嬉しかったです。高&黄カップルへの萌えとより楽しんでもらえるようにアップ頑張りますね!


こんばんは^^ (ななりん)
2016-11-28 02:26:11
そうなんですよ、玲奈もああ見えて(見えなてない)わりと一途だったりするんですw
悪女風だけど、実は可愛いとこもあったり。

ワインのくだりは、書いてて私もつい小辰とカブリました (笑)
でも玲奈ちゃんは睡眠薬のみで催淫剤は入れてません。
キスマークつけちゃるのが目的なのに、ソノ気になられても困りますからねぇ (笑)

自分の美しさがすべての元凶ということに、幸佑はまったく気づいてないってのも罪でございますw

かりんさんのブログ、とっても楽しみにしてるんですぅ~((ノェ`*)っ
インタビュー版のやつも訳していただけたらめっちゃ嬉しい♡
またお邪魔しに行きますです~♪

あ、ランガンのイベント観に行ってきました☆
すっごい楽しかった♪
行き帰りの道中は色々ハプニングもありましたが(笑)、無事帰って来れてよかったです^^
インタビュー版 (かりん)
2016-11-28 19:03:56
こんばんはー。
ランガンイベント、トークも達からきっと楽しいんでしょうね^^
何はともあれ、お疲れ様でした!

インタビュー版は、今ちょうど取り掛かっていたとこでした。
たぶん近日中にはアップできると思います。

まだpart1だけ訳し終わったばかりですが、想像以上に面白い内容だったので、楽しみにしててくださいね~♪
ありがとうございます♪ (ななりん)
2016-11-28 22:18:47
おお、すでにインタビュー版も!
ありがたい限りです♪
そうそう、何言ってるかわからん状態でも、すごく楽しそうな様子が伝わってきてたので、
今から拝見するのが楽しみでしょーがありません (笑)

あと、双程のネット特番?みたいなやつに黄さんと弟くんのカレシ役の人が出てて、
ミニゲームとかトークとかやってる動画あるんですけど、それも面白そうなんですよ~
なんか、弟彼が黄さんに壁ドンして~!って視聴者のリクエストに答えてたり(!)
また、その逆も黄さんが実践してみたり(!!)
でもこれは中国語の字幕ついてなくてヒアリングのみなので、訳すのは難しいですよね^^;

って、ナニゲに訳してくれよアピール・・・自分でやれよ!ってツッコミが聞こえるww

何はともあれ、UP楽しみにしてます!!

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