名邑十寸雄の手帖 Note of Namura Tokio

詩人・小説家、名邑十寸雄の推理小噺・怪談ジョーク・演繹推理論・映画評・文学論。「抱腹絶倒」と熱狂的な大反響。

♪ スクリューボール・ジョーク 【たったひとつの願い事】

2016年10月17日 | 日記
 世界一の大富豪と、大国の大統領と、破産したホームレスのジミーが、アラブの砂漠で道に迷ってしまった。

 五日間の飢えと乾きから絶望していると、魔法のランプが砂の上に転がっている。大金持ちと政治家の二人が先を争う様にこすり続けると、巨大な魔人が現われて云った。
「御主人様。三つだけ、願い事を叶えて差し上げます。お一人様一つずつ、お願い致します」

「わしは、巨万の富に囲まれた大邸宅の暮らしに戻り、世界一の大金持ちとして世界経済を牛耳りたい」という言葉を遺して、悪徳商人の姿が消えた。
「俺は、ホワイト・ハウスに戻りお金と名声を楽しみながら、世界の戦略をこの手で支配したい」というと、傲岸な面構えの大統領が砂漠の闇に消えた。

「最後は貴方の願い事です。何をお望みですか」
「そうだな、僕は家も金も名誉も要らない」
「ずいぶんと控えめな方ですね」
「人生は無処無住。留まる事のない真理を見極めたいな」
「しかし、このままでは飢え死にするだけです。何か...、お望みはございませんか?」
「そうだね...、この世の絶望を全て経験した身だ。後は...」
「孤独を感じるのではございませんか」
「君は...、なかなかに生命体系の摂理に通じているね」
「なにしろ、ランプの魔人は何千年もの間一人暮らしですから。全てを失くされたあなた様とはいえ、今では何であろうと思いのままです。但し、願い事は一つだけにして下さい」
「魔人になるのは、どうかな」
「それは、お勧め致しません。終わりの無い世界を永遠に輪廻する身なのです」
「じゃあ...、人類の平等。世界平和と戦争の終結は?」
「それも...、無理です。世界中の財閥所有者と政治家だけでなく、自己欺瞞と争いを好む性(さが)のある人類を、何億人も抹殺せねばなりません。わたくしは、彼等と違って悪魔ではないのです」
「成るほど、それは確かにそうだね。少しでも良い方向に...。そうか、名案が浮かんだぞ!」
 ジミーは、笑顔を浮かべながらたった一つの望みを魔人に伝えた。

「さっきの二人を、此処に呼び戻してくれ」


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