名邑十寸雄の手帖 Note of Namura Tokio

詩人・小説家、名邑十寸雄の推理小噺・怪談ジョーク・演繹推理論・映画評・文学論。「抱腹絶倒」と熱狂的な大反響。

Э キネマ倶楽部 【ヴィクトル・エリセ】

2016年11月05日 | 日記
「ミツバチのささやき(サン・セバスティアン国際映画祭グランプリ)」一作でも十分な天才映像作家ですが、「エル・ス-ル」「マルメロの陽光(カンヌ国際映画祭審査員賞、及び国際映画批評家連盟賞)」も名作です。エリセは、長編映画わずか3作というこだわりの作風で知られる。10年に1作という姿勢に深遠な計画とアイデアが詰め込まれており、主題無き主題、モチーフや題材を超えた思想をごく自然に描く作風にも共感が持てます。

 「私はアナ」と、幼い少女が終幕で呟く。その一言に、外界に触れ、恐怖を味わい、自我を開く生命の息吹が見事に描かれます。撮影も、音楽も、演技も、音響も、背景も、色合いも、全てが自然に融合している。カメラの視点にしても、長回しの撮影にしても、技巧を感じさせない。フランケンシュタインと脱走兵を重ね合わせる逸話にも、優れた藝術的感性、ロマンとリアリズムの均衡が窺われます。

 映画藝術とは、ヴィクトル・エリセの為に存在する創作空間と云っても過言ではないでしょう。「ミツバチのささやき」を史上最高傑作として選んでも、決して間違いではありません。どんな映像作家も及ばない独自の藝術空間が、確として存在します。
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