名邑十寸雄の手帖 Note of Namura Tokio

詩人・小説家、名邑十寸雄の推理小噺・怪談ジョーク・演繹推理論・映画評・文学論。「抱腹絶倒」と熱狂的な大反響。

Э キネマ倶楽部 【オーソン・ウェルズ】

2016年11月04日 | 日記
「市民ケ-ン」が有名ですが、「オセロ」「フォルスタッフ」「マクベス」も唸ります。演技者としては「 第三の男」も名演です。反ハリウッドというより、藝術至上の完全主義者です。カフカの「審判」を読んだ方は、あの小説の映画化など気違い沙汰だと思われるでしょうが、ウェルズの映画「審判」は小説の曖昧なレベルを超え正確な主題を表現した完璧な出来です。アンソニー・パーキンスの最高の演技が観られます。

 ウェルズの凄い処は、どんな悲劇も喜劇風に描き出す大きな世界観です。悪戯好きなのは、世の中を見る観点が大きいからです。不真面目と公言するのは多くの大人物に共通する謙虚な冗句ですが、その背後には人智を超えた真摯な哲学と限界を超えた努力があります。

 若い頃は「火星人襲来」を信じさせてアメリカ中が大混乱に陥りました。最高傑作は、最期の作品「F for Fake(オーソン・ウェルズのフェイク)」に違いありません。これは、極めつけのお勧めです。騙される快感があります。その背後に現われるのは、藝術という想念の真の姿と云えるかも知れません。歴史や常識の虚飾を一刀両断にした名作です。それを虚飾として手品の様に見せる作法に、ウェルズという作家の悪戯、不真面目と見せる真面目さが面白おかしく描かれています。

 ジョニー・デップが好演した名作「エド・ウッド」に、エド・ウッドを励ました映画監督として実名で登場します。チャップリンとの交友もあり、「殺人狂時代」のきっかけを作った経緯もあります。映画界の巨人、映画史最高の天才という形容は決して大袈裟ではありません。
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