旅限無(りょげむ)

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日本人になるということ

2005-03-26 01:55:19 | 外交・情勢(アジア)

以下のニュースは、どの媒体でも非常に小さく扱われました。その理由がまったく分かりません。タラップを降りて来た蓮池・地村両夫妻と曽我ひとみさんの姿や、その曽我さん家族の再会ばかりを繰り返し報道していたのに、反して、最も重大な局面であるはずの「日本人」の選択と決断が軽く扱われるのは、それこそが重大な事ではないでしょうか?

地村さんら3家族、日本に永住の意思を表明
 北朝鮮による拉致被害者で福井県小浜市の地村保志さん(49)、新潟県柏崎市の蓮池薫さん(47)、佐渡市の曽我ひとみさん(45)の3家族が18日、政府に対し日本永住の意思を表明した。地村さんと蓮池さんの子供の帰国から10カ月、曽我さんの子供の帰国から8カ月。表明までにかかった時間は、北朝鮮で生まれ育った子供たちを気遣う時間でもあった。
 表明により現在、拉致被害者支援法に基づき、国から3家族に毎月支払われている滞在援助金は「給付金」に切り替わる。援助金は被害者本人を対象に毎月支給され、地村さん夫妻と蓮池さん夫妻にそれぞれ24万円、曽我さんに17万円が支援法が成立した03年1月以降支払われてきた。4月からは給付金として地村さん一家に33万円、蓮池さんと曽我さん一家にそれぞれ30万円が支給される。
 支援法は拉致被害者の自立促進などが目的で、給付金は5年間を限度に支給される。ただ、法律は3年ごとに検討が加えられる。
 地村さん夫妻、蓮池さん夫妻、曽我さんの計5人は02年10月に拉致から24年ぶりに帰国。地村さんと蓮池さんの子供は昨年5月の小泉純一郎首相の再訪朝で帰国、ジェンキンスさんと子供はインドネシアで家族の再会を果たし同7月、帰国・来日した。
 3家族は「被害者本人は全員就業し、家族も就学や就職が決まるなど今後の生活の見通しがつくようになりました。これからは完全な自立のための道をさらに加速させるとともに拉致問題の進展のためにできる限りのことをしたい」などとするコメントを発表した。
 永住表明は、拉致被害者の3家族が自立への一歩を踏み出したという意味を持つ。それには子供たちの帰国から10~8カ月の時間がかかった。子供たちは北朝鮮で教育を受けてきた。そして、友人らも残したままでの突然の帰国だった。
 蓮池薫さんが子供たちの帰国3カ月の昨年8月の会見で「行動などを見極め『(永住が)間違いない』と確信できないうちに、子供たちに『(北朝鮮へ)帰らない』と言わせてもかえってマイナスになる」と語っていたことに複雑な事情が見て取れた。
 表明に時間がかかったことについて、政府の拉致被害者・家族支援室の職員は「異文化の地に突然来た子供たちが『自分は日本人だ』と心から理解するために必要だった」と説明している。

 ◇4月からの拉致被害者家族の状況◇
地村保志さん(49)  小浜市嘱託職員
 妻富貴恵さん(49) 福井県嘱託職員
 長女恵未さん(23) 小浜信用金庫職員
 長男保彦さん(21) 福井大工学部2年編入
 二男清志さん(17) 県立若狭高入学
…………………………………………………………
蓮池薫さん(47)   新潟産業大嘱託職員
 妻祐木子さん(48) 柏崎市非常勤職員
 長女重代さん(23) 新潟産業大人文学部4年
 長男克也さん(20) 新潟産業大で日本語勉強
…………………………………………………………
曽我ひとみさん(45)  佐渡市嘱託職員
ジェンキンスさん(65) 近く米国訪問予定
 長女美花さん(21)   新潟大で日本語勉強
 二女ブリンダさん(19) 新潟大で日本語勉強

毎日新聞 2005年3月18日 20時00分

■憲法草案に「愛国心」を盛り込むかどうか、民族の誇りを教育の主要課題にするかどうか、遅まきながらも東シナ海の国益を主張すべきかどうか、竹島をどうするか……
 全ては、内向きの「日本人と生まれついた日本人」の「日本人とは何かを考えたこともない日本人」による、「日本は空気のように存在していると思い込んでいる日本人」のための議論ではないでしょうか?
 今回の拉致被害者の「帰国」「定住」「復帰(帰化ではない!)」問題に対する、政府と政治家、それ以上に世論とマスコミの動き方は、1972年の小野田寛郎少尉がルバング島から「復員」した時の動きとそっくりで、その後の中国残留孤児(この命名からして厄介者扱い!)に対する処遇、こうした絶好の学習機会を無にし続けた結果ではなかろうか?
 小野田さんを「復員」させたのは、1952年に「戦争は終わりました。出てきてください」と叫びながらジャングルを歩き回った朝日新聞の辻豊記者、1959年に戦闘発生の知らせを聞いて駆けつけた小野田さんのお兄さん(この段階で日本政府は小野田少尉戦死を発表しようとしました)、1972年に再び銃撃事件が起きて、冒険家の鈴木紀夫さんが奇跡を起こしました。この一連の出来事こそ、小中学生の教科書に載せるべき話でしょう。
「日本」を愛し、「日本人」を守るのは、悲しいことに政府ではなく民間の「日本人」だけなのだ!この恥ずかしくも感動的な現実を、日本の将来を背負う若者に、正直に伝えるべきなのです。

※ジェンキンスさんは、マスコミの暴走で混乱していますが、日本人の曽我ひとみさんの夫ですから。「日本人」になるのかどうかは、これからの話です。ワイド・ショーや軟らかめの週刊誌が騒ぎ立てると、日々の暮らしに忙しい「日本人」が誤解するような雰囲気が先行しがちで、「あれは、一体どうなったんだろう?」と思った時には、すっかり頬被りという事になってしまいますから、マスコミ・メディアの利用方法には、充分な注意が必要です。

■「極東の平和」と「世界の平和」を優先して、拉致被害者家族を10日間の滞在の後に、アノ国に帰すんだ、と頑張った外務官僚の田中某氏は、タラップを降りて来た五人を「日本人ではない」と判断していたはずです。まさか、日本人と認識していながら、憲法第九条のために「死んでくれ」と、胸の中で血の涙を流して手を合わせていたのではありますまいな?
 それを決定するのは主権を有する国民ですから、是非とも、

「貴方は、平和憲法のために、死んでくれますか?」

という全国的な国民調査を、外務省は即刻実施すべきでしょう。

※蓮池さん御一家、並びに地村さん御一家と曽我さん母子の皆さん、お帰りなさい。まともな外務省を持たず、作らず、暢気に過ごしていた私たちを、どうか許して下さい。
「二度とあやまちはおかしませんから」とは、まだまだ言えない日本人を、時々叱って下さい。敬白


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3 コメント

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自分について考えてしまいます (かぶ)
2005-04-03 23:40:20
ある団体で、拉致被害者支援活動をしつつ、胸にブルーリボンを付けたりしていますが、

自分の日本人としてのアイデンティティのあり方など、

不安も多いです。

正しい歴史を知って、自分で判断するということを基本に

いろいろ調べていても、マスコミや、右・左思想の言葉に触れ、

自分の基本スタンスは小林義則のゴーマニズム宣言あたり

じゃないかと思います。



日本の外交全般、もっと日本人としての誇りを持って

大きく出てほしいです。





国益と、個人のしあわせ、拉致被害者関係者の

色んな問題解決のためにも、憲法改正方法や、

戦後教育の見直し、マスコミの報道のあり方など、

いろいろ問題が絡まっているように思います。



酔っているので乱文失礼です。
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惻隠の情。 (橋口 勝)
2005-11-04 22:20:30
官僚、特に外務省は国民を対等な対象と考えていない。それは、在外公館に行くとよく判る。言葉でなく態度がそのことを一番よく表している。田中審議官も日本国民のつもりかも知れないが、一般国民を下に見た一人でゲームをしているような印象を受けた人が多いでしょう。外務省に限らず、いわゆるキャリア言われるグループをは、自分の頭脳優秀さを証明するためにしか存在していない様に見える。小泉改革の本丸はそこでしょう。今までの日本のは百年は頭脳の時代。。もちろんそれも必要。けど、これからは他人の痛みを感じて対応しなくちゃ。
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橋口 勝さんへ (旅限無)
2005-11-04 23:02:13
素敵な題名のコメント、有難うございます。現在、週刊新潮に連載中の鈴木宗男さんの「懺悔録=外務省告発」記事はとても面白いです。実名、それも現在の役職まで明記されているので、新聞の政治記者が頬かむりして報道していた裏側が臨場感と共に理解できます。おっしゃるように、武士の国を文官の国に変えた明治維新は、「学歴命」の風潮を生んで、技術者や商人を納税者なのに、バカにする世の中になってしまいました。知識というより「教養」の問題なのかも知れません。キャリア官僚から教養が感じられないのは、非常に残念ですね。各種受験には、それは不要なのでしょうなあ。そんな物を身に付けている間に、特典能力を上げるのだ!と名物予備校講師が言いそうですね。でも、それを本気にしたまま大学を卒業するのなら、大学の教育能力の問題になりますね。
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