旅限無(りょげむ)

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瀬戸際の年の瀬から新年へ 其の壱

2012-01-05 16:10:00 | 政治
■年が明けてしまいました。大晦日の夜にはオウム真理教の事件で特別指名手配されていた平田信が出頭して来たのに応対した機動隊員が「門前払い」していたという出来の悪いコントみたいな椿事が起きていまして、どうやら今年も警察絡みの不祥事がいろいろと起きそうな予感がするような話でありますし、年始回りやテレビで駅伝を観ていたら日本の半分が揺れるような巨大地震が東京都の鳥島近海で発生!嗚呼、今年も新たな地震に悩まされるのであろうなあ、と諦め気味に溜息をついた人も多かったのではなかろうか?そのような諸事情によりまして通常の新年の挨拶は割愛させて頂きます。

■年賀状を自粛する人が多かったのは決してIT時代の現象ではなく、口頭で新年の挨拶をするのも気が引けるような実に嫌な予感が日本中に充満しているからではなかろうか?それでも地震津波と原発事故の被災地から届く賀状や寒中見舞いに淡々と記された数行の現状報告を読む度に胸が苦しくなるばかりであります。大震災からの復興は遅々として進まず、原発事故の収束どころか真相の解明も先送り、今年はアメリカ、チャイナ、ロシア、フランス、韓国、台湾などで一斉に首脳が交代すると前々から大仰に喧伝されていたのに影響された訳でもないのでしょうが、旧年中の師走の半ばに野田ドジョウ首相は何処の誰かは存じませんが「首相経験者」を官邸に招いて消費税率の引き上げ法案が「もし不成立となった場合は総辞職をすることはない。衆院解散・総選挙で国民の信を問いたい」というので、毎年交代していた日本の総理大臣も諸外国と歩調を合わせて今年も交代する可能性が出て来たようですなあ。

■自民党よりはマシかと思って民主党に懸けてみたのが大失敗で、鳩山サセテイタダク元首相よりはマシかと思った菅アルイミ前首相は、震災被害者を放置して警報も避難指示も出さずに「ベントしろ!」と東京電力を怒鳴りつけて放射能をばら撒くことに最も熱心に取り組むような最悪の総理大臣でありました。ならば、いくら何でも菅アルイミ首相よりはマシだろうと三度目の正直とばかりに野田ドジョウ首相に僅かな期待をした人はほとほと日本の政治に絶望していることでありましょう。先代総理が参議院選挙の真っ最中に唐突に「消費税引き上げ」を持ち出して大惨敗を喫して国会がネジレ現象を起こしたのも置き土産なら、政権交代が実現した熱気の中で登場した初代の鳩山サセテイタダク元首相が不用意に準備・根回しを一切せずに「国外、最低でも県外」と口走ったことで起こった沖縄の普天間移設問題の大混乱も置き土産。どういう訳だか増税だけには異様に熱心な三代目が登場して、震災復興も(本当の)原発収束もどんどん先送りされる中、象徴的な出来事が年末に起こったのでした。

■鳩山サセテイタダク元首相が点火した怒りに燃える反対派の壁に手を焼いた野田ドジョウ政権の沖縄防衛局は民間の宅急便業者を使って28日午前4時10分すぎに名護市辺野古への県内移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書を沖縄県庁の守衛室に運び込むという悪い冗談のような行動を採りました。あまりに子ども染みた決断に沖縄の反対派は怒る気も失せたのではないでしょうか?同じ手法で消費税も引き上げるお心算か?民主党は野党に攻められる前に勝手に自壊して行きそうな様相を呈して年を越したのでした。


相次ぐ民主党議員の離党表明で、野田政権崩壊の足音が大きくなってきた。若手議員たちは来年に衆院選が行われるのを見越し「第三極」を目指したほうが、消費税増税にこだわる野田佳彦首相の下よりも生き残る確率は高いと、党を見限ったといえそうだ。来年には民主党が空中分解する可能性も出てきた。
「10人くらいで結成できそうです」
6月の菅直人内閣不信任決議案に賛成し民主党を除籍された松木謙公衆院議員は26日から27日にかけて、親しい複数の議員に新党結成の意向を伝えた。松木氏が小沢一郎元代表の側近中の側近であることから「松木新党」は早くも「小沢別動隊」と言われている。ただ、斎藤恭紀衆院議員らが離党を決意したことは、民主党にとどまって捲土重来を期す考えでいた小沢氏にとっては「暴走」でしかなく、むしろ「慎重になれ」と説得し続けてきたほどだった。
斎藤氏らに決起を促したのは国民新党の亀井静香代表だった。石原慎太郎東京都知事を党首とする「石原新党」の結成を目指した亀井氏は、小沢氏に近い若手議員らとも頻繁に会合を重ね、消費税増税などを打ち出す野田政権とは決別し、新党に参加するよう呼びかけていた。
「亀井氏の下へ走らせてはいけない」
あくまで、自身の影響下に置いておきたい小沢氏は松木氏や新党大地の鈴木宗男代表と相談し、「石原新党」の代わりにかねてから準備した受け皿づくりを本格化させたのが真相だ。…… 

■「政党助成金が欲しい!」「次の選挙でも当選したい!」、年明け直前にポロリと生まれた9人の離党者による新党は流行語を露骨にパクッた「きずな」という名前でした。一体、何を目的にしたどんな政党なのか、さっぱり分かりませんが、どうせ次の選挙までの短い命でしょうから無視しておいてもよいでしょう。


野田政権がマニフェスト(政権公約)を転換し八ツ場ダム(群馬県)本体工事再開を決めたことに反対し中島政希衆院議員(比例北関東)が24日に離党表明したことも誘発剤となった。
八ツ場事業に反対の立場で国土交通省との「チキンゲーム」を演じてきた前原誠司政調会長は「敗北」と認めながら職にとどまった。「ポスト野田」の有力候補である前原氏とは対照的に離党を決めた中島氏は党内外から「筋を通した」と一定の評価を受けた。民主党議員には一般的に、連合という固定票を失うリスクへの躊躇があったが、中島氏の離党表明は刺激になった。中島氏のところには、他の民主党議員から「同調したい」との声が相次いでいるという。中島氏は「松木新党」には入らず無所属で活動する方針だが、石関貴史衆院議員(群馬2区)も建設再開に抗議し党副幹事長の辞表を提出した。…… 

■「だから、どうした?」と言いたくなるようなコップの中のちっぽけな騒動ではありますが、蟻の一穴とも申しまして吹き溜まりの寄り合い所帯の本性が表われると、我も我もと初当選組を中心に大量の「難民」が発生するかも知れませんなあ。北朝鮮の将軍様が死亡すると大混乱が起こって難民の大群が日本海沿岸に漂着するぞ!と言われていましたが、それよりも先に民主党が炉心溶融を起こして大量の放射性物質ならぬ使い物にならない素人政治家が難民になって原発格納容器の底に凝り固まった核燃料のように、永田町のあちこちで泥団子みたいに固まって行くのでありましょう。


小沢氏も25日放送のNHK番組で、6月に野党側が提出し、自らも賛成の意向を示した菅内閣不信任案について、可決すると確信していたことを明かしたうえで「今だって、その気になれば」と述べ、「野田降ろし」に自信を示した。綱領を持たず、思想信条も定まらない民主党はマニフェストというダムも決壊し、存在意義を突きつけられている。
2011年12月28日 産経ニュース 

■『週刊ポスト』の年末特大号と新年特大号に連載された巻頭インタビューを読みますと、クラッシャー小沢は本気で民主党の改造か再編を目論んでいる気迫に溢れているようであります。福田内閣時代に大連立を画策して失敗し大恥を掻かされた恨みは消えている印象ですが、あの時と同じ口調で民主党のダメさ加減を的確に指摘している箇所はなかなか読み応えがあるインタビュー記事だと思いましたぞ。同誌の発売に合わせるように地元の岩手県に入って200キロ以上も被災地を駆け巡った由。小沢邸での「新年会が無い年は選挙」というジンクスがあるそうですが、震災と原発事故による被災者に対して遠慮したのかも知れませんが、本年の新年会は無かったとのことであります。

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