旅限無(りょげむ)

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開票後は台風 其の壱

2009-08-31 16:05:25 | 政治
■開票速報を聞いたり観たりしている時に 昔、ざこばさんが出ていたビールのCMを思い出しました。「ホンマに出してどないすんねん」という熱し易く冷め易い無責任な庶民感覚を鋭く描いた傑作でしたが、小泉劇場の熱狂から4年、下手をしたらホリエモン君も加わっていたはずの小泉チルドレン77名のうち、再選されたのは10名だったそうですなあ。「郵政民営化」を強行するために掻き集められた動員用の使い捨て陣笠議員であることは小泉元首相もチルドレン議員の皆さんも互いに分かっていたはずで、マスコミにも面白おかしく「注目選挙区」や「注目候補」にも拾ってもらえず議席を失った60余名の議員の存在が、現行の選挙制度が抱え込んでいる欠点やら恐ろしさを象徴しているのでしょう。

■前回の郵政解散選挙の蓋を開けたら飛び出した「タイゾー議員」の姿は自民党史の一頁に刻まれていますが、あの時から有権者の多くは「ほんまに出してどないすんねん」と思い始めていたのかも知れませんぞ。それに加えて毎年のように総裁を交換して総選挙を先送りし、最初の後継者だった安部さんは「小泉改革の継承」を名言していたのに、次の福田ホイホイ前首相になると継承なのか転換なのか、さっぱり分からないまま時が過ぎ、選挙の顔として国民に無断で選んだ麻生コロコロ首相の口からは「本当は反対だった」発言が飛び出したのですから、一体、何をやっているのか?これから何をしようとしているのか?これまでに何をしていたのか?国民の中に疑問を感じる心がどんどん膨らんで行きました。

■開票速報番組の中では東京12チャンネルの『ニッポン戦略会議』という企画がよく出来ていたように思いましたが、そこには竹中平蔵さんが取澄ました顔で出演しておりまして、相変わらず「小泉改革無謬論」を語っていましたなあ。自民党が歴史的な惨敗をしたのも、日本が長期の不況から脱出できないのも理由は同根で、小泉改革を中断したからだという自説を曲げませんなあ。パチンコに負けて「あと1万円注ぎ込んだら勝てたのに」と負け惜しみを言う人は、決してパチンコで儲けることは出来ないとか……。先の大戦では主要都市が灰燼に帰して国民生活の基盤が崩壊しつつあった時でさえ、「まだまだこれからだ!」と本気で叫んでいたエライ人がたくさんいたそうですなあ。

■「総括が必要だ」と多くの人が言う小泉改革なのに、本丸は郵政民営化だという事以外にその内容を記憶している人はほとんどいないのは実に不思議な話であります。しかし、選挙直前の『週刊朝日』8月28日号には「近未来大予測! SPECIAL 反・新自由主義宣言」と題してホリエモン×竹中平蔵の対談が掲載されておりまして、小泉劇場で担当大臣とチルドレン候補だった二人が、教師と生徒のような対話をしていましたなあ。竹中プランはガッツのない日本の金融機関を大規模に再編成して悪名高い「投資銀行」を設立したかったのだなあ、と素人でも想像できる内容でした。

■週刊誌には引っ張り出しておきながら、テレビ朝日の番組にはホリエモン君は呼ばれないようで、「4年ぶり」の総選挙報道をするのなら、4年前に候補者だったホリエモン君をゲストに迎えて「散る桜、残る桜も散る桜」状態のチルドレン惨敗にコメントを貰ってもよかったかも知れません。東京12チャンネルに出演した竹中さんはまったく他人事のように惨敗結果を分析していたようですが……。

■何だかんだと理由をつけては解散を先送りし続けた自民党が愛想を尽かされるのは仕方がありませんが、「ついて行きます下駄の雪」だった公明党も小選挙区での候補者が全員落選というとばっちり?を受けた悪夢のような選挙結果になりました。どこかのテレビ局が創価学会で一番エライ人に惨敗の感想を聞かないかなあ、などと無責任に妄想していましたら、どこのマスコミも「幸福実現党」をまともに取り上げていないことに気が付きました。「オウム真理教」が真理党を結成して国政に進出しようとした時には、ワイドショーやニュース報道番組て視聴者が辟易するほど取り上げたのに……。まあ、その後の選挙惨敗が武装化・テロ集団化への切っ掛けだったのは確かですから、今回は「触らぬ神に祟りなし」と全マスコミが黙契を結んだのかも?

■あまりマスコミが取り上げない部分に焦点を当てて今回の総選挙の結果を考えようかと思います。

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