旅限無(りょげむ)

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捻れる日本 其の四

2009-08-03 06:46:28 | 社会問題・事件
6月の完全失業率が5・4%と過去最悪(5・5%)に迫る中、実際の雇用情勢は数字よりもはるかに深刻だという声が高まっている。解雇せずに一時休業などで雇用を維持する企業に国が給付する雇用調整助成金で、“隠れ失業者”の顕在化を何とか食い止めているためだ。助成金申請者は6月で約238万人に達し、これを含めると単純計算で失業率は8・8%に跳ね上がる。衆院選でも雇用政策が大きな争点となりそうだ。

■年金制度を勝手にいじくって改竄した担当者が懲戒処分になったのは昨日の話。小泉元首相が民間の保険会社から引き抜いて社保庁長官に任命した某氏が、民間企業でしか通じない「数字を上げろ」と大号令を掛けたのが大間違いで、民間企業なら背任か詐欺に問われ兼ねない数値の改竄を大真面目に行った者があちこちに現われたのでした。「民間で出来ることは民間へ」というのが小泉改革の柱だったのですから、最初から社会保険庁を解体して民間会社に業務を委託か移管させてしまえば良かったものを……。

■でも、政治家が嫌う数字を隠したり粉飾したりするのも宮仕えの大事な役目ですから、「日本の人口はもうすぐ増えます!」などというトンデモない予測数値を政府に献上していたこともありましたし、毎年公表される交通事故による死亡者数も国際基準とは違う基準で算出されているとも聞きますし、先の戦争で散々行われた統計数字の改竄は既に日本の行政機関では習い性になってしまっているのかも知れませんなあ。それでは政治討論の材料には使えないという道理で、経済指標が怪しげな裏工作で水膨れしているようでは先進国仲間からも白い目で見られそうですが、既に強欲な海外資本は日本を飛び越えてチャイナへと集中しているそうですから、日本政府がどれほどええ加減な統計資料を出したところで、ああだこうだと騒ぐ金持ち連中などとうの昔に消えてしまっているのかも?


厚生労働省が集計した月ごとの申請状況によると、6月の対象者は前年同月の1774人に比べ1300倍超に激増。昨秋の米国発の金融危機以降の景気の急降下に加え、経済対策で適用条件が大幅に緩和されたためだ。助成金がなければ、解雇されていた可能性があり、経済専門家の間では「隠れ失業者」と位置づける考えが広がっている。

■世界で唯一成功した社会主義経済システムとも言われた日本の官僚機構は、満洲帝国の幻の上に建っていたようなもので、満洲の御利益?が消えてしまえば支えを失った木偶人形か、糸が切れた風船玉みたいなもので、戦勝国の米国という世界最大の市場を目指して安くて良い物を作っては輸出して敗戦の廃墟からの復興を果たしたのは、何を今さらとも思えるテレビドラマ『官僚たちの夏』がちょっとした話題になるくらいに狂おしくも懐かしい遠い思い出となっております。昭和30年代を異様に懐かしんでいる暇など、本当は今の日本には無いはずなのですが……。

■「もはや戦後ではない」と経済白書が謳い上げてからは、日本国内では赤字国債の山を築きながらも米国の赤字をせっせと埋めて輸出産業を保護していれば良かった時代がありました。でも、そんな無理をいつまでも重ねていたらエライことになるという事は、優秀な官僚たちは知っていたのです。オラが村(町)のエライ先生が何処かから分捕って来て下さったカネで橋だの道路だのを造って下さり、冠婚葬祭や祭りや運動会にも欠かさず顔を出してくれてパチパチ拍手している内に、どうしたわけか人口はどんどん減って田畑は荒れ、子供の姿が見えなくなって小中学校が無くなり、バスが来なくなったかと思えば郵便局も消え、最近では頼りの病院まで無くなってしまったそうな。

■選挙の度に「地域の繁栄」「便利な暮らし」「安心な生活」「豊かで幸福な老後」を公約していたエライ先生に投票し続けていたのに、一体、どうしてしまったのでしょう?そう言えば見棄てられた道も通らない荒地に突如として「簡保の宿」やら「グリーンピア」が建ち、一時は地元の土建屋さんがお祭騒ぎをしていたようですが、あっと言う間に従業員以外の人陰も消え、気が付いたら廃墟になっていたりもしましたなあ。頭のよい役人が計算してくれた来客予測なる数値は全部ウソだったし、農協から聞かされる薔薇色の未来図も絵に描いた餅だったと気が付いた頃には、食糧や日用品を買う場所も無くなって文字通りの「陸の孤島」になってしまった故郷には、竹下内閣時代に配られた「ふるさと創成基金」で作った馬鹿馬鹿しいハコモノが悲しげに建っていたりしますなあ。

■でも、世界で一番強いアメリカに継ぐ世界第二位の経済大国だそうですから、きっと都会では札束の雨が降っているのだろうと、大事な息子や娘を送り出して安心していたら……。


……6月の完全失業者数(季節調整前)は約348万人。助成金の申請者数には一時休業や職業訓練の重複があるが、単純に合計すると約586万人となる。失業率として計算すると、8・8%に達し、米国の6月の9・5%に迫る高水準となる。日本で失業率が過去最悪となった平成14、15年に比べ、現在は適用条件の緩和によってより多くの失業が食い止められており、日本総合研究所の山田久主任研究員は「実態はすでに史上最悪を超えている」と指摘する。

■先の戦争で旗色が悪くなった時、軍事官僚は必死になって統計数値を書き換えて、大日本帝国の国力はまだまだ大きいのだ!と大嘘をつき続けておりましたし、いざ終戦となったら今度は物資も食糧も払底して間も無く大量の餓死者が出るぞ!と逆の大嘘を並べて見せたのでした。GHQの親玉マッカーサーも、ほとほと困ってしまって時の吉田茂首相に泣き付いて説明を求めたそうですなあ。ワンマン吉田は少しも慌てず、役人が出す統計数値が正確だったら日本は戦争に負けなんだ!と恐ろしいブラック・ジョークで返答したのだとか……。


失業率の数値が実態とかけ離れていると、政策対応を誤る原因にもなり、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「失業率の過小評価は経済政策の立案にマイナスになる」と警鐘を鳴らす。……助成金の原資は企業と従業員が折半で払う雇用保険料だが、実質的に国の税金も投入されており、救済を続けるコストは重い。「中小企業では人件費の穴埋めに使うことが多い」(地方銀行幹部)と、“流用”を指摘する声もある。

■何だ、財源は「私の仕事館」と同じなんだ、などと笑ってはいられませんぞ。リーマンショックは「蜂に刺された程度」などとトンデモない事を言っている政治家が政策通と呼ばれているようでは、日本経済の「底」が何処に有るのかなど分かったものではありません。経済危機を乗り切るために15兆円を緊急に投入したから大丈夫だ!と麻生コロコロ首相は選挙演説をしているそうですが、本当に大丈夫なのか?と聴衆は首を傾げているでしょう。


過度の公的支援は、経済の構造改革や効率化を阻害する要因にもなり、日本総研の山田氏は「衰退事業、産業を延命させては本末転倒だ。雇用の受け皿となる成長産業への転換を促さないと、成長シナリオは描けない」と指摘する。助成金制度のさらなる拡充など安全網の整備にとどまらず、環境などの新規産業の育成に加え、人手不足感が強い福祉や農業分野などに労働力を供給するミスマッチ解消が急務だ。雇用をどう守り、創出していくのか。各党は政権選択を問う総選挙で、はっきりと示すことが求められている。……
8月2日 産経新聞

■景気が底を打ったような話もちらほら聞かれるようになりましたが、現状維持の延命策で既存の支持を繋ぎとめている間に、日本は巨大な既得権益の重さに耐えかねて沈没してしまうという事でしょう。政権与党が選挙に勝ち続ける最大の武器としていたのが補助金で、それを何だかんだと怪しげな名目を付けて自分の選挙区に引っ張って来るのが有能な政治家だと誰もが信じていたからこそ、800兆円もの借金が積み上がったのであります。有る時払いの催促なし、最後は何処かの誰かさんが支払った税金で穴埋めすればよいという実に無責任な借金なので、なかなか減らせるものではありません。この30年ほどは赤字国債を積み上げることで自民党政権が生き延びて来たのだなあ、と改めて考えさせられる統計数値のトリックに関する怖い話であります。


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