波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

続 新聞のAとBから

2017年05月23日 | 新聞感想
(前回から続く)
え込んだのはBの方だ。Aの沖縄の方は、国のために犠牲になれというのはあまりに無責任だと自分に恥じる気持ちがずうっと消えない。だが、国のために犠牲になれと自衛隊員の人たちに対して思っていなかったかと言うと返答に躊躇する。そこらをきちんと考えてこなかったからだ。
 
とBは、一見対立するように見えて、自分の幸せのために他に犠牲を強いることでは完全に同じだ。AとBの文章だけでなく辺野古移設や憲法9条改正の最近の新聞記事で、「沖縄の方々」と「自衛隊の方々」を入れ替えても意味は通じる気がした。そんな問題意識で実際にやってみると本当に通じる。むしろ、後者の方々のどうしようもない立場と気持ちが痛烈に迫ってくる。
現憲法遵守で入隊したにも関わらず、昨年の集団的自衛権に次いで突然の憲法9条改正宣言に遭遇し、何かの勢いで憲法改正の国民投票がもしされたら、逃げようの無い決定的な犠牲を強いられることになるのか、自分の職業自体が否定される結果が待っているのか、どちらかが選択される道筋が浮かんでくる。良くも悪くも、そんなふうに庶民が分断されることがかつてあっただろうか。
 
風立男氏は、AとBのことをずうっと考えていこうと思っている。これからどうすると言うのではなく、政治や歴史や馬鹿なリーダーのせいにしたくてたまらないがそうせず、皮相な理解で自分をごまかさず、ふだんの暮らし方の問題の一つとして静かに考え続けたい。そう、あと何年生きられそうだからあれをしておきたいとか、自分が逝った後の骨の行方はどうするとか、少し遠いようでいて実は大事なことのように。(終わり)
 

 
小川糸著「食堂かたつむり」再読し、本の片付け中断。最新刊「にじいろガーデン」購入。ついでに木皿泉著「昨夜のカレー、明日のパン」までも。減らすはずが…ムック本の「井上ひさし」、江藤淳の「夏目漱石」を時々開いている。「猫」も途中。本格読書の準備体操のつもり裏ブログの方も「ヨモギ探し」で更新。
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