沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩397 沖縄からの沖縄移住者のメッセージ 12

2013年01月07日 14時26分41秒 | 政治論
 北部訓練場は沖縄県北部、やんばる(山原)と呼ばれる樹林地帯に展開する米軍海兵隊の所謂ジャングルを想定した野戦訓練場として、一部返還代替施設設置のため住民160人が普通に暮らす東村高江地区に、今例のオスプレイヘリパッド工事が急ピッチで進められている。
 そしてこの住民と有志協力者が集って、工事進捗阻止の座り込み説得工作が早朝から夕刻まで休みなく続けられている。冬場の沖縄は本土に比べれば春か秋の気温だが、西風北風の吹き具合では朝夕の体感温度は老体を鞭打つ程度には寒い。ましてや「沖縄差別」そのものの政治環境からくる無作為な基地負担押しつけ構造に対するやりきれない憤りによって、日本とアメリカ二つの国から受ける理不尽な仕打ちはその精神を凍てつかせるものになるというものだ。
 その、ジャングル訓練のために兵隊を現地派遣させる費用もばかにならないらしくアメリカ本土にそういう訓練場をこしらえる計画が持ち上がっているそうだ(琉球新報政治欄)。ここぞとばかり日本政府が「それじゃあ沖縄の訓練場は不用になるんじゃないか」と外交筋を通して言えばいいのに、沖縄県民の真の負担軽減には頭が働かない本土の日本人にそういう外交手腕を振るう契機がおとづれることは不可能に近いということになる。
 辺野古公有水面埋め立て許可申請は、県幹部に言わせれば防衛省の「自爆行為」だそうだが、60年安保を強行突破した岸信介の末裔たる安倍晋三ならやってやれないことはない。
 何度も言うが、アメリカ合衆国における「愛国主義」が絶対的に支持する国家安全保障施策に善悪の区別はない。いくらでも議論されるべきだったブッシュのイラク戦争を小泉首相は無批判に支持し、日米安保と地位協定の「不平等性」「治外法権」及びまさしく押し付けられて作られた国軍たる憲法違反の自衛隊を温存させ、沖縄返還に際しては「密約外交」によって県民を欺き、国際戦争条規に違背する植民地政策の執行で一行政単位に特化して軍事基地を蔓延らせ続ける、日米合同の「人種差別」精神に「良き隣人」などという甘ったれた関係は金輪際ない。
 対中施策乃至戦略傾向には対日的なトーンダウンを見ざるを得ないが(安倍晋三訪米延期を強いられる)、いずれにしても本土の日本人が米軍基地に忌避感を示す歴史的事実がある限り、沖縄がその作られた「政治的環境」を逸脱した時点で日米安保は成り立たなくなる。
 日米の異常な蜜月は実質上完全に終わった。安倍晋三が軍国主義を喧伝するならそれは実際上米軍の支配下にあるものでなく独立編成部隊でなければならない。そして当然乍米軍とも対抗する核を兵器化する必要がある。
 しかし事実上いかに防衛費を増やしても国軍維持のための安定的財源は到底充当されないだろう。つまり安倍晋三軍国主義亜流にあっては所詮コップのなかの嵐に終始し、かれの政権時にこれが一歩でも前進することはない。我々人民は、近在する軍隊は住民を護らないし軍隊の存在は戦争を喚起する唯一の条件であることを知っている。従ってこの国の民が15年戦争時の狂熱に冒される繰り返しは、いかに強圧的に政治の嵐が吹き荒れても金輪際自発的に生起するいわれはない。(中断)