沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩134 本土の日本人よ 

2010年07月23日 10時42分29秒 | 政治論
 国家対人民の対立軸が最も鮮明に現れた沖縄問題の経緯は、普天間において辺野古拒否という力点を持って結果した。人民は政治的駆け引きを用意しないがゆえに拒否の結果が他県他国への移設だとしても、ここまでの過重負担の歴史からすれば負担分担という形もやむをえないと考えるのが自然だ。グアムサイパンテニアンは沖縄移民の島でもある。いかに受容が歓迎されても基地負担は二重被害に近い。従って理念的には米軍基地無条件全面撤退を要求するのが最も純粋な形である。しかし、現在日米で外交力学的に取りざたされているのが沖縄の負担軽減のための普天間返還である以上、その返還条件の拒否という闘争形態をとらざるを得ない。つまり実質上普天間から敷衍するアメリカ覇権主義への抵抗ないし世界軍事展開への反戦運動というものは世界レベルで思想検証を行わないと単なる反対のための反対にしかならない。だから国防問題含めて自律する安全保障機能に対する国民レベルの議論が是非必要になってくる。普天間問題は日本の一地域の問題ではなく日本全体の差し迫った国家未来の選択という重大な問題なのである。

詩133 本土の日本人よ 

2010年07月23日 08時24分13秒 | 政治論
 図らずも普天間問題がクローズアップされて素人にもわかったのは、日本の安全保障や国防に関して又は日本が世界に発信しなければならない平和に関するテーゼについて日本国及び日本人は今の今まで何一つ統一的見解を共有する状況に至っていなかったということである。これは一体どういうことなのか。出発はどうやら吉田ドクトリンらしい。そしてこれが日米安保の日本側のレーゾンデートルになる。経済的発展繁栄のための軍事費の極小化という考えは明瞭な合理的方針だ。しかし憲法9条はもっと明瞭に戦争放棄を謳っている。日米軍事同盟が自衛隊が明らかに憲法違反だということは今更論を待たない。日本は戦後出発の時点で自家撞着に陥った。そしてその状況は戦後65年を経ても何一つ変わらない。ある意味でこれは非常にわかり易いことではある。つまりもしこの自己矛盾を解消したいなら、まず日米安保の破棄、自衛隊解体編成替え(出動目的の限定武装放棄)を行えばよい。あるいは又憲法9条を改正し、......だが待て、誰が見ても、理想理念を語る憲法9条は条文を完全廃棄しない限り、憲法の改悪性を明示する事になる。要は現行憲法が実に見事に人類的抱負の代弁を示していると言う事実だ。そこでいみじくもオバマ大統領は正義の戦争を肯定し、核の放棄は理想だが段階をふまねばならないとかいった。この演説はノーベル平和賞授賞式で行われ全世界が聴取した。いかなる評価が世界からされたか知らないが、偶々沖縄問題を抱えていた日本ではある種の違和感を持って聞かれたのではないか。絶対平和主義、ガンジーの非暴力主義についても彼は言及したが、多分(一国の首長たる大統領の責任においては)現実にはその立場は執りえないという趣旨の説明であったかと思う。多分誰でも正義の戦争はあり得ると考えるに違いない。核の放棄は現実には段階的にしか進まないだろう。絶対平和主義も非暴力も一見不可能と思われる。問題のひとつは、正義の戦争というが、誰が正義か悪かを見極めるのか。何故手段としての戦争が正義でなければならないのか、ということだ。古来正義の戦争として始められた戦争はあったのか。いやむしろ正義の戦争として始めなかった戦争はあるのか。正義ではなく正義だという主張にすぎなかったのであろう。だからおためごかしの戦争とその現実的悲惨を人民は学んできたのだ。つまりどう転んでも戦争は現実には一般民衆の又無名な兵士の苦痛と死と取り返しのつかない不幸を生んできたのである。例えば正義は必ず勝つのか、戦後において勝者が敗者を裁く事の是々非々が問題になったことがある。この時人は不図ヨーロッパ列強がアジアを侵略し植民地化したことを思い出す、ピサロがインカを滅ぼした事を。これらを正義とは誰も言うまい。だが見方を変えればいち早く近代化を成し遂げたヨーロッパがアジアの近代化に一役買ったともいえる。アングロサクソンは各地で人間狩りをしながら世界規模で文明を開いたともいえるかもしれない。しかし又ベトナムではアメリカの機械文明をもってしても一民族の執拗な抵抗に勝てなかった、防共のイデオロギー戦争は正義ではないのか。だから負けたのか。大量破壊兵器を持たなかったイラクへの攻撃は正義ではなかったのか。連綿と続くテロによる殺人は何をもたらすのか。もしオバマが国家的責任者は自己責任において正義と判断したなら、やむを得ず戦争することもあるというなら、人民は自己責任において徴兵拒否の判断をしても許されるという論理になる。ここに生じる国家対人民という対立軸は戦争の本質を明瞭に物語っている。