犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム>捏造された洪水、東岩取入口は残ったが(その49)

2017年05月23日 | 辰巳ダム
ミゾゴイという馴染みの少ない鳥が辰巳ダムで注目された

 今年も能登にアカショウビンがやってきた。少し間をおいて「キロキロキロキロキロー」と繰り返し、森中に響き渡るようにさえずる。一度、聞いたら忘れない。冬は東南アジアにいて、夏になると繁殖のために日本にやってくる渡り鳥(夏鳥)である。カワセミやヤマセミの仲間で、水のきれいな渓流でサワガニや水生昆虫を食餌する。

 辰巳ダム周辺にもアカショウビンがやってくる。アカショウビンは容姿も見栄えがして華やかな鳥でヒーローである。一方、同じ夏鳥でやってくるミゾゴイは、日陰の鳥でくすんだ色の羽で容姿もよくなく、夜行性で平地から低山帯の暗い林で繁殖するので人目につきにくい。ミゾゴイという鳥は一般にはなじみが少なかった。

 1997(平成9)年、「森の都愛鳥会」会員の一人が辰巳ダム立地点の近くの林で見つけた。
アジア版レッドデータブックの絶滅危惧ⅠB類(1000羽未満と考えられている)、環境庁レッドデータブックで準絶滅危惧、石川県のカテゴリーで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。夜行性でサワガニやミミズを補食する。キジバトの巣に似た皿形の巣を作り、3~4個の卵を産む。低山帯の開発が進み、繁殖に適した環境が減少しているため、個体数が減少しているといわれている。

 石川県と共同で調査をしていた。ダム関連工事の影響で、最初に確認された1997(平成9)年当時の相合谷地区から、年々上流に移動している。

 石川県は環境アセスメントで、「軽微な影響にとどまっている。」と結論づけている。鳥の住処を追われているのだから、重大な影響だろうとは思うが、鳥は移動できて隣接地に類似環境が続いているので反論も難しい。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

辰巳ダム>捏造された洪水、東岩取入口は残ったが(その48)

2017年05月22日 | 辰巳ダム
(地すべり専門家の現地調査)
 2006(平成18)年5月29日、国土問題研究会の奥西一夫理事長ら3名が来沢した。辰巳ダム現地で地すべり調査を実施。瀬領では、対岸の鴛原の斜面全体を観察。鴛原では斜面の末端に立つ北電の鉄塔下で周辺の崩壊が進む様子を視認。また地すべりの最上部まで移動し、地すべり特有の水の流れやため池の確認、盆地状の山相、弓なりに曲がった樹木の様子を確認し、いまでも地すべりが続いていることを実感した。新辰巳ダムは決して環境にやさしいものでなく、逆に危険性もあり環境へのダメージはこれまで以上に大きい面もあることが指摘された。

(末端部の崩壊の進行)
 また、鴛原超大規模地すべり地の末端部の崩壊も進んでいることも明らかになる。1976(昭和51)年の地質調査時の地図で鴛原地区は、北電の鉄塔(鴛原超大規模地すべり地の末端部に設置)周辺の平地は鉄塔より10~20mほど川の方に広い。30年ほどの間に平地が地崩れで後退している。斜面に数年で育つ小木が無く、年々崩壊が継続していることがわかる。

(北電鉄塔の移設)
 2013(平成25)年8月、北電は地すべり地を避けて送電ルートを変更するために、この鉄塔を撤去している。ただ、この移設が地すべり地上にあるためであるとは公式に表明してはいない。
 1年後の2014(平成26)年12月、降雨で斜面の一部とともに鉄塔跡地を防護していたコンクリート壁が崩壊した。北電所有地のため、北電が復旧した。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

辰巳ダム>捏造された洪水、東岩取入口は残ったが(その47)

2017年05月21日 | 辰巳ダム
辰巳ダムの事業費のごまかし

 ダムによる洪水量の削減は、ダム地点で最も大きく下流に行くに従い小さくなる。辰巳ダム立地点は、市街地に近く、洪水調節の観点から効果が大きい。犀川では、氾濫防止すべき市街地は下流にあるので、ダムは下流近くが有利である。

 しかし、地質学的には逆になる。犀川では、上流は古く、風雨にさらされて固結し、安定した地質になっている。ダム立地は上流の方が有利である。辰巳ダムは、既存の犀川ダムや内川ダムよりも下流にあり、地質学的に不利である。
地層が新しく、崩れやすい。辰巳ダム湖に接する斜面の地すべりの懸念である。
 基本的には、地すべりの懸念のある立地点は避けることが基本であるが、辰巳ダムでは、立地を決めてから、地すべりの調査を始めている。

 地すべりが念頭になく、ダム地点を決めていることは、当初の犀川の洪水調節のための対策検討時点から明らかである。ダム案、河道改修案などの代替案を比較検討するときには、ダム案に地すべり対策費用はつきもので、これをどのようにダム湖斜面の安定対策費用を見込むか、費用が大きいので重要な要素になるはずであるが、これを考慮することなく、比較検討している。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

辰巳ダム>捏造された洪水、東岩取入口は残ったが(その46)

2017年05月20日 | 辰巳ダム
 ダムを計画するとき、適地判定のため地上踏査や地質調査を経て計画地を選び、ダムサイト候補地や湛水地全域をボーリングなどで予備調査を行い、最終的に問題がなければ計画地点として決定する。

 とろが、辰巳ダムの場合、適地判定前にダム立地を決めている疑いがある。
 1974(昭和49)年4月、辰巳ダム建設予備調査(地質調査,地元説明会など)を始めた。1983(昭和58)年4月、辰巳ダム建設について国が事業採択しているが、この間に行われた県の地質調査報告書はつぎの2点である。
・昭和51年辰巳ダム実施調査成果報告書(ダムサイト地質調査、貯水池周辺地表踏査)
・昭和56年辰巳ダム実施調査(2号)報告書(原石山地質調査、貯水池内旧採石跡調査)
これらの報告書では、主にダムサイトとなる上辰巳・相合谷の地質調査で、貯水池周辺の地すべりや斜面崩壊など、考慮されるべき地質調査はない。

 貯水池周辺の地すべり調査は、瀬領について「1984(昭和59)年辰巳ダム貯水池周辺崩壊地調査報告書」で詳細な記述があるが、鴛原についての記述はない。
鴛原の超大規模地すべり地が調査の対象になるのは、「1988(昭和63)年貯水池地質調査業務委託(2号)報告書」が最初である。この中で「鴛原町南西には、幅約300m、長さ約400mの緩斜面が認められるが、調査地内にはその末端部が含まれる。」と書かれ、一定の調査が行われているが、斜面の末端部(ダム湖に接する部分)について「サーチャージ水位に達しても想定地すべり土塊の一部が水没するにすぎず、安定は失われない。」と記している。そして「しかし段丘崖近くに送電鉄塔が設置されているため念のため基盤岩の性状を把握しておくことが望ましい。」と書かれている。国が事業採択して5年後のことである。

(鴛原超大規模地すべり地)
 ダム湖のほぼ中央の左岸に接して存在する。この鴛原の地すべり土塊の量は、525万m3で、200万m3以上を「超大規模」と分類されているので、文字通り、「鴛原超大規模地すべり地」である。新辰巳ダム湖の大きさ(洪水調節容量)が580万m3であるのでほぼ同じ大きさである。

「地質調査報告書(2005-2)」で、鴛原の地すべりについてL3ブロックと符号をつけて、次のような結論を出している。
「L3ブロックに安全率低下が5%未満であることから、原則として対策工の必要はないものと判断した。ただしL3ブロックについては規模が大きいことから、末端すべりの可能性について今後詳細な調査・検討を行う予定である。」
 つまり、大規模な地すべり斜面に比べて湛水する水位は低く、地すべり地全体に比べればごく小さい。だから辰巳ダムとは直接関係ない。しかし、地すべり地の規模が大きいので放っておけないので、辰巳ダムと切り離して検討しましょう、ということである。
これは、鴛原の地すべり地を過小評価することを意味する。地すべり地であっても現在動いていないのは、末端部の押さえがあって「安定」しているからで、洪水に晒され、水位変動によって末端部の崩壊が進むと押さえが効かなくなり、次々に小規模な崩壊が起きてその連鎖で次第に上部へ広がっていく。こうした連鎖は地すべりそのもので、その時々の条件で大規模に動けば地すべりと呼ばれる。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

辰巳ダム>捏造された洪水、東岩取入口は残ったが(その45)

2017年05月19日 | 辰巳ダム
地すべりの問題提起

 辰巳ダムは穴あきダムで洪水の時だけ水が貯まるので環境への負担が小さく自然にやさしいと、県は説明してきた。だが、穴あきダムはこれまでの湛水式ダムよりも危険なのではないかとの懸念がある。

 2003(平成15)年12月26日、犀川水系流域委員会第1回総合部会において、委員の一人が以下のような指摘をした。
「一番の懸念は、湛水時の残留間隙水圧上昇による法面崩壊である。貯水池付近について、地形等の調査をすべきではないか」
これに対して、県は「当方では、貯水池周辺の現地調査を行い、地すべり等が予見される箇所は調査を行っている。今後は専門家等のご指導を仰ぎたい。」と答弁した。

 この質疑を踏まえて、現地の地すべりについて懸念をしていた住民の渡辺寛が、2007年(平成19)年11月25日、「辰巳ダム事業説明会」で会場から質問をした。これに対して、ダム建設室長の山本氏がつぎのような回答をした。
「今後、国の研究機関などとも相談したい。今も国の機関と相談しており、同じ洪水調節ダムといたしましては島根県で1件、完成間近というものがございます。その中でいろいろ検討されていますので、今の洪水調節ダムであっても、崖崩れ等を起こさないということで万全にしたいと考えております。また崖崩れの調査は別途詳細調査をしておりまして、そのデータに基づいて必要な対策を行うということを考えております。」
 
 渡辺寛は、4年前の犀川水系流域委員会での指摘を石川県が検討している、具体的な内容がどのようなものか情報公開請求をした。
2008(平成20)年1月、辰巳ダムに関する地質調査資料14件が公開された。その結果、島根県で完成した益田川ダムは日本初の本格的治水専用ダム(穴あきダム)とされているが調査に行った県の職員の復命書には穴あきダムと地すべりに関する記述は皆無であり、そもそも益田川ダムの資料に水位変動と斜面崩壊というテーマそのものがない、復命書の中には、「了承された」と五文字があるだけであった。
事業説明会での答弁「(地すべりに関して)国の機関と相談」としていたが、その場の口から出まかせ、嘘であることがわかった。

 このことがきっかけとなり、石川県は地すべりの危険を軽視しているのではないかという疑念から、さらに情報公開をすすめた結果、ダム湖に接して日本有数の鴛原超大規模地すべり地が存在していることが広く知られることになった。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加