中田真秀(なかたまほ)のブログ

研究について、日常について、その他。

LibreOffice:お終いはいつも何かの始まり

2010-12-11 18:39:25 | 日記
OpenOffice.org日本語プロジェクトの公式フォーラムより:OpenOffice.org の10年(1)

OpenOffice.org ドイツ語プロジェクトの Co-Lead(共同リード)Jacqueline Rahemipourは、10月31日、"Every end is a new beginning", 「お終いはいつも何かの始まり」と題するメールを, project_leads@openoffice.org, dev@native-lang.openoffice.org, com@native-lang.openoffice.org に投稿しました。

"Every end is a new beginning"の原文です。

以下 OpenOffice.org 日本語プロジェクトの翻訳プロジェクトによる翻訳です。

-----

OpenOffice.orgのサポーターのみなさん

この数日から数週間、当プロジェクトではプロジェクトにおける協力をどうとらえるか、どうしたらもっと意欲的に仕事ができるようになるかなどを時には激しい議論を交わしてきました。しかし議論が客観的で、問題の所在を見極めたり、結論を出そうという本来の議論のあるべき姿でないばかりか、時には大変感情的になったことは残念なことです。

この議論の発端は、個々のスポンサーから独立した自由なオフィス・スイートとコミュニティーをめざすファンデーションの設立発表でした。この考え方はOpenOffice.orgプロジェクトが始まった当時からあったもので、近年何度も議論されてきました。

OpenOffice.orgはこれまでの最初の10年で大きく成長しました。この成長はメイン・スポンサーであるSunとOracleがデベロッパーを雇い、更にはテクニカルプラットフォームの提供及び維持を強力に推進したためです。

しかし、多くの有志プロジェクトメンバーや他の会社のスタッフもOpenOffice.org自体やそのサブプロジェクトに多くの時間とお金を投入したのも事実です。その協力の良い例として、ドキュメンテーション、品質保証と翻訳、共同マーケティング、コミュニティーイベントやトレードショーへの出展の企画などは特筆に値するでしょう。

しかし、これらの多くの協力作業や共通の問題解決を見出す際に、その限界に直面することも明らかになってきました。将来の作業プラットフォーム、デザインまたはマーケティングの開発に関して、メイン・スポンサーとの考えが合わなかったり、無視されたり、または責任者やその地位にある人が何の決定も下してくれないため結局実施出来なかったりしました。そしてこれは無駄な誤解や議論をもたらしましたし、現在も状況は変わりません。この限界を乗り越えるためには、プロジェクトは進化し、独立したファンデーションを持たなければなりません。

The Document Foundationの発表にたいするOracleの公式見解では「Oracle は今まで同様にOpenOffice.orgを続ける」と明言しています。その結果、プロジェクトの責任者や代表者であり、従来通りでは不十分だと感じた一部のコミュニティメンバーの間で利害対立が明らかになってきました。 テクニカル・レベルにおける協力関係を築き、状況を変えることは可能だと Oracleは何度も強調してきましたが、プロジェクトの組織や運営が直面している問題への変革の兆しは一向にありません。そのような変革を求めているのに現プロジェクトからは何の実質的な変化の兆しを見出せない人たちがThe Document Foundation(TDF)に参加しました。残念な事にこれは従来のOpenOffice.orgか、あるいはTDFかという二者択一を迫る結果になりました。

ここにサインした人たちの答えは明白です。私たちはこの変革により、コミュニティー、そしてコミュニティが開発したオフィス・スイートに進化するチャンスを与えたいのです。そのために、今後私たちはThe Document Foundationをサポートし、チームとしてLibreOffice を開発促進していきます。多くの人たちが私たちに加わってくれれば幸いです。

人は皆各自の意志で決断するべきだということは百も承知です。私たちはgermanophoneプロジェクトのポジションから退くことを決めました。今まで OpenOffice.org の開発を可能にしてきた皆さん、そして私たちと長い道のりを分ち合った皆さんに深く感謝します。
原文:http://native-lang.openoffice.org/servlets/ReadMsg?list=dev&msgNo=9360

翻訳:森本 真理

査読:Sam Lin, Yokota Kunihiko、中田 真秀、福原 信康

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (松岡)
2010-12-12 14:59:36
森本さんの見事な翻訳の文章を読み,また原文も読んでみました。

Jacqueline Rahemipour氏の書かれた文章で,この10年の間多くの人の努力でOOoが作られてきたこと。また,きれい事だけではすまない現実のなかで,いろいろな思いを持ちつつ努力されてきた皆さんのことを思い,感慨にふけっております。

先の見えない部分はありますが,今後ともOOoとTDFが発展し,よりよいもの方向に向かうことを願ってやみません。

私ができることは,限られていますが,そのなかで少しでもお役にたてればいいなと思っております。

Unknown (Nakata Maho)
2010-12-13 12:21:23
そうですね、日本では作る努力が非常にかけています。これは危険だといつもいつも指摘させていただきます。

このJacqueline Rahemipourさんのはやはり真剣にドイツ語のnative lang projectを運営した結果だと思います。Andre Schnabelさんからは色々聞きました。

翻って日本では、というと、そこまで頑張ってません。全然です。これには毎日失望と落胆の日々でした。

コミュニティの力を、といっても日本語圏にはそんな利害さえないのです。

少しずつ頑張りましょう。

コメントを投稿