闇売買の話~ニューデリーの旅

2017年04月21日 | Yoshiの果てしない旅 第10章 インドの旅

*闇売買の話
 

 関から話を聞いたのだが、実際に彼はスイスで安い時計を買って、インドで高く売るつもりで持ち込もうとしたのだ。その背景として、インドは自国の製品保護の為、電化製品、自動車、“高級商品等”(カメラ、時計、トランジスター・ラジオ、万年筆等)を輸入していなかった。従って、インド製品は直ぐ壊れる粗悪品である事を彼等インド人も承知していた。金持ちのインド人は、高くても優れた物を求めているので、そこで闇売買が広く存在していた。
 自分の身の回り品、旅行の為に携行しているカメラや時計等は、インド入国時に申告すれば不正持ち込みにならない。この場合に申告された物は、旅券に記入される。もし申告された物をインドで売れば、出国の際に旅券に記入された申告物を提示出来なければ、売った事が分かり、犯罪者として逮捕される。
 インド国境で私は、セイコーの時計とキャノンのカメラを持っていたが、特に申告する程でもないと判断し、何も申告しなかった。厳密には、申告書に書かねばならなかったのです。同行仲間も同じであった。又、入国係官は、厳しく私やロン、竹谷の荷物は調べなかった。もし申告するよう指摘されれば、旅行の必需品であり、申告すれば良い事であったのだ。
 不思議な事なのだが、入国係官は、最初から関が怪しいと睨んでいた感じであった。如何してなのか。札付きの悪者で他国から情報があったのか。否、彼はそれ程に悪い奴ではないと思った。それでは、如何して彼が怪しいと睨んだのか。彼の態度から推測して怪しいと睨んだと思うべきで、それ以外に考えられなかった。
 没収される様な行為は、良い事だとは言わないが、それ程に悪い行為とは思わなかった。インドで最初の出来事であったので、私を含めて皆、役人の対応方を知らなかったのだ。後から考えると、『必ずしも彼等の目的は、関の時計を没収する事ではない』と言う事も、想像出来た。それではどうすれば良かったのか。それは、“袖の下に入れるお金”(賄賂)の額の相談が大事であったのだ。「彼は悪い奴ではない、お土産用に買ったのだ。或は、インドでは売らない」等々を言ってみた所で、彼等からすれば、税関に関する規則で違反に当る事実を見てしまったのだ。従って、口先だけで彼等の『目こぼし』はないであろう。彼等の心を動かす力、それは、『袖の下』以外にないのであった。インドに滞在していると、袖の下も時に大事である、と思った。

                                                                                            (闇売買の話は終り)

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