必殺シリーズ 備忘録

主に各回の名シーンまとめ
※『新仕舞人』『仕置屋稼業』をまとめ中!

第06作 必殺仕置屋稼業 第19話「一筆啓上 業苦が見えた」

2017年01月29日 |  第06作 必殺仕置屋稼業



【ストーリー】
秩父の修行僧・全覚の元で荒行を行っていた油屋の息子が死に、その母親がおこうへ全覚の仕置を依頼した…が、主水は全覚の正体を知り二の足を踏む。
全覚(本名は木原)はかつて主水と同じ道場で剣を学んでいたがその後師匠・田所を斬って失踪した男であり、その剣の腕前は主水よりも上だったのだ。
主水は木原に直接会って師匠との斬り合いの真相を問いただすが、木原は語らない…。
一人先走った市松も木原の仕置に失敗し、師匠の仇を討とうとした田所道場の門弟・小出も返り討ちに合い殺された。
主水は田所の死の真相を聞きだし、木原との決着をつけるため決死の覚悟で残りの二人の門弟と共に秩父へ向かう。

【知ってるゲスト】
石橋雅史、田中弘、汐路章

【名シーン】
①首切り役・中村主水

↑珍しい主水の首切りシーン。
 首切りって専門職かと思ったら、実は同心の当番制だったそうです。
 そしてこの”侍”中村主水が仕置した件は、この回の主水に影を落とすことになる。
 ちなみに殺され役は汐路章さん、これは名悪役の無駄使い(笑)
 
②木原の発言まとめ
木原「殺すか、殺されるか…道は二つに一つと子供の頃から教えこまれてきた」
木原「強い相手を求めて次々と倒した。私は剣に溺れていたのだ。
   剣を持つ者がいずれは行きつく業苦の世界だ」
木原「あの業苦の世界から逃れるには、所詮己を殺す以外に道はないのだ」
木原「私は生きながら死ぬ道を求めて、仏にすがった。
   だが、自ら地獄に落ちた男は仏すら救ってはくれぬのだ」
木原「一人でも人を殺してしまった者には、未来永劫、救いの道はないのだ。
   どうすればいいのだ、私はどうすればいいのだ…」
   ひとしきり語った木原に、主水は声をかけた。
主水「そういうあなたが、なぜ小出を斬ったのですか?
   木原さん、逃げてください…お願いだ」

↑師匠・田所を斬ったのは木原だが、先に仕掛けたのは実は田所だった。

↑どうして主水は木原に「逃げろ」と言ったのだろうか。
 木原に半ば同情を寄せる主水には彼を斬ることはできないし、
 挑んだところで勝ち目はなく、それはまた木原が業苦に身を焼かれるということだ。
 だがこの場に留まれば、やがて二人の門弟も斬ってしまうだろう。
 その果てに待っているのもまた業苦の世界だ。
 右を見ても左を見ても業苦しかないから、この場をやり過ごす最善の選択
 (木原も門弟も助ける)は、「逃げろ」しかなかったのかも。
 しかし、木原は逃げたところでまたいつか人を斬るだろう。
 彼の言う業苦から逃れるには、一体どうすれば…。


③主水vs木原、その結末

   木原は襲い掛かって来た二人の門弟を斬り殺した。
   そこに現れた主水であったが、木原に斬られるイメージしか沸かない…。
木原「斬れ!!」
   背を向ける木原にそう言われても主水はどうしても斬りかかれない。
   やがて木原は自らの首を刀で掻き斬って自害…。
   木原の亡骸を前に、主水は片合掌する。

↑再び人を斬ってしまった木原…その姿は市松の言う通り鬼だった。


↑仏の道でも、殺しのプロである主水でも木原を救えない。
 それを悟った木原はついに自害の道を選んでしまう。
 いつもの必殺らしからぬ、一風変わった回でした。