失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「愛して愛して愛しちゃったのよ」 田代美代子・和田弘とマヒナスターズ 1965年、原由子&稲村オールスターズ 1990年、「疲れて、疲れて、疲れちゃったのよ」 イッセー尾形 1994年

2017-04-08 | 
オリジナルとカヴァーと替え歌で3ヴァージョン。

まずはオリジナル。

昭和ヒッツの豪華カップリング8㎝。

①カナダからの手紙 平尾昌晃・畑中葉子
作詞:橋本淳、作曲:平尾昌晃、編曲:森岡賢一郎 1978
平尾ミュージックスクールの先生と生徒によるデュエットソング。松原正樹のギターがむせび泣くイントロ、とするとこのドラムは林立夫か。アレンジの森岡賢一郎は昨年亡くなったSOFT BALLET森岡賢の父。ポップで哀愁のあるメロディにタイトな演奏、こりゃヒットするわ。平尾昌晃はときおりジュリーを思わせる色気のある歌唱。畑中葉子はよく伸びる声で素直に歌っているが、ところどころその後の展開を予感させるエロさもあり。改めて聴いてみると、歌詞はすべてカナダをひとり旅する女性視点で描かれている。内容的には男性ヴォーカルとのデュエットの必然性はないのだ。
関連畑中「後から前から」ゴールデンヒップスによる畑中葉子カヴァー。


②愛して愛して愛しちゃったのよ 田代美代子・和田弘とマヒナスターズ 1965
作詞・作曲:浜口庫之助、編曲:寺岡真三
マヒナのリードヴォーカルは松平直樹。お座敷対応ハワイアンという「お座敷小唄」(1964)で成功したお得意のパターン。和田弘のスティールにいかにも昭和テイストのビブラートの効いた歌唱。これもすべて女性視点からの歌詞。男女デュエットでも内容が男女掛け合いでないのは、とくに珍しくはなかった。
女性ヴォーカルを迎えて宴会ソングを歌わせる手法は「平成のお嬢さん/平成のお座敷小唄」(1991)でも繰り返されている。
どうでもいいが①②とも3分4秒の同タイム。

③①のオリジナル・カラオケ

④③のカラオケ(非オリジナル)「あらたに録り直した音源を使用しています」との記載あり。2分58秒とオリジナルより少し短い。これもマヒナの演奏なのかな?オリジナルのほうがスティールの音がいい。

定価1000円、中古で300円。
上に平尾・畑中ペア、下に田代・マヒナ。


映画「稲村ジェーン」サントラからのカット。原由子&稲村オールスターズ、1990年のシングル。

愛して愛して愛しちゃったのよ
作詞・作曲:浜口庫之助、編曲:小林武史&桑田佳祐
内容はリンク参照。スティールギターは和田弘!


イッセー尾形が歌詞を替えてカヴァー。イッセーさんの唯一の8㎝シングル。

①日本のサラリーマン エスエス製薬 エスカップC1000 CMイメージソング
作詞:馬場真人、作曲・編曲:金田一郎
哀愁漂うアコギをバックに「それでも、それでも、僕らは日本のサラリーマン」と切々と歌う導入から、銅鑼の音とともに打ち込み音頭ビートが始まる。「むかし、バブルがあったとさ」から始まる軽薄なノリは、明らかに植木等のパロディ。「♪サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」で始まる「ドント節」(1961)へのアンサーソングと思われる。イッセーさんの歌い方も植木等を意識しているが、本家ほどの豪快さがないのがバブル崩壊後の低調ムードを歌った内容に合っている。とは言え、バブル経験者が現状との落差を嘆いている設定にはまだ余裕を感じる部分も(娘にバイオリン、英会話を習わせてる)。サビは軍歌風マーチになったり、間奏でスパニッシュギターが現れたりと目まぐるしい展開は萩原哲晶風と言えるかも。

②疲れて、疲れて、疲れちゃったのよ
作詞・作曲:浜口庫之助、編曲:金田一郎、替え詞:馬場真人
タイトルから想像されるとおりの替え歌。こちらもひたすらサラリーマン悲哀あるあるを並べた歌詞。「満員電車 ちょっと、よろけりゃ、痴漢に間違えられる」みたいな。「朝からワープロ やっと、うちあげ トイレに立てば、コードが抜けた」は、時代を感じさせる。まだ自動バックアップシステムとかなかった1990年代。こちらはとくにクレイジー風ではないのに、やはり植木等ぽく感じてしまう。イッセーさんの声は、もともと植木等に似てる部分があるんだな。そう言えば風貌もちょっと似ているような。間奏はニュースキャスター風イッセー尾形の語り。終盤は疲れすぎてグダグダ感を出してくるあたりも植木テイストあり。

③④カラオケ

定価1000円、中古で100円。
CMキャラだった植田まさし「かりあげクン」がエスカップC1000をかかえて走っている。下のほうに小さなイッセーさん8態。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「愛のしるし」 PUFFY 1998年... | トップ | 「青いイナズマ」 林田健司 1... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事