中村叶の詩

中村叶の詩です。元気になれる。勇気がでる。心安らぐ。

『燕の駅』あらす詩

2006-03-27 21:59:45 | 詩(あらす詩・在らす詩)

『燕の駅』あらす詩


 少女がいた 重度の心臓病だった

 手術を3回も受けた

 だが、容態はなかなか好転しなかった


 長かった3回目の手術を思うと

 次の手術を受ける決心がつかなかった

 「どうせ私は死ぬんだ」

 手術を勧める医師と母に

 少女はかたくなに心を閉ざし

 自暴自棄な言葉を口にした


 ある日、隣の病室に

 同じく難病の中年男性が入院した

 男の飾らない人柄、屈託のない性質に

 少女は少しずつ心を開いていった

 病人同士の友情が芽生えた


 そんなある日

 その男の娘の詩がコンクールに入選して
 新聞に大きく載った

  つばめのえき 一年 立木葉子

  つばめがとまるところは

  みんな

  つばめのえきです

 男はとても喜んで、何度も何度も

 少女にこの詩を読んで聞かせた


 ある夜、男が倒れた

 少女は、すぐに医師に異変を告げた

 少女の通報が早かったおかげで

 男は一命をとりとめた

 

 医師の手当のあと

 意識をとりもどした男は

 小さな声で少女にいった


 千佳ちゃん、ありがとう。……葉子のね…

 詩が……。葉子の……詩が……

 ぼくを救ってくれ……みた い……ですよ

 つばめが……とまる……ところは……

 みんな……つばめのえきです


 男の言葉は独り言のようにも聞こえた


 千佳ちゃん……ほんとうにそう……ですね

 とまったところは……

 つぎへいく駅なんです……

 千佳ちゃんも、おじさんも……

 そう思ってがんばりました……


 次の朝目を覚ますと

 少女は母親と医師を呼び

 手術を受ける決心をしたことを告げた

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燕の駅

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1 コメント

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こんにちは。 (the3rdeye)
2006-04-14 08:15:02
はじめまして。

昨日はTBをいただいてありがとうございました。



切ないながらも癒しを感じる暖かい詩、

これからも寄らせていただきます。

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