俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

格差改善

2016-10-01 09:57:27 | Weblog
 昨日(30日)の朝、朝日新聞の朝刊を見て驚愕して一瞬で目が覚めた。素晴らしい覚醒効果だ。1面トップには「小中の学力 地域差改善」という見出しが掲げられていた。この記事は前日に私がネットやテレビから得ていた情報とは随分異なっていた。私がこの件に関して得ていた印象は、成績下位県での学力の向上と上位県での低下だった。
 学力テストは難易度のバラ付きが酷いために平均的が大きく変動しているから相対評価以外は難しいという欠点を持っている。そのために学力が向上したかどうかは、前回の自県ではなく今回の他県との比較に頼り勝ちだ。
 但しこれは必ずしも正しい理屈ではない。全体の学力が極端に変動していなければ、それぞれの得点を偏差値に換算することによってある程度正確に今回・前回対比をすることが可能だ。文部科学省は競争を煽らない方針のようで、原始データに基づいた様々な試算を許さないためにわざわざ大まかかつ加工後のデータしか公表せずに教育関係者を煙に巻いている。
 こんな悪条件の元で独自に「改善」と評価することは極めて難しい。順位が上がってもそれが自県の向上によるものか他県の劣化によるものか判定できない。
 緻密な分析をさせないために加工データしか公表されていない現状で朝日新聞はどんな根拠に基づいて「地域差改善」などと断言できたのだろうか?彼らはどんなマジックを使って学者でも不可能と思える大胆な結論を導いたのだろうか。
 私は謎解きへの期待に胸を膨らませて記事を読んだ。しかしその期待は100%裏切られた。これを「改善」と評価したのはロジックでもマジックでもなくただのトリックだった。高得点だった県が低迷して低得点だった県の得点が増加しただけだ。これを「格差改善」と評価できるものだろうか。少なくとも朝日新聞でさえデジタル版も含めて名古屋本社版以外はそう評価せず、他紙と同様、均質化や同レベル化としか評価していない。
 学力テストは4教科・2学年を対象にして延べ8教科で実施された訳だが、朝日新聞はこのデータからどうやって大胆な結論を導いたのだろうか。驚く勿れ、上位3県の平均点と下位3県の平均点だけが頼りだ。データの公表が不充分でありしかも全体の平均点まで使って加工しているから詳細な分析は困難だが、概して上位だった県では低下して下位だった県では得点が増加していたことぐらいはほぼ確実だったようだ。平均点の増減は様々な原因で起こるから一概には言えないが、もし上位だった県での成績低下が事実であるなら「地域差改善」などと無邪気に喜ぶのではなく上位県の学力低下問題として注目すべきなのではないだろうか。
 古代ギリシャ神話にはプロクルステスという盗賊が登場する。彼は捕えた旅人を自分のベッドに寝かせてはみ出した足を切り取り底に足が届かない人を牽引機に掛けたと伝えられている。彼にとっては彼のベッドが人間の身長の基準であり総ての人間がその基準に従わねばならなかった。
 現代のプロクルステスは世界全体を自分の基準に従わせようとする。平等性と対立しかねない人は総て敵だ。優等生も劣等生も格差の原因に繋がる悪人だ。戦後70年も経ったのにこんな平等至上主義が中部地区には今尚残っているようだ。こんな野蛮人は関東や関西では大昔に駆逐された筈だが中部地区にはまるでシーラカンスのように生き残っていた。丁度、縄文系の原語が中央から駆逐されても南北の端の沖縄と北海道には残っていたように、プロクルステスの末裔は中部の吹き溜まりでしぶとく生き残っていたようだ。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 徴候 | トップ | 責任者不在 »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL