こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

馬車よ、ゆっくり走れ

2015-12-09 10:03:12 | 文化・芸術
 
先日紹介したが、長野市にある東山魁夷館。

年間テーマは「魁夷をよむ」。東山が遺した随筆作品をベースに、それに呼応する絵画作品で展示を構成します。第IV期 「馬車よ、ゆっくり走れ ─ドイツ・オーストリア紀行」では、ドイツ・オーストリア風景を中心に展示します・・・と説明されています。

展示されている絵は、どれもカメラのフレームから覗き込んだような作品です。車で走りすぎる日常の中では見つからない、見ることのできない街角の姿です。車をおりてゆっくり歩きながら、あるいは立ち止まって、あたりを見回すと、きっと私にも見えてくる風景なのかなと思います。

そこで、ネット通販で『馬車よ、ゆっくり走れ』と、『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』を取り寄せてみた。これから少しずつ読み進めていきたい。

『ある朝、馬車を走らせて田舎道を進んでくる人がある。よほど急ぐとみえて砂塵を
立てて走って来た。道端にいたティルの前で馬車が止り、
「次の町まで何時間かかるかね?」
と聞く。ティルは馬車の様子を見て答える。
「そうさね。ゆっくり行けば4,5時間だね。急いで行くと、1日がかりかね。」
「人を馬鹿にするな」
と、男は怒って馬に鞭を当て、前よりも早く馬を走らせた。2時間ほどで馬車の車が壊れ、
次の町へようやく辿り着いたのは真夜中だった。』

いまや、驚異的な科学の発達も、機械文明の過度の進展も、畏れを失った人々も、すべて
が、狂的で、魔的な力の暴走の中に在る。それが、「人類の偉大な進歩」であるとしても、
ブレーキが必要であることは、もう、誰の眼にも明らかである。そのブレーキとなるものは、
いま、多くの人間が失いつつある、素朴で謙虚で、自然との調和を考え、情緒と潤いを大切
にする、人間らしい生き方ではないだろうか。
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