柊じいさんの、ぼ・や・き・

年寄りが日向で居眠りしながら、色々と、昔のこと、これからのことなどなど、ぼやきます。

埋もれ火 微改

2017-02-24 10:30:25 | ことば考

(2005.5.27初稿)

 また、遙かな昔の話をする。
 今ごろ言うのも季節違いだが、「火鉢」をご存じだろうか。
 これが可搬型の暖房用具だった時代も、そんなに大昔ではない。
 40年も遡れば、どこの家庭にもあったのではないかな。
 石油ストーブなどは、わが家になかった。
 学校には薪ストーブくらいはあったのかもしれないが、あまり鮮明な記憶がない。
 とにかく冬は寒かった。
 雪も今よりたくさん降った。
 囲炉裏で火を燃やして、家族で暖をとる。そこでできる燠(おき)を「火消し壺」に入れておくと「消し炭」になる。
 本物の木炭には及ばないが、それでも代替品として、そこそこには使えた。

 高校の受験勉強を、物置の一隅につくった勉強机(ミカン箱か、ちゃぶ台の)でやった。
  そばに火鉢が置いてある。
  火鉢に火を起こして、「消し炭」を載せておく。
  赤くなったら、周りの灰を寄せて、長持ちするようにしておいて、教科書や参考書にとりかかる。
 母屋では、家族が寝静まっている。
 外には、昨日の雪が残り、冷たい月も出ている。
 ジンジンと寒くなる。
 古い外套のようなものを頭まで被って、眼をこすりながら、練習問題に挑戦する。
 手がかじかんでくると、火鉢に手をかざして温める。
 
 一人で勉強するということは淋しいものだ。
 一つひとつの課題をクリアーしていく楽しみもあるが、長い人生の旅を思うと、ほんとうに淋しくなって、たまらなくなったものだ。
 そんな時、

   学問のさびしさに堪え炭をつぐ

 という山口誓子の俳句を思い出し、共感を覚えたものだ。
 氏は、大学で法律の勉強をしていた24歳頃に、この句を作ったということだが、京都の冬を火鉢で暖をとりながら堪えられた姿が目に見えるようだ。 
   それに自分を重ねていた。
  
  炭火は時間が経つと消えかかって白い灰になる。
  新しく炭を継ぎ足してやらないと、僅かな熱源さえなくなってしまうので、時々は補給してやる必要がある。
  一呼吸入れるつもりで、炭を足してやる。
  おれの場合は「消し炭」だったから、頻繁に継ぎ足したやらねばならなかったが・・・。
  
  白くなった灰の下には、細いながらも、赤い炭火が残っていた。
  新しく黒い炭をのせ、息を吹きかけると、また赤々と大きく燃え上がる。
  そんな「埋もれ火」のような存在でありたいと思ったりしたこともある。2005.5.27

   2014.9.28追記
  カッコつけて言ってはみたが、けっきょく田舎の爺さんは、埋もれ火のまま灰になった。 
  誰かさんの、凍えた指先を温めてあげられもせずに・・・

 

  

 

 あかね雲

 

 

 

 

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