アヴァンギャルド精神世界

冥想により、限りなき知性と底知れぬ優しさを。そこに次の時代が・・・。この世はドリームでもあり、リアルでもあり。

わび茶の濁り

2006-04-15 05:56:22 | 時代のおわり
◎千利休の一碗の茶の真の味

わび・さびと言うのは、千利休のよく称揚した考え方である。利休は、南方録にて、わびについて次のように説明している。

「さて、わびの本意は、清浄無垢の仏世界を表わして、この露地・草庵に到着してからは、塵埃を払却し、主客ともに直心の交わりなので、規矩寸法、作法など、なおざりに言うことはできないし、火を起こし、湯を沸かし、茶を喫するまでのことであり、他のことはあるべきではない。

これ即ち、仏心の露出するところである。作法・挨拶にこだわるばかりに、種々の世間の決まり事に堕して、あるいは客は主の過ちをうかがいそしり、主は客の過ちを嘲(そし)る類になってしまう。

この子細をよく了悟する人を待つのに時間はない。趙州(中国唐末の禅僧)を亭主とし、達磨大師を客にして、利休と南坊(利休の弟子)が、露地の塵を拾うほどであるならば、一会は整うべきか、呵々大笑。」

このロジックでは、露地・草庵の外では、清浄無垢の仏心がないとしているので、これは内と外が違いがあるということであるから、およそ仏心からはおよそほど遠い人心のことであろう。好意的に見れば、露地・草庵を一つのサンクチュアリ(聖域)と見立てて、茶の湯を仏心という聖なる雰囲気を味わう機会として提供したというものと見ることができようが、一刻一瞬を真剣勝負で暮らしている禅者にとっては、生ぬるいことこの上ない。

この問答に続いて、南坊宗啓が利休の悟境を問うたところ、利休は、「一碗の茶に真味あることが、だんだんほのかに、わかって参りましたが、時に水の濁りを為すことは、利休が誤るところである。また客たる人が得道していないので、主もまた(客たる人に)ひかれて迷うことあり。」とあり、窮極には至っていないことを述べている。

金に任せて贅沢をするのを良しとする桃山時代の人々に対して、彼らが思いもかけなかった、茶の湯一碗に窮極の香りを薫ぜしめることに意義があったとは認められるが、茶の湯は更に一歩、思い切って踏み込むための手法ではなかったようだ。

目次
    1日1善。1日1クリ。



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2 コメント

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利休 (よーさん)
2006-04-16 18:30:17
TBありがとう!
私は、お茶は習ったことがありますが、余り、難しいことは良く分らない。
利休は、侘び茶の完成者といわれる。『南方録』は研究者の間で高い評価を得ていたことから、重要資料として現在の「わび茶」の概念の形成に大きな影響を与えたらしいが、近年偽作で、江戸時代に創作されたものとされているらしい。
侘びの世界は、簡素で何げない、むしろ貧しいものに美を見いだしたもので、利休の使っていたもので茶壺として万金で取引された呂宋 壺は、フィリピンでは尿瓶として使われていたともいわれている。
日本の戦国時代が終わると、成金が続出し、見かけの金ぴかのものを贅沢品だと思って茶の湯の道具にもそのような金ぴか趣味を持ち込まれ、それに対して利休のわび茶は、朝鮮の百姓家を模したとも言われる小さな茶室の粗末な座敷で、あり合わせの道具を使用して、本当に茶の味だけを楽しむのが正しい茶道だとしたのだろうと思う。
しかし、今の時代、茶湯で使う道具は現代陶工のものでもちょっとしたものは何十万円とするなど、高価なものを用い、作法として、茶碗の高台を見て、品質定めをするようなことをしている。私は、どうも、そのような作法が気に入りません。

よーさん殿へ (湖南)
2006-04-17 05:45:02
コメントありがとうございました。

そうですか。最近の茶会では、骨董の目利きよろしく茶碗をひっくり返して高台を見るのですか。何十万円の茶碗に何かあればいいですが、何もなければ、それだけのことですね。残念なことです。

私は、茶の湯にも何かきっと深遠なものがあろうと思い調べてみましたが、深遠なるものの影をうかがうことはできるが、それ以上のものはなかったように思いました。

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