以下たんぽぽ舎より転載します。
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┗■2.文明を崩壊させかねないスーパーフレア、
| 巨大なら爆発のエネルギーは水素爆弾1億個分
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その222
└──── 島村英紀(地球物理学者)
◎ 太陽に黒点(こくてん)というものがある。太陽の温度は6000度Cほどだが、
黒点は4000度Cほどとやや低いので、黒っぽく見える。大きいものは肉眼でも見
える。
黒点が丸ければなんのこともない。だが、不規則な形をした黒点が複数あると
きには、それら黒点の間に強力な磁界が生まれて、「太陽フレア」というものが
放出されることが多い。
太陽フレアが出ると地球に影響する。まず、発生直後に強力なX線などが地球
に届き、通信障害を引き起こす。
続いて30分から2日後には太陽から吹き飛ばされた陽子などの粒子線や高温の
ガス、プラズマが地球に達する。このため地球を覆う地磁気のバリアが乱れて大
規模な停電が起きたり電子機器が壊れる。人工衛星が壊れたり宇宙飛行士が強い
放射線に被曝(ひばく)したりする。弱くても地球上空にある電離層が乱れて衛
星放送が映りにくくなったり、GPSに誤差が生じたりする。
◎ さる9月に太陽フレアが地球を襲った。11年ぶりの大きさだったが、事前の
警告よりも実際の影響が小さかったので、大したニュースにはならなかった。い
ままでの例でも、フレアの大きさと被害の規模は一致するとは限らない。
過去には1989年にはカナダで600万世帯に及ぶ大規模な停電が起きたほか、
2003年には日本の人工衛星が故障したこともあり、日本など、ふだんは見られな
いような低緯度地域でオーロラが観測されることもあった。
◎ 最近、もっと怖い話が出てきた。それは桁が違う「スーパーフレア」という
もので、太陽より若い恒星にだけ起きる現象だと思われていた。
だが、最近の研究では、太陽にも起きることが分かった。宇宙望遠鏡のデータ
を調べたら、太陽に似た8万個以上の恒星のうち9カ月間に148個の恒星でスーパー
フレアが365回起きていたのだ。
そして、過去には太陽でも実際にスーパーフレアが起きた痕跡が見つかった、
古い屋久杉の年輪にある炭素の同位体・炭素14を調べたら、奈良時代の775年に宇
宙から大量の放射線が降り注いだことがわかったのだ。
スーパーフレアではなく、太陽より大きな恒星が寿命が尽きたときに起きた超
新星が爆発した可能性がなくもない。だが、それなら肉眼でも明るく見えて、古
文書にも記録されているはずだ。しかしその種の記録はない。
つまりスーパーフレアが太陽でも起きた可能性が強い。巨大なフレアの爆発の
エネルギーは水素爆弾1億個分という途方もないものだ。
◎ 黒点の観測など太陽の近代的な研究が始まってからまだ200年に満たない。研
究は途上で、それゆえ予想できない影響が出る可能性がある。天井がない地球の
表面に暮らしている私たちは防ぎようがない。
地震に限らず、文明が発達することは災害に弱くなっていくことだ。
奈良時代にはなんということもないスーパーフレアだった。だが、今後もし起
きたら、多くの電子機器が破壊され、私たちの文明社会は崩壊してしまうかもし
れない。電気もガスや水道も銀行も、多くの面で電子機器に頼っているからだ。
(島村英紀さんのHP http://shima3.fc2web.com/
「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より2017年11月3日の記事)
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┗■2.文明を崩壊させかねないスーパーフレア、
| 巨大なら爆発のエネルギーは水素爆弾1億個分
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その222
└──── 島村英紀(地球物理学者)
◎ 太陽に黒点(こくてん)というものがある。太陽の温度は6000度Cほどだが、
黒点は4000度Cほどとやや低いので、黒っぽく見える。大きいものは肉眼でも見
える。
黒点が丸ければなんのこともない。だが、不規則な形をした黒点が複数あると
きには、それら黒点の間に強力な磁界が生まれて、「太陽フレア」というものが
放出されることが多い。
太陽フレアが出ると地球に影響する。まず、発生直後に強力なX線などが地球
に届き、通信障害を引き起こす。
続いて30分から2日後には太陽から吹き飛ばされた陽子などの粒子線や高温の
ガス、プラズマが地球に達する。このため地球を覆う地磁気のバリアが乱れて大
規模な停電が起きたり電子機器が壊れる。人工衛星が壊れたり宇宙飛行士が強い
放射線に被曝(ひばく)したりする。弱くても地球上空にある電離層が乱れて衛
星放送が映りにくくなったり、GPSに誤差が生じたりする。
◎ さる9月に太陽フレアが地球を襲った。11年ぶりの大きさだったが、事前の
警告よりも実際の影響が小さかったので、大したニュースにはならなかった。い
ままでの例でも、フレアの大きさと被害の規模は一致するとは限らない。
過去には1989年にはカナダで600万世帯に及ぶ大規模な停電が起きたほか、
2003年には日本の人工衛星が故障したこともあり、日本など、ふだんは見られな
いような低緯度地域でオーロラが観測されることもあった。
◎ 最近、もっと怖い話が出てきた。それは桁が違う「スーパーフレア」という
もので、太陽より若い恒星にだけ起きる現象だと思われていた。
だが、最近の研究では、太陽にも起きることが分かった。宇宙望遠鏡のデータ
を調べたら、太陽に似た8万個以上の恒星のうち9カ月間に148個の恒星でスーパー
フレアが365回起きていたのだ。
そして、過去には太陽でも実際にスーパーフレアが起きた痕跡が見つかった、
古い屋久杉の年輪にある炭素の同位体・炭素14を調べたら、奈良時代の775年に宇
宙から大量の放射線が降り注いだことがわかったのだ。
スーパーフレアではなく、太陽より大きな恒星が寿命が尽きたときに起きた超
新星が爆発した可能性がなくもない。だが、それなら肉眼でも明るく見えて、古
文書にも記録されているはずだ。しかしその種の記録はない。
つまりスーパーフレアが太陽でも起きた可能性が強い。巨大なフレアの爆発の
エネルギーは水素爆弾1億個分という途方もないものだ。
◎ 黒点の観測など太陽の近代的な研究が始まってからまだ200年に満たない。研
究は途上で、それゆえ予想できない影響が出る可能性がある。天井がない地球の
表面に暮らしている私たちは防ぎようがない。
地震に限らず、文明が発達することは災害に弱くなっていくことだ。
奈良時代にはなんということもないスーパーフレアだった。だが、今後もし起
きたら、多くの電子機器が破壊され、私たちの文明社会は崩壊してしまうかもし
れない。電気もガスや水道も銀行も、多くの面で電子機器に頼っているからだ。
(島村英紀さんのHP http://shima3.fc2web.com/
「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より2017年11月3日の記事)