日記

No Pain, No Gain

グリーンマイル;ジョン・コーフィを助けられなかったのはなぜか

2010年01月31日 22時41分28秒 | D
かなり今更だが、「グリーンマイル」を初めて見た。面白かった。と同時に、観終わった後浮かんだ疑問は題名の通りである。一体なぜ、無実の彼が死刑にならなければならなかったのだろうか。

ジョン・コーフィは明らかに殺人犯などではない。少女2人の殺害容疑で死刑囚となった彼だが、真犯人はウィリアム・ウォートンなのである。それは物語の途中で主人公ポールが見た幻覚の中で明らかとなる。それに、ジョン・コーフィは無垢な子供のような男だ。人を殺せるはずがない。かつ、人の病気を治してしまう奇跡としかいいようのない能力を持っている。その能力を使ってポールの病気も治したし、死にかけたネズミも治癒したし、末期ガンの患者も助けた。そんな善人がどうして2人の少女を殺害できるだろうか。

と、ここで感情的にならずに冷静に考えてみる。すると、明らかになるのは実は「ジョン・コーフィが殺人犯では無いと証明できる証拠は一つもない」という事実のみなのである。

確かにポールは幻影の中で真犯人がウィリアム・ウォートンであると知る。だが、その「幻影」を見せたのは誰なのか。それはジョン・コーフィ本人に他ならない。生き物を治癒する奇跡を起こす彼が、「人に偽りの幻影を見せる」という奇跡くらい起こすことなどいとも簡単にできてしまうだろう。もし仮にポールがその幻影を根拠として「彼は無実だ!」といったところで、一体どこにその証拠はあるのだろうか。彼の頭にしかない証拠を、どうやって他人に立証できるのだろうか。

まだある。彼は「を殺せない無垢な男」ではない。実際彼はウィリアム・ウォートンをいとも簡単に殺害している。それも、自分の手によってではなく、パーシーを操って。これだけ人を簡単に殺すことのできる男がどうして無垢と言えるのだろうか。

残念ながらジョン・コーフィには「殺人犯ではない」と明らかに立証できる行動も証拠も残されていないのだ。勿論私もジョン・コーフィが真の犯人などとは思っていない(ストーリーの展開からして、真犯人は明らかにウィリアム・ウォートンである)。だが、彼は違うと言い切れるだけの証拠も全く残されていないため、物語中盤に登場する弁護士の言うとおり、「ジョン・コーフィは殺人犯だ」ということのみが真に確からしくなってしまったのである。よって、彼は助からなかったのである。

非常に興味深いストーリーであったと思う。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿