今日は朝から弓道練習。的場の上に青空が広がり気分が良い。しかし中りははかばかしくなく2割弱、「的の少し前を狙って弓手を振ってあてている」との指摘を気にして直そうとして全体のバランスが崩れた感じ。スランプというほどではない。トンネルはじきに抜けそうだ、とはいつも前向きのわれである。
『トンネルのむこう』大谷榮男第二歌集 2016年5月刊 青磁社
大谷さんは僕が初めて入った短歌教室の級長さん的な方で、まじめで誠実な人柄でクラス員から慕われている。長いこと銀行員をされて退職し、短歌、展覧会巡りなど教養的な人生を送っていらっしゃる。ここ数年少し体調がすぐれなかったがだいぶ復調されたようで一安心。日々の暮らしを素直に詠んでいらっしゃるが、戦死された兄上の歌、病気がちの歌などは迫力がある。穏やかな日常をお祈りします。
ルーズベルトの対日制裁(案)、戦闘に修正とわが生まれし日の新聞
突撃か爆死なりしかアンガウル島に死にたる兄は二十三歳
蟷螂はうつぎの枝にたまご産み茶色になりて萎びたる 死
下北沢(しもきた)は若者のまち四十年ネクタイせしわれ街に似合わず
正月の岩波ホールに観る「懺悔」うしろの席で鼾をかくな
突然の目眩にはげしき吐き気せり頭の中でなにか起きてる
就活をせざるに写経の縁ありてご朱印を書く浮岳山深大寺
深大寺のカレーは大盛り肉たっぷりメタボの僧のおかわり羨し
ひねもすをご朱印書きて初日終う次は護摩札を書けとの仰せ
厄除けの朱印の所望あまたあり効き目は兎も角こころ込め書く
歩かねば糖尿病悪化す疲れればヘルペス痛む妻あわれなり
赤鬼と恐れられたる直弼は趣味人なりて渾名「茶歌鼓(ちゃかぽん)
牧水の歩みし順路をまた来たり上州六合村(くにむら)暮坂峠
しゃがむのも座るもつらし足腰の痛さに耐えるは老いへの試練
リハビリに音を上げたれば妻は言う「他人(ひと)に厳しくおのれに甘い」
漢方薬煎ずるときの豆を煮るような佳き香に飲みたしと妻
秋冷に励ますごとし萎えるなと山茶花あかき一輪咲き初む
ふるさとの赤城山よりのぼりたる十六夜の月あかきを忘れず