長生き日記

長生きを強く目指すのでなく良い加減に楽しむ日記

329 『硯の海』

2016-10-19 18:41:22 | 日記
高橋律子第一歌集 本阿弥書店 2016年9月刊
高橋さんはかりん東京歌会によくおいでだがおとなしくされていてお話したことはない。歌集の略歴からずいぶん以前から歌作をしておられることが分かった。最近は書道の歌が多く、字を上手に書くことにコンプレックスのある僕はなんとなく近寄りずらかったのだろう。司書さんなどしながら娘さんを育て上げられたようである。おとなしい分、自分でいろいろなことを考えられていてそれをさらさらと容易に短歌にされる年季が感じられる上手な方だ。思うとか、気になる、とかの言葉が多いのにうなずける。大きく逆編年構成である。ますますのご健詠を!硯の海というのはすった墨汁がたまる窪みのことだそうだ。 たまには墨をすって大きい字を書くのもいいだろうなあ、小学校の時はちょっとうまかったのだが、それ以後全くダメ、近年はペン字でもさらによれよれになってきた・・。

第一部2010~2016
気の利かぬことを指摘し同僚は上司の如くわれに接する
自詠一首書けば大きく弾む字よ自由な秋の朝の始まる
かな文字を習へば源氏物語のやうな消息書ける気のして
離婚せねば小学校の図書室で児童と触れ合ふこともなかりき
クリーム塗つてもささくれある手にて透明マニキュア働く気になる
失つて初めて気づく幸せなり群青の空に三日月の出ぬ
マイナスもプラスもあれど梅雨入りの横浜のわれはレモンのブラウス
働いて人と接して活力が出ましたねと言ふ孤りのわれに
気がつけば祖母と同じくピンク色のサングラスしてゐる秋の日よ
婦人雑誌の働く服の特集に形からまず入つていこうか
第二部1983~2009
しんしんと初雪の降り凍てし道われと子と一歩一歩踏み締む
「口角を上げよ」と母に言はれたりマジックのごと心明るむ
譲り葉の香る小径に足止めぬ新しきこと始めてみようか
「どぢやうから白魚になつた」とシャワー後に吾子の笑へばわれも微笑む
憧れの歌人は目元の涼し気な心良き人であれと読書す
聡明な友と出会へばわがカオス整理されゆくごと清々し
可愛気と言へるかどぢ言はれるか自ら測れぬ今日の失敗
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