「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログです。

「放射能」「被曝」「原発」、日本のリアル状況確認と僕の思索を書き留めるブログ。
更に重要なことはメルマガで展開します。

小児科医のローゼン博士(IPPNW)「『WHOのフクシマ大災害リポート』の分析」正式な翻訳。後半。

2012-11-27 10:58:17 | 福島第一原発と放射能

後半部分の正式翻訳を掲載します。さらにあす、結論部分なども載せます。

========================================

「WHOのフクシマ大災害リポートの分析」
アレックス・ローゼン(Alex Rosen)医学博士
ドイツ・ジュッセルドルフ大学付属病院・小児科クリニック
2012年9月14日

「ガンを誘発する放射能に『しきい値』はないという事実」を隠匿
WHOのリポートは、推算された実効線量が一定の基準レベル以下にあると主張してい
る。:例を挙げれば、住居でのラドン外部被曝の基準レベルは「年間の実効線量およそ10
ミリシーベルト」であるし、緊急時における計画被曝線量は「急性もしくは年間の実効線
量およそ20-100ミリシーベルト」である。従って(推算された実効線量の範囲では)危険
性をもたらすようなことはない。
WHOは、発ガンや他の放射線誘発の疾病に罹患するリスクが、被曝線量に比例して高まる
と謂う重要なインフォrメーションを隠匿しながら、なんらかの安全性を示唆しようと試
みているようである。
福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーである山下俊一は、年間100ミリシーベルト
の被曝量は、子供にとっても大人にとっても安全であると宣言するまでに至っている。:
そして、「ヒト被曝集団においては、ほんの僅かな線量増加でも或る程度の発ガン増加を
生じる。そのような増加は理論的には測定可能であるが、100ミリシーベルト以下の線量
では、統計的に微々たる重要性のないものであるから、過大なリスクの論議として考慮に
いれることは出来ない。」とも述べた。だが、ある人間にとって統計上、重要でない事が、
他の人間にとっては死活にかかわる重大な問題であるかもしれないのだ。
しかしながら、山下氏のコメントは少なくとも(WHOのリポートとは違って)、上述され
ているように、100ミリシーベルトよりもずっと低い被曝線量における統計的な結果を指
摘しているので、国際的に確立されている「直線しきい値なし仮説(Linear No-threshold
Model)」を承認していることになる。WHOのリポートには、この「直線しきい値なし仮
説」やその結論に関しても何も述べられていない。
米国科学アカデミー諮問委員会は、国際的にも評価されている「BEIR VII リポート」の
中で、電離放射線の生物的影響について-放射線損傷に関してより低い閾値といったもの
は存在せず、最も低い被曝線量でさえも組織損傷や遺伝子変異をもたらすこともある。
それ故に、低線量被曝した多数の住民の間で発生する甲状腺ガンのケース数が、高線量被
曝した少数の住民の間で発生する甲状腺ガンのケース数と同数に達することもあり得る。
-と、明示している。
国際BEIR-VII-被曝リスク・スタンダードモデル(standard international BEIR-VII
dose-risk model)に基づくと:-①平均被曝量10ミリシーベルトを受けた住民の中で、
1000人に1人がガンに罹患することになる。②100ミリシーベルトの被曝量では、100人に
1人がガンに罹患することになる。
基準レベルは、低いにしろ高いにしろ、いつでも決まって「社会的許容リスク」に基づい
て定義づけられることは明らかである。ヘルメットを被らずに通りを自転車で乗り回す事
は、ある場所では、またはある人々にとっては「社会的許容リスク」として見なされるか
もしれない一方、別の人々にとっては見解が異なってくる可能性もある。

あり得ない、偽りの安全性保証よりも、どれぐらいのレベルのリスクを社会で容認できる
のかについて公開討論する事が必要である。
もしWHOのリポートが、1,000人中に1人のガン罹病率を「社会的許容リスク」とみなす事
を選択しているのだとしたら、はっきりとその事を述べるべきである。そして、原発作業
員用の基準レベルと比較して、故意に歪められた安全性を仄めかすべきではない。子供は
原発作業員ではないし、放射性物質と接触することによって、自分の健康を危険に曝すこ
とを選んだわけでもない。
子供達や幼児達の健康を論じる報告書に、原発作業員の基準レベルを述べるような場所な
んて何処にもない。更に、胸部X線検査1回の放射線量は「0.02ミリシーベルト」と微量で
あるが、どんな医者も、患者に対して、もちろん子供や妊婦に対して、必要のない放射線
検査は行わない。放射線影響の確率的性質を知る事は、あらゆる被曝を避けることが悪性
疾病の発生を防ぐのに役立つことができると謂う事を分かることである。
そして、「100ミリシーベルト」とは、1年内に5000回の胸部X線検査を受けることに相当
する。如何なる放射線科医も敢えて、そのような数量を人の健康にとって微々たる無視す
べきものであるとは謂わないだろう。
日本の国会事故調査委員会は「福島原発事故報告書」でこう記述している。:
「長期にわたる低線量被曝による晩発障害には『しきい値』がなく、リスクは線量に比例
して増えることが国際的に合意されている。年齢、個人の放射線感受性、放射線量によっ
てその影響は変わる。また未解明の部分も残る。一方、政府は一方的に線量の数字を基準
として出すのみで、どの程度が長期的な健康という観点からして大丈夫なのか、人によっ
て影響はどう違うのか、今後どのように自己管理をしていかなければならないのかといっ
た判断をするために、住民が必要とする情報を示していない。」
食物の抜き取り検査
総被曝推定量の大部分は、放射能汚染された食物の摂取によってもたらされた内部被曝か
ら成る。 WHOのリポートは、内部被曝のレベルを算定しようと試みているが、その推定値
の不適切さを釈明していない。当然のことながら、内部被曝量の計算は、食物のサンプル
選択やサンプリングの規模範囲を制定する方法によって大いに影響される。
WHOのサンプリングの規模範囲について、唖然とさせられる事がある。-原発事故が発生
した最初の1ヶ月に福島県全域において、たった17個の卵が検査され、2ヶ月目には11個の
卵、3ヶ月目にはゼロ個、そして終に4ヶ月目にはまた11個の卵が検査されただけなのであ
る。4ヶ月中に福島県全域から集められた、たった39個の卵(プラス日本の残りの地域か
らの18個の卵)を測定することによって、卵を摂取して受ける内部被曝量を、人口1億
2000万人のために決定することになるのである!

同様に、福島産の果物に関してもサンプリングの規模範囲は限られている。-最初の1ヶ
月には40個のサンプル、2ヶ月目には16個のサンプル、そして、この同期間に、日本の他
地域からは其々49個と28個だけのサンプルが検査された。
WHOのリポートは、このように、実際の放射線量を明らかに過小評価している要因につい
てコメントすることはなく、「測定された其々の放射能濃度量は、福島県や隣接する県に
おける食物市場全体を代表するものである。」と述べている。と同時に、リポートは別の
過小評価の要因を認めているのである。:「我々の査定では、平均食物消費量を800から
900グラムとしているが、実際には一日の平均消費量は2000グラムである。」
また、WHOのリポートにあるサンプルに関して、- ①何処で収集されたのか、②誰が収
集したのか、③どのような目的で収集されたのか-について何もコメントされていない。
原子力産業にも、それに協力している政府機関にも、福島原発事故がもたらす健康的影響
結果を結論づける上で、重大な利害衝突がある。それ故、東電もしくは日本原子力機関に
よって公表されたサンプル分析結果は、独立した科学者たちによって厳しく質疑されなけ
ればならない。何故ならば、東電も日本原子力機関も、国民に決定的で重要な情報を与え
るのを差し控えるようとする動機があるからである。
一つの好例が福島県産の野菜の汚染レベルである。WHOのリポートには、野菜サンプルの
中で最も高レベルの放射能汚染が、「ヨウ素-131:54,100ベクレル/kg」そして「セシウ
ム-137:41,000ベクレル/kg」となっている。ここで興味深い事は、最も高いレベルのヨ
ウ素-131を含んでいたサンプルは福島県外からのものであったと謂うことである。
ところが、文部科学省(MEXT)は、ヨウ素-131濃度が「2,540,000ベクレル/kg」までに上
る-(WHOリポートに報告されている最高汚染度の野菜サンプルよりも40倍以上の汚染度)-
野菜サンプルを見つけた。また別の野菜サンプルには、セシウム-137濃度量「2,650,000
ベクレル/kg」-(WHOリポートにある最高汚染度の野菜サンプルの60倍以上)-を検出した。
メルトダウンから1ヶ月経った後も未だ、最高濃度量「100,000ベクレル/kg」を超すヨウ
素-131が検出されていた。:(WHOリポートに述べられているものの殆ど2倍の汚染度)
また、「900,000ベクレル/kg」のセシウム-137(WHOリポートにある汚染度の20倍以上)
も検出された。
既に文部科学省のウェブサイトに掲載されてあり、様々な刊行物にも引用されているサン
プル分析データを、なぜ自分達の分析から省いているのか、WHOのリポートは釈明してい
ない。このように、WHOの食物サンプルの選択/分析は、不適切・不十分であり、多数人口
の内部被曝量を算定するために、WHOのリポートに掲げられているような限られた数の食
物サンプルの汚染レベルを基に外挿するようなことは容認し得ないことである。
放射能汚染された水道水の影響を隠匿
更に懸念すべきコメントが、WHOのリポートの後の項に述べられてある。:専門家グルー
プが「水道水の線量は他の被曝経路からの線量に比べて低い」と考えたため、WHOは、汚
染された水道水を通しての被曝量を単に算定に含めなかったと謂う事である。

これは奇妙なことである。何故なら、IAEA(国際原子力機関 -International Atomic
Energy Agency)が、3月17日から23日の間に福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県か
ら採られた飲料水サンプルの中に高レベルの放射性ヨウ素-131を検出したと警告したから
である。東京の北部の地区でさえ、水道水に含まれていたヨウ素-131量は「210ベクレル/
リットル」であった。
ドイツ放射線防護協会(deutsche Gesellschaft für Strahlenschutz e.V.)、フード
ウォッチ(Foodwatch)、そして、IPPNWドイツ支部(核戦争防止国際医師の会-
International Physicians for the Prevention of Nuclear War)の公表によれば、水や
食物に含まれた放射性ヨウ素-131の量に「しきい値」はない。-これに従えば、原発災害
が始まった後の日々に測定された水道水の汚染レベルは、汚染された水を飲んだ人達に、
健康影響を及ぼすだけの甲状腺線量を被曝させた一因となってしまったことになる。
WHOが、推算から水道水汚染を除外していることは、納得のいかない内部被曝量の算定を
試みている彼等のリポートの信用性を更に落とさせていることになる。
魚介類や海産食品に関する放射能汚染のデータ不足
WHOのリポートには、魚介類や海産食品の放射能汚染に関して、原発事故から最初の2ヶ月
間に福島県で捕られた、たった41の魚介サンプルからのデータが、含まれてあるだけであ
る。リポートには、これらのサンプル中、一つのサンプルから最も高い汚染量が検出され、
その測定値は、「ヨウ素-131:12,000ベクレル/kg」及び「セシウム-137:7,100ベクレル
/kg」であったと述べられてある。
リポートの筆者は、「海水中で放射性物質が希釈されるので、放射能が放出されたポイン
ト近くの線量のみに重大性があることになる。」と推測していて、生物濃縮の結果を無視
している。
栄養カスケードに基づき、放射能レベルは食物連鎖を通して上昇していく傾向がある。主
に人間によって食べられるマグロのような大きな魚は、時の経過と共に、筋組織の中に最
も多量の放射性アイソトープを蓄積する。
福島第一原発からの放射性物質放出は、今日に至るまでずっと続いているので、海洋生物
の放射能汚染はこれからも続いていき、経時的に汚染量が増えることが予測できる。
一例を挙げれば、北太平洋で捕れたスズキである。:検出された放射性セシウム量は、
2011年の3月から9月まで上昇し続け、9月15日に測定された最高汚染量は「670ベクレ
ル/kg」であった。
東電の2012年5月のある公表によれば、検査された76の魚介サンプル中、33のサンプル
(43%)から、許容基準量「100ベクレル/kg」を超える放射性セシウム量が測定されたと
ある。2012年5月9日に、小高から3キロの沖合いで捕れたカレイの汚染度は「1,190ベクレ
ル/kg」と測定され、これは基準量の10倍以上に達している。

2012年7月、日本の環境省は、「福島県の湖や川で捕れた淡水魚の放射性セシウムの汚染
度が海水魚よりも高く、1つのケースでは『2,600ベクレル/kg』が測定された」との検査
結果を発表した。
WHOのリポートには、これらの検出事項について何も述べられていないので、調査検査の
ために、どのようにしてサンプルが選択され、如何なる理由でより高い放射線量を示すサ
ンプルが除外されたのかという疑問を再び提起している。
フクシマ原子炉で進行中の問題について言及せず
WHOのリポートは、2011年3月12日から4月6日だけの期間をカバーした算定を用いているの
みで、福島第一原発における放射線漏出の問題は存続していて、今日に至るまで、放射能
は環境に拡散し続けている事実を無視している。東電でさえもが認めた事実-「3月26日
から9月30日の間に、『1.1x1京ベクレル』のヨウ素-131と『約 7x1000兆ベクレル』
の放射性セシウムが海洋に放出され続けたこと」-について、WHOのリポートには述べら
れていない。
同様に、第一号機から第三号機までの原子炉を、一日におよそ535,200リットルの水でこ
れからも冷却し続ける必要があることについても言及されていない。-これらの水は気化
されて大気中に拡散されるか、放射能汚水として地中にしみ込んでいく。
リポートには、「ヨウ素の放散があってから4ヶ月後以降には、ヨウ素の放出はなく、総
被曝量への寄与量はゼロであると考えられる。」と述べられてある。WHOは、「ヨウ素が
放出されたのは原発災害が始まった頃だけであるから、ヨウ素-131の濃度は放射性崩壊に
よって減少したため、それ以上の放出は起こらなかった」と仮定しているのである。
しかし、2011年6月、文部科学省の科学者達は福島県の様々な市町村からの土壌サンプル
検査を行った結果、「200ベクレル/kg」以上の濃度のヨウ素-131を検出したのである。-
最高汚染度は、浪江で「1,300ベクレル/kg」、飯舘で「1,100ベクレル/kg」が測定された。
ヨウ素-131の半減期は8日間であるから、3月15日の最初の降下から90日後に、このような
高レベルのヨウ素-131が測定されたことは、後になってからも、さらなるヨウ素-131によ
る区域汚染があったと思われる。
同様に、原子力災害から3ヵ月後に採れた野菜サンプルに、ヨウ素-131の汚染量「2,200ベ
クレル/kg」を検出したことが、WHOのリポートには述べてられてある。-この事は、最初
の爆発があった後も放射性ヨウ素が放出され続けていたという更なる証拠である。これに
は、1基または数基の原子炉において核分裂か再臨界が自然発生したことが原因となって
いる可能性があると推察される。
WHOのリポートに言及されていないもう一つの事実は、東電が認めたこと-「2012年1月に
放射性セシウムの大気中放出量『60メガベクレル/時』または『凡そ1,440メガベクレル/
日』が未だ測定されていたこと」である。東電は、ヨウ素-131放出がさらに続いたのかに
ついては、コメントしていない。

重大な甲状腺調査について隠匿
WHOのリポートには、福島県の1,080人の子供たちを対象にして行った甲状腺研究調査につ
いて言及はされているが、研究調査結果の懸念される内容について、もしくは、その研究
調査結果から推論される最終的な健康上の影響/結果について詳説されていない。
研究調査結果は、安心させるどころか不安を駆り立てるようなものだった。:最初のヨウ
素-131降下があった後一週間以上経ってから行われたモニタリングでは、検査された子供
たちの内、44.6%の子供の甲状腺から、「35 mSv」までに至る放射性放射が測定された。
殆どの子供たちにおいては、放射線量「10 mSv以下」が測定された。
しかし、これを査定する上で、放射性崩壊の原則が鑑みられなかったのである。ヨウ素-
131の有効半減期は7.3日間であり、実際、この崩壊の原則は非常に重要な事である。:モ
ニタリングをしていた時点で(3月24日-30日)、放射量測定が為されたのだが、一番最初
に測定された放射性ヨウ素-131の量の50%以下の量しか検出することが出来なかったので
ある。
残りの検出されなかったヨウ素-131の量は、既に崩壊してしまっていて、周りの組織に損
傷をもたらしてしまっていたということになる。この事は、当然、考察されるべき事実
だったのだが、WHOのリポートには、これに関して何も言及されていない。
更に、「有害な放射線影響には、より低い閾値などいうものは存在しなく、低被曝量で
あっても悪性疾病に罹患するリスクを高める可能性がある。」という事にも、リポートは
言及していない。
こうして再び、専門家でない素人群(そしてメディア)は、「社会的許容リスク」の原則
-(どれぐらいのレベルのリスクを社会で容認できるのかについて公開討論する必要性)-
を否定され、ある一定の限界値以下であればリスクはないと信じさせられたこととなる。
チェルノブイリの場合:
①放射性ヨウ素-131の降下があったホメリ地域(Gomel Oblast)において、チェルノブイ
リ事故以後-1986年から1998年までに、0歳~18歳の子供/青少年の間で発生した甲状腺ガ
ン罹病率が、チェルノブイリ以前-1973年から1985年までの罹病率と比較して、「58倍」
に増えていたことが明らかになっている。
②インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー(International Journal of
Cancer)に、2006年、発表されたある研究調査によれば、-「チェルノブイリから放出され
たヨウ素-131を被曝したために、ヨーロッパにおいては、甲状腺ガン罹病の追加ケース数
が『16,000件』あったことを算出した。その中の約1/3が子供で、彼等が受けたヨウ素-
131被曝量は『25 mSv以下』だった。」-となっている。

WHOのリポートには、福島の子供たちにおける甲状腺影響に関した、もう一つの大きな研
究調査について、何も述べられていない。
4月26日、福島県庁は最初の「住民健康管理調査」を公表した。: 0歳から18歳までの
38,114人の子供を対象に、エコー機器(超音波機器)による甲状腺検査が行われた。その
内、184人の子供(0.5%)に5mm以上のサイズの甲状腺結節が、202人(0.5%)の子供に
直径5mm以下の甲状腺結節が発見された。そして、13,398人(35.1%)の子供に、甲状腺嚢
胞が見つかった。小児科学の研究調査にとって、このような検査結果はかなり珍しいこと
である。
これと比較し得るエコー機器による甲状腺検査が、2000年長崎県で行われた。:その検査
結果は、検査された250人の子供の内、2人(0.8%)だけに甲状腺嚢胞が検出され、その
ほかの子供たちには、どのような形の結節も見つからなかった。-福島の検査結果が示し
た数は、この検査結果と著しく異なっている。
更にもう一つの研究調査が、放射性ヨウ素‐131降下の影響を受けた白ロシアのホメリ
(Gomel)地域で行われた。そして、この研究調査も福島と同じように似通った甲状腺結節
の増加率を示した。: 検査を受けた19,660人の子供の内、342人(1.74%)に異なった
サイズの結節が見つかった。
興味深いことは、既述した上記の全ての3つの研究調査を責任担当した科学者が同一人物
であったという事だ。:その人は山下俊一、現在、福島県の放射線健康リスク・アドバイ
ザーをしている。彼は、「年間被曝量『100ミリシーベルト以下』での深刻な健康影響は
予想できない」と主張した人物である。
ここで、嚢胞や結節は必ずしもガンの前兆とは限らないという事を書き留めておかねばな
らない。しかし、汚染地域の子供たちにおけるこのような異常の蓄積は、少なくとも言及
に値する事であり、更に進んだ調査が必要である。
ホメリや福島で観察された異常が被曝の結果なのか、それとも何らかの別の原因にあるの
か、調査されなければならない。一方、福島県健康調査の担当者たちは、これとは全く反
対の結論に達している。彼等は、検査された個人の99.5%は、翌年以降、再検査を受けな
くてよいと勧告している。
被爆者を研究の対象として利用
WHOのリポートは、「原子力大災害の影響を受けた人々の中で誰一人として-放射能放出
の-または包括的/集中的な科学研究の-試験対象になりたいのかどうなのか-を尋ねら
れなかったことがなかった事実」を記述していない。しかし、WHOは、これらの人々を対
象に医学的および疫学的な調査研究に取り組んできた日本当局の努力を賞賛している。
①政府は、原発事故によって影響を受けた汚染地域から進んで離れたいと願っている人々
のために、適切な財政的援助を提供していない。
②その為に、多くの市民は汚染環境の中で生活することを強いられてしまっている。

③その結果、市民たちは、「汚染環境の中で生活することが、如何なる健康上の影響・結
果を人間に及ぼすのかを確かめようと試みている-科学的研究の対象となること」を余儀
なくさせられてしまっているのである。
福島県と福島県立医学大学は放射線医学総合研究所(NIRS)と協力連携して、福島の200万
人ほどの住民を取り入れた健康管理の調査を始めた。この調査内容には、2011年の3月11
日から7月11日までの住民の行動に関する質問があり、それには-①個人個人の行動の仕
方/振る舞い、②移動/移転、③生活習慣、④地元産の食物とミルクの消費-についての質
問が含まれている。
また、福島大学は360,000人の子供を対象に甲状腺検査を始めた。その中で何らかの異常
が検出された子供達は、‐①20歳に達するまで年に2回の検査を受けること、②20歳以後
からは5年ごとに一回の検査を死ぬまで受けることが‐義務付けられている。
これらの検査が、放射能の影響をできるだけ早期に発見し治療する目的を果たしている事
になるのだとしても、「原発大災害が-何百万人という人々を-その人達の意志に反する
ことでありながらも-研究の対象にさせてしまっているのだ。」と謂う事を、はっきりと
述べなければならない。また、WHOの研究調査には、この原発大災害が人々に及ぼした心
理的および社会的影響について何も言及されていない。

 

 

ジャンル:
ウェブログ
コメント (8)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 小児科医のローゼン博士(IPPNW)... | トップ | 【新潟・ガレキ阻止】本日予定の... »
最近の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ランドセル (Unknown)
2012-11-27 11:51:06
木下さんの記事とは関係ないですが、ランドセルをどうしようか悩んでいます。工場が福島や東北が多く材料も国産と謳っているメーカーがあり気になります。PCがないので調べるのも限界があります。大手量販店に行き工場を直接聞いたところ東北(福島込)と言われました。
アドバイスいただけると助かります。よろしくお願いいたします。
ランドセルお探しの方 (Unknown)
2012-11-27 13:20:07
お近くにネットカフェはないですか?あればお試しなさってね。私の携帯検索からは→ランドセル専門店オンリースタイル
メイン素材, 人工皮革(エアヌール/中国製) 背面/ストレッチ合皮(中国製). ランドセル ...(randoseru-onlystyle.com/)
格安ランドセル販売:エクスプロア北京2011年2月18日... 日本向け輸出している中国製ランドセルです、日本の設計です。(bj.explore.ne.jp/.../65999.html)
品質 デザイン お好み、ご予算はわかりませんがご参考までに…。ニ×リ イー×ンも一度 お問い合わせなさってみてください。お問い合わせ済みなら 申し訳ありません。
ご参考に。。 (Unknown)
2012-11-27 13:59:57
わたしも同じでランドセルの工場が気になりいろいろ探して購入しました。
池田屋さんのランドセルは問い合わせをしたところ、「ランドセル製造場所についてですが、
池田屋のランドセルは全て、愛知県と富山県の
ランドセル専門の工房にて行っております。」とのことでした。
Unknown (Unknown)
2012-11-28 18:54:38
コメント下さった方々ありがとうございました。ネットカフェのことは言われると思っていましたが生憎近くにないのと、近くにあっても子どもが小さいのでなかなかじっくりネットに没頭できません。ニ○リは確認済みですが池田屋は知りませんでした。イー○ンとは何でしょうか?メーカー名が思い当たらないのですが…。
コメントいただけて本当にありがとうございました。
ランドセル (奈菜)
2012-11-29 10:49:43
ランドセルですが、奈良県で製造している小さいメーカーがあります。メーカーのHPに牛革はアメリカとニュージーランド産とありました。詳細は直接ご確認していただければと思いますが、参考までに。楽天にも店舗がありました。
「鞄工房山本」
Unknown (mainau)
2012-11-29 23:03:28
ドイツ語版の方がこの大急ぎで完成させたらしい翻訳とやらよりも、はるかに長文である。それゆえ、この翻訳は抄訳みたいなものだと理解する。
原文では膨大な参考文献もきちんとあげられている。参考文献入れると全部で30ページ近くになる。
なお、放射能の総放出量の推定値の比較、放出された放射性物質の一覧とその主な特質、および食物からの内部被爆の換算の一例などが、原文ではきちんと明記されている。
きちんと医学的に学術的にこの報告書を理解したい医者は、翻訳ではなく、原文をダウンロードして、時間かけて読むべし。
ドイツ人の書く報告、学術論文はきわめて厳格なので、本当に理解したければすべて読むことが必要。
原文へのリンク先。http://www.ippnw.de/commonFiles/pdfs/Atomenergie/Gesundheitliche_Auswirkungen_der_Atomkatastrophe_von_Fukushima_final.pdf
原文の内容一覧 (mainau)
2012-11-29 23:13:28

原文にはきちんと表題が付けられ、次のように構成されている。
--------------------------------------------------------
Inhaltsverzeichnis  目次 
Zusammenfassung S. 2  総論
Die Kernschmelzen S. 3  メルトダウン
Radioaktiver Ausstoß in die Atmosphäre S. 4 大気中への放射能放出
Bodenkontamination S. 6 土壌汚染
Verseuchung des Meeres S. 8 海洋汚染
Kontamination von Lebensmitteln und Trinkwasser S. 9 食品と飲料水の汚染
Fallbeispiel – das Dorf Iitate S. 11 例 飯舘村
Auswirkungen auf die Gesundheit S. 12 健康への影響
Berechnung der Strahlendosis S. 14  放射線被爆量の計算
Abschätzung der gesundheitlichen Folgen S. 15 健康上の影響の推定
Besondere Gefährdung der Kinder S. 17 子供たちは特に危険にさらされていること
Ausblick S. 19  展望
Schlussfolgerungen S. 20  帰結
Abkürzungsverzeichnis S. 22  省略記号一覧
Quellenangaben S. 23  参照文献目録
訳者 (グローガー理恵)
2013-03-15 04:33:38
mainauさま
ご指摘下さいました原文の件ですが、私が訳した原文とは違うようです。原文は「WHOのフクシマ大災害リポートの分析」と題されていますように、論文はローゼン博士がWHOのフクシマ事故報告を分析し批判したものです。一応、原文へのリンクを差し上げておきます。http://www.fukushima-disaster.de/fileadmin/user_upload/pdf/english/ippnw_analysis_WHO-report_fukushima.pdf (英文)
http://www.fukushima-disaster.de/fileadmin/user_upload/pdf/deutsch/ippnw_analyse_who_report_fukushima_011012.pdf(独文)

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。