総務省統計局の家計調査支出データ項目(商品)の多くには、100世帯当たり購入頻度、支出金額、購入数量、平均価格および10,000世帯当たりの購入世帯数が掲載されています。
100世帯当たり購入頻度は、100世帯が1ヶ月当たり何回購入したかの購入回数を表しており、この値を100で割れば、1世帯1ヶ月当たりの購入頻度ということになります。
したがって、この1世帯1ヶ月当たりの購入頻度で、支出金額および購入数量を割れば、それぞれの1回当りの支出金額および購入数量となります。
また、これらの数値は、購入した世帯と購入しなかった世帯をあわせて1回当たりの支出金額および購入数量ということです。
一方、10,000世帯当たりの購入世帯数は、文字通り10,000世帯の内、何世帯がその項目のものを購入したかを表しており、百分比に置き換えることもできます。
すなわち、9,500世帯であれば95%の世帯、100世帯であれば10%の世帯が購入している(普及率)ということであり、これを先の100世帯当たりの購入頻度を10,000世帯の購入頻度と置き換えて、この数値を10,000世帯当たりの購入世帯数で割れば、購入した世帯のみの購入頻度(実購入頻度)を算出することができます。
以上のことから、この実購入頻度を用いて、支出金額および購入数量を割れば、実際に購入した世帯のみの1回当りの支出金額および購入数量を算出することができます。
なお、平均価格は、原データの支出金額を購入数量で割っても、購入した世帯購入しなかった世帯をあわせて1回当りの支出金額を購入数量で割っても、また、実際に購入した世帯のみの1回当りの支出金額を購入数量で割っても、いずれの場合にも同じ平均価格になります。
このことから、実購入頻度、購入世帯のみの1回当りの支出金額、購入数量および平均価格ならびに普及率の推移を分析することで、ストレートに家計調査の支出データ項目の数値を分析するよりは、1世帯当たりの消費行動がわずかながら明らかになるのではないか、また、スーパー、小売店には多少でも販売戦略に役立つ情報になるのではないかなと思われます。
◇1世帯1ヵ月当たりの鶏卵購入頻度の推移
前述のように、100世帯当たりの購入頻度を10,000世帯の購入頻度と置き換えて、この数値を10,000世帯当たりの購入世帯数で割れば、購入した世帯のみの購入頻度(実購入頻度)が得られます。
分析期間における実購入頻度は、平均で1ヵ月当たり4.12回であり変動の範囲(偏差)は±0.13回であることから、ほぼ週1回弱の頻度と言えます(1年52週÷12月=4.33回)。
グラフでは変動が規則的に見えるのは、月の大小で1ヶ月に含まれる週が異なる(大の月は4.43週、小の月は4.20週、2月は4週(閏年は4.14週))事によるものです(季節変動、季節要因)。
(上のグラフをクリックすると、拡大したグラフを見ることができます。以下も同じです。)
この1年間では、2012年10月から2013年3月までは年率ベースで-0.3%の減少、2013年4月から9月は年率ベースで-0.2%の減少で推移しています。
◇1世帯1回当たりの鶏卵支出金額の推移
前述のとおり、支出金額を上述の実購入頻度で割れば、購入した世帯のみの1回当りの支出金額が得られます。
分析期間における1回当りの支出金額は、182円±9円となっています。
グラフから読み取れるように、卸売価格の高騰時には190円を超えるような値を示しています。
この1年間では、2012年10月から2013年3月までは年率ベースで1.5%の増加、2013年4月から9月は年率ベースで3.9%のやや急増で推移しています。
◇1世帯1ヶ月当たりの鶏卵購入数量の推移
前述のとおり、購入数量を上述の実購入頻度で割れば、購入した世帯のみの1回当りの購入数量が得られます。
分析期間における1回当りの購入数量は、652g±20gとなっています。
スーパーなどで購入する鶏卵は、普通はL級10個入りパックまたはM級10個入りパックとおもいます。
農林水産省が定めた規格取引の基準では、L級の鶏卵1個の重量は、64g以上70g未満、M級は、58g以上64g未満ととなっています。
したがって、平均的には鶏卵1個あたり64gと考えられ、1パックは640g前後と思われます。
このことから、1世帯当たりの鶏卵購入は、おおよそ週1回1パックを購入していると言えます。
この1年間では、2012年10月から2013年3月までは年率ベースで-1.5%の減少、2013年4月から9月は年率ベースで3.1%の増加で推移しています。
◇1回当りの鶏卵購入平均価格の推移
平均価格は、前述のどの段階の数値を用いても、平均価格=支出金額÷購入数量で表すことができますので、変わりない数値が得られます。
したがって、1パックでは173円±6円と思われます。
この1年間では、2012年10月から2013年3月までは年率ベースで3.2%の増加、2013年4月から9月は年率ベースで-1.8%の減少で推移しています。
◇鶏卵の購入世帯割合の推移
購入世帯割合は、10,000世帯当たりの購入世帯数を単に百分比に置き換えたものです。
分析期間における購入世帯割合はは、94.7%±0.5%となっています。
鶏卵は、家計における必須の食品といえ、価格が比較的安価で安定していることから、「物価の優等生」と言われる所以と思われます。
この1年間では、2012年10月から2013年3月までは年率ベースで0.3%の増加、2013年4月から9月は年率ベースで-0.1%の減少で推移しています。
本年最後に、新たな分析の試みをお届けすることができました。
それでは、良いお年をお迎えください。