菜花亭日乗

菜花亭笑山の暇つぶし的日常のつれづれ。
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2011/05/29 第2回美濃天狗を楽しむ会(その2)

2011-05-29 23:52:24 |    日本酒の会


<乾杯酒 袋しぼり しずく酒>
 先 付 汲上げ湯葉 生海胆 山葵
 


 
乾杯酒は、大吟醸 袋しぼり しずく酒 のかくれ里。
吟醸香の立香と軽い入り口の甘さの後、爽やかな酸のふくらみがある。大吟醸だがふくらみを感じる豊かな舌触りで乾杯酒に適している。
 今年の花見の会で、あっという間に売り切れた主張のある酒である。
 3月ころに比べると中盤からの辛味・苦味が少し増え、押しが出ている印象を受けた。


 
湯葉の上に生海胆が載せられ、山葵が添えられている。
最初、箸を入れ持ち上げたとき、柔らかいが、ねっとりとして持ち上げることができるので、白子かと思った。
 口に入れると舌触りは滑らかだが味はあっさりとしている。白子ではなかったと思い、品書きを見ると汲み上げ湯葉だった。


乾杯酒は、それだけを楽しむことができる酒で、肴はあえて必要ないが、生海胆の甘さとかくれ里の入り口の甘さが共鳴しあってお互いに膨らみ、良い取り合わせだった。


汲み上げ湯葉は、かくれ里では香りが立ちすぎるので湯葉のほんのりとした味とかくれ里の香りが分離気味になる。むしろ、60%純米と良く合った。


<合わせ酒 60%純米 生原酒>
 一 お造り 鰹のたたき


美濃天狗60%純米 生原酒の写真は、1升瓶で注いでいかれたので写真を取れなかったが、春爛漫大試飲会の記事には写真がある。
「2011/04/10 美濃天狗(林酒造)春爛漫新酒大試飲即売会(その3)」
http://blog.goo.ne.jp/nabanatei/e/08e57f6d0a572fc80181f8197dab3bd9


この時の印象では、味のバランスが美濃天狗の味わいの世界では、酸に寄っていて、酸の押しのあるパンチを感じる酒だった。


今日の印象は、立香は仄かなエチル香。スッキリとした酸の後辛味と軽い苦味の押しがある。春爛漫の時より酸が穏やかになり、美濃天狗の世界に寄り添ってきているような印象を受けた。


 




鰹のたたきに茗荷と大葉の細切りが薬味として載せられている。
鰹は季節の魚。旨いが白身の魚に比べれば香りには癖がある。添えられた薬味が鰹を爽やかな香りに変えている。
 純米60の後半の重さが鰹の旨みとバランスが取れている。


茗荷と大葉と甘酢醤油のたれの組み合わせは良かった。これだけでも肴になりそうだ。



<合わせ酒 45%純米大吟醸 生原酒
 一 八 寸 韮卵焼き 蛸の酢煮 枝豆 鴨ロース
       浅蜊のおから 芽キャベツの煮>
 
手造り純米としかラベルに表示されていないので誤解されやすいが、45%精米の純米大吟醸だ。
 酒米五百万石の柔らかさと穏やかさが生きた酒で、2度目の花見に持参したが、日本酒に詳しくない人も美味しいと納得した酒である。
 今日も、バランスの良い穏やかさを感じた。
上品な食中酒ならば、これだろう。


   



折箱の八寸である。
左から、鴨ロース、蛸の酢煮、韮卵焼き、芽キャベツ煮(もみじの下に隠れている)、枝豆、浅蜊のおから。


 
鴨ロース: 鴨も鰹と同じで旨いが香りに癖がある。バランスの良い穏やかな手造り純米より純米60%の方が良く合った。
蛸の酢煮: 何時も美味しい。蛸の旨みを引き立てるには手造り純米が適切だ。
韮卵焼き: 薄味のだし巻き卵に韮が入れらている。出汁のほんのりした旨みの後韮の香りが立つ。手造り純米と合う。
芽キャベツ煮: ホックリとした食感に後から軽い苦味が追ってくる。手造り純米に合う。
浅蜊のおから: アッサリとした味と三葉の香り。



<合わせ酒 35%純米大吟破 いひょうゑ しずく酒
 一 煮 物 鰻の煮ひたし
 一 焼き物 すずきの柚子庵焼 焼茗荷 すだち>


 

美濃天狗の最高峰のいひょうゑ。
かくれ里に比べれば、立香はほのかな吟醸香だ。軽く甘い入り口の後まるく滑らかな舌触りのまろやかさ・穏やかさを感じる。立香より含み香に吟醸香を感じる。中盤から苦味は感じないが、軽い辛味を感じる。
 押しの強い酒ではない、上品な穏やかさに溢れた酒である。
食中酒にするには畏れ多い酒だが、意外に食中酒としての適性も持つ。癖がないので肴と折り合いが良いのだ。


 
鰻の煮ひたし: うなぎの蒲焼の下には長芋の煮物がある。鰻は一度カリッと焼いてあるので、焼いた香ばしさと歯ざわりを楽しむことができる。煮びたしだが蒲焼の押しも失っていないので、合わせ主として大古酒も良く合った。


 
すずきの柚子庵焼 焼茗荷 すだち:
 幽庵焼き(ゆうあんやき)というのは、江戸時代の茶人で、食通でもあった北村祐庵(堅田幽庵)が創案した焼き物だそうだ。
 アマダイ、マナガツオ、イナダ、サワラ、カマスなどの魚の切り身や鶏肉などを、 醤油、酒、味醂を1:1:1であわせ、ユズの輪切りを加えてつくった漬けダレである「ゆうあん地」に数日間漬けこみ、汁気を切った後に焼き上げる作り方だそうだ。
 香ばしい香りとほんのりと甘いタレの中にすずきの白身の旨さと軽い脂を感じることができる。
 この肴には、いひょうゑと手造り純米の穏やかさがぴったりと来る。



<合わせ酒 吟醸大古酒 十二代 伊兵衛
 一 揚 物 海老と茄子の包み上げ
 一 酢の物 鮑と帆立のゼリーかけ>
 
大吟醸の古酒。
日本酒の初心者には、難しい酒になるが、ベテランには複雑な旨さが楽しめる酒。
 立香に老香があるので、初心者には気になるところだが、中には入り込めば旨みを楽しむことができる。同席の方も大古酒が一番好きだと話しておられたが、飲み手である。
 この酒は、温度によって表情を変える事ができる酒だ。


誰かが、燗酒を頼んだようで、志野の大振りな徳利に入れられて出てきた。
 冷の場合は、スッキリとした入り口の後、甘さ・丸さ・辛さを感じさせスピード感があるが、燗をして温度をあげると、老香もたつが、甘みが出て酸もふくらむボデーのある豊かさが出る。


大古酒を、志野の徳利に入れて燗をして、おいしい料理と合わせるのは、正に美濃ならでは叶わない贅沢な飲み方だ。


 
海老と茄子の包み上げ: 
 見たところ春巻きのようだったが違った。口元に運ぶと、甘い香りがする。カリカリとした皮の食感の後、中の餡のあまみと旨みが口に広がる。海老は表に立たず旨みを出している。
 これは、大古酒は勿論、純米60%にも良く合う。


 
鮑と帆立のゼリーかけ:
 写真では良く見えないが、ゼリーがキラキラ輝いて綺麗だ。
 彩りに緑のオクラ、黄色のパプリカ、赤のパプリカが刻んで入っている。下には鮑と帆立が埋められている。
 瑪瑙色のゼリーと緑・黄・赤の彩りが綺麗だ。


 ゼリーは仄かに甘く、出汁の濃い味わい。酢は柔らかく、ゼリー全体としては、仄かに甘く。柔らかな酸味に、出汁の濃い旨みが一体となっている。
 鮑のシコシコとした歯ざわりにゼリーの旨みが良く合う。



<五平餅 じゃが芋飛び子 芹の胡麻酢あえ>
 
左から芹の胡麻酢あえ、じゃが芋飛び子、五平餅  
芹の胡麻酢あえ: 胡麻の香り、セリのほろ苦さが季節を感じさせる
じゃが芋飛び子:春爛漫新酒大試飲即売会の弁当でお目にかかった。シャリシャリとしたじゃがいもの食感とプチプチとした飛び子の食感を楽しむ物。
五平餅: 香ばしい焼き味噌の香り。東濃地方の五平餅はわらじ型ではなく団子型だ。



<品書きにはなかった番外編>
いずれも我が席に回ってきたときは粗方食べつくされて、写真の有様だった。だが、いずれも美味しかった。 
 
浅漬大根: 粕の甘味と香りが良い。


 
大根の含め煮: 甜醤油で含め煮され旨みが全体に染み渡っている。蛸と一緒に炊かれたものだろうか。



<デザート 日本酒のトリフチョコレート
        コーヒー又は紅茶>
 
 
コーヒーとトリフチョコレートの組み合わせ。


 
カリッとした猪口の外皮の中にいひょうゑが入ったヌガーが入っている。
 
珈琲の香とチョコの甘さがふくよかだ。


廊下の奥から、コーヒーの香りが流れてくる。
 


コーヒーの香につられて、雨の降る庭を眺めながら、料理サロンに入ると、コーヒーが入れられていた。


 
お願いしてお代わりをいただくことができた。



3時間の宴も終の時を迎えてしまった。
名残惜しいが帰らねばならない。


快く酔った上に、おみやげを頂いて玄関に向かう。
 
おみやげは、純米吟醸と本醸造の生酒とトリュフチョコレート。


勿論、YOKOさんの必ず美濃天狗を購入して帰るようにとの注意に従って、1本購入して帰らねばならない。


玄関の冷蔵庫を見ると、手造り純米の4号瓶がない。
1升瓶しかないとのことなので、諦めて、庫内を見ると、「天海」のラベルが目についた。
 天海といえば、徳川三代に仕え黒衣の宰相と言われた、政治的な僧侶だ。
 
伊兵衛蔵元から説明を受けたが、酔っ払っていたので記憶が定かでないが、なんでも天海と光秀は同一人物なのだそうだ。
 光秀は山崎の戦いで土民の竹槍で死んだことになっているが、真実はそうではなく、生き延びて徳川の世に才能を発揮したとの話だ。
 果たして真実は?



今回も、お座敷で、美濃天狗の名酒を楽しみ、美濃天狗に合わせた料理を楽しむことができた贅沢な時間を過ごすことができた。
 雨が降り続き足元が悪かったとしても、大テーブルの所為か作年に比べやや騒がしい居酒屋的な雰囲気になったとしても、この贅沢な時間と空間にはぎっしりとした充実感がある。

  ・宴果てゝまかるひとりに薔薇の雨 久保より江


【美濃天狗を楽しむデータ】


会社名:林酒造株式会社
代表取締役:林 伊兵衛
所在地:〒509-0222
    岐阜県可児市羽崎1418番地
TEL: 0574-62-0023
FAX : 0574-61-2760
E-mail :
info@minotengu.co.jp
URL: http://www.minotengu.co.jp/


美濃天狗の酒は、上記HPで通信販売でも入手可能だが、近い方は蔵元まで足を運ぶのがお薦め。
 お屋敷風の門構えは少し入りにくい印象だが、そうではない。玄関に入ると、右側に冷蔵庫があり温度管理された酒を手に入れることができる。


加えて林酒造は花フェスタ記念公園と目と鼻の先の関係だ。
春爛漫の記事にも書いたが、今が薔薇の盛りの時期。
 花フェスタ記念公園では、バラ祭りが開催中である。
1年で最も華やかな季節を美しく過ごす方法をご紹介する。


初夏の陽を浴びながら、花フェスタ記念公園で薔薇の香りと花の中を逍遥する。
 花から花へ渡り歩く時、蜜を求めて花から花へ飛び回る昆虫の思いがよく理解できるはずだ。
 薔薇の花は何故このように美しいのか?


お昼は、スパイシーな本格的インドカレー「ダルバール」でカレーを楽しむ。
 カレーもナンも本場の味で、カレーの量も多く、ナンはお代わり自由だ。


帰りに、美濃天狗に寄って、お気に入りの名酒を買って帰る。
帰宅したら、薔薇の美しさを思い出しながら、美濃天狗の上品なバランスのとれた味わいに快く酔うことができる。


美濃天狗を楽しむ会は終わってしまったが、ある一日を、美しく・上品に・美味しく過ごすことができるお薦めの企画だ。
お試しあれ!!


「ダルバール」は以下の記事参照。
http://blog.goo.ne.jp/nabanatei/e/642a2c333fb97a457f926f5546e7226a


「花フェスタ記念公園」
http://www.hanafes.jp/hanafes/


 


 

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お酒・お茶
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2 コメント

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ありがとうございました (林 容子)
2011-06-02 06:54:45
いつもお出掛け下さいましてありがとうございます

素敵にお料理の紹介も頂き大変恐縮しております
今後も美濃天狗共々お引き立て宜しくお願い致します

林 容子
先日は、ごちそうさまでした。 (笑山)
2011-06-02 22:21:15
林 容子 様

こんばんは。
コメントありがとうございます。

拙いブログを見ていただき感謝です。
花もそうですが、宴もその場が盛りのものですね。
移ろいやすく通り過ぎていってしまいます。

美しい花、美味しいお酒、おいしい料理。
同じようにその場が盛りですね
なんとか時を止めてブログに写してみようと思いますが、思うようには行きません。

美濃天狗の美しい酒に合わせた料理。
いつも美味しく、ありがたくいただいています。
また、次の機会を楽しみにしています。

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