菜花亭日乗

菜花亭笑山の暇つぶし的日常のつれづれ。
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2017/07/03  加藤楸邨の俳句  その2

2017-07-03 22:02:29 | (5)俳句

・我が名楸邨汗の沈黙に呟かる
・初鶏や家中柱ひきしまり
・薺爪つむしばらくが女の眼
・子に来るもの我にもう来ず初暦
・猿曳を見しは葛飾波郷ゐて
・初日の出塩壷に手をさしこめば
・元日の沼のしづけさに来て触れぬ
・てのひらが年立つものの初めかな
・木の葉ふりやまずいそぐないそぐなよ
・落日のふと寒木瓜の朱を点ず
・山茶花のこぼれつぐなり夜も見ゆ
・鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる
・梟の憤りし貌ぞ観られゐる
・鷹の目の瞶るものを瞶てつひにかなし
・飴なめて流離悴むこともなし
・殿上に貧書生わが咳ひびけり
・牡蠣を剥くをりをり女同士の目
・炭負のよく見れば目を瞠りゐる
・子がかへり一寒燈の座が満ちぬ
・毛糸編はじまり妻の黙はじまる
・外套の襟立てて世に容れられず
・湖氷る大きな朝にあひにけり
・冬の浅間は胸を張れよと父のごと
・寒雷やびりりびりりと真夜の玻璃
・落葉松はいつめざめても雪降りをり
・黄檗の冬日しんかんたる石廊
・霜夜子は泣く父母よりはるかなものを呼び
・原爆図中口あくわれも口あく寒
・烏瓜朱なり水ゆく無明かな
・桔梗を焚きけぶらしぬ九谷窯
・椋の実に旅も果なる一日かな
・胡桃焼けば灯ともるごとく中が見ゆ
・柿色の日本の日暮柿食へば
・しづかなる力満ちゆき*はたはたとぶ
・わが影の我に収まるきりぎりす
・かなしめば鵙金色の日を負ひ来
・燕はやかへりて山河音もなし
・峡の温泉はひそやかなれど星祭
・隠岐の子の篁ふかき囮かな
・籾焼のけぶりをかぶりたがる子よ
・関の址障子を洗ふ音ばかり
・つゆじもの烏がありく流離かな
・蚊帳出づる地獄の顔に秋の風
・鰯雲人に告ぐべきことならず
・身に沁みて礁を越ゆる夜の潮
・青鬼灯武蔵野少し残りけり
・白き蘭やがて匂へり見つつあれば
・古廂のうぜんかづらは夜空もつ
・夾竹桃しんかんたるに人をにくむ
・蟻殺すしんかんと青き天の下
・火取虫翅音重きは落ちやすし
・市にして赤*えいの刺没日赤し
・青葉木菟霧ふらぬ木はなかりけり
・野馬追も少年の日も杳かなる
・金魚売露地深く来て汗拭ふ
・嶺の星いろをかへたるキャンプかな
・青蚊帳に茂吉論などもう寝ねよ
・白地着てこの郷愁の何処よりぞ
・山刀伐に虹かかれよと虹の橋
・鉄の刃の鉄を截りとる夏まひる
・花の奥より蕾駈け出づ桜草
・鳥の名を知らねば仰ぎ松の花
・枸杞青む日に日に利根のみなとかな
・隠岐やいま木の芽をかこむ怒濤かな
・満山の仏とあそぶ夏蜜柑
・花うぐひ鰭かさぬれば虹が冴ゆ
・雉子の眸のかうかうとして売られけり
・恋猫の皿舐めてすぐ鳴きにゆく
・鞦韆を下りきて僧の無言かな
・麦を踏む父子嘆を異にせり
・かうかうと雪代が目に眠られず
・水温むとも動くものなかるべし
・春陰や巌にかへりし海士が墓
・おぼろ夜のかたまりとしてものおもふ
・啓蟄の雲にしたがふ一日かな
・冴えかへるもののひとつに夜の鼻
・燐寸摺りてゴビの砂漠の虫を見き



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