菜花亭日乗

菜花亭笑山の暇つぶし的日常のつれづれ。
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2016/03/20  山田みづえ 句集 (その3)

2016-03-20 23:00:00 | (5)俳句


・去りまして永き昭和の寒さかな
・桜落葉かそけき音を惜しまざる
・土の宮はこほろぎの宮詣でけり
・走り出て墓山の葛花見せず
・日は未形(みぎょう)色さめざめと冬桜
・発止と鵙先生の国に紛れなし
・はつあきの言葉を紡ぎ一歌仙
・はつなつの船足迅き旅愁かな
・鮎粥の鮎一片の光りかな
・落柿舎の土間を真昼の竈馬
・船ここより三峡に入るほととぎす
・掌につつむ心臓模型四月馬鹿
・薄氷の何も映さぬ巷かな
・うれしさの霰たばしる鴨の数
・はきはきと物言ふ子供春立ちぬ
・おしやれ眼鏡本読む眼鏡あたたかし
・嘉きことを与へむ朱欒剥きにけり
・街ゆけり独りを涼しと思ひつつ
・秋の声あかつき風雨強ければ
・朝霧の終りの牡丹よき牡丹
・菱喰雁一群二群森越ゆる
・安心(あんじん)の枯れ芳ばしき蘆荻(ろてき)かな
・綿虫の一つふたつは愛さるる
・土師邑の泥ゆたかなり初つばめ
・少しづつ友も変りぬ桜の実
・山川のはためく中の墓参かな
・から松を死ねよ枯れよとさるをがせ
・美術館冬両手拡げて能衣裳
・男梅雨侮りをれば寝ねがたし
・苗札を詩(うた)書くごとく誌しけり
・春夕日伊勢を離るる電車かな
・初暦静かならざる日もあらむ
・三島忌の朝つぱらから木枯しす
・ゆりの木の花の緑盃風溢れ
・兄妹にはるかぜ海を見にゆかむ
・兎抱く二人の少女露けしや
・ハンモックくるりと天の汀見ゆ
・青柿や鈴屋旧居ほの暗し
・花青木あけつぱなしの五合庵
・山に入るいきなり朴の落葉かな
・明るくて翁忌の雨なつかしき
・笹鳴や失ひしものみな寂か
・秋燕の天くつがへる河口かな
・白く明く野麦も秋の道埃
・形代の男女ひらひら重なりぬ
・楊梅の完膚なきまで落ちゐたり
・さみどりの小蜘蛛登らす指の先
・日盛りの日御碕なる冷し飴
・枯芦の沖へ沖へと耳立つる
・虫ほほづき哀しみ軽くなりゐたる
・乾陵へ驢馬と別るる柳絮さかな
・夕風の汨羅(べきら)の綜ほどきけり
・一会合を怠けて出でず良寛忌
・走馬燈暗きあたりに亡母のこゑ
・杉山に相交はらず山ざくら
・春惜む何かにつけて母惜む
・暑くともなほ暑くとも原爆忌
・長き夜の五右衛門風呂をたのしめり
・春燈下なつかし母の死臭さへ
・大年の青瞬かすカシオペア
・苗代の一寸二寸人老いぬ
・沢音やみどりの紐の花胡桃
・手の甲にひとひら大き雪はじめ
・産寧(さんねん)坂ななめ斜めに春日射す
・ぽつぺんの中を誰彼吹き抜けぬ
・桃活けてその一日を軽くせり
・雛納め静かに地震の過ぎゆける
・鉦叩母はこの世を遠ざかる
・自由が丘の空を載せゆく夏帽子
・省略とは点と線との吾亦紅
・裸木の朴をぐるりと巡るなり
・かげろふの独り舞台の石舞台
・囀に石ことごとく頭を擡ぐ
・あどけなき母となられし浴衣かな
・ゆりの木は地を頌め讃へ黄落す
・鵲のカスタネツトや明易し
・秋蝉のけふは今日はと母訪はず
・梅雨長江暗き無数の声聞くも
・曇り来て飛燕せはしくなりにけり
・金鳳華宣長の母かつの墓
・雲雀すつ飛ぶ白根山頂駐車場
・桃花一束酩酊に似て抱へ来る
・ひろびろと水や中国の大田植
・末黒野をぐいと曲りて川が合ふ
・今をすぐ忘るる母や着ぶくれて
・北上川大濁りして梅雨明けぬ
・冬怒濤衰ふるときかへりみず
・豆撒く児心に鬼をまだ持たず
・秋蛇に暗く光りし眼を当てぬ
・はつはるの顔施(げんせ)の母を戴きぬ
・花老いてやるせなければ枝垂れけり
・東京の何に堪へゐる冬木かな
・牡丹焚火何かささやく他の牡丹
・念仏踊は歩いてゆくよ月赤し
・蓮の実のしらしらと旅ひとつ了ふ
・幻想家庭さくらの蘂の降りやまず
・一人静に跼めば夕日来迎図
・粟の穂に風低く来し岬かな
・熔岩原をぶつかつてゆく秋の風
・野菊摘む古へ人のごとくにも

 

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