菜花亭日乗

菜花亭笑山の暇つぶし的日常のつれづれ。
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2017/07/03  加藤楸邨の俳句  その3

2017-07-03 21:58:16 | (5)俳句

・濤ならむまこと明るく松の花
・天草の匂へる闇の終列車
・夏蓬やあまりに軽く骨置かる
・葛の花夜空ほとほと滴れり
・貧しさの果もなかりし蓼の花
・四囲の音聴き澄ますとき冬深く
・春の闇癒えゆく肋触れらるる
・きりきりと髪切虫の昼ふかし
・寂として万緑の中紙魚は食ふ
・破蓮の一日二日は蝶も来ぬ
・夜光蟲闇より径があらはれ来
・渤海の秋夕焼やすぐをはる
・わが咳がたたしめし冬の蝶は舞ふ
・青蔦の静かな夜の深みどり
・雉子の眸のかうかうとして売られけり
・浅蜊椀無数の過去が口ひらく
・何もかも瓜まで小さく夢失せき
・蟇誰かものいへ声かぎり
・声やはらぐ鷽の日あたる胸毛見て
・啄木鳥や人は世にゐて声も褪せ
・蔦の葉の枯れゆくひかり火の夜空
・踏みこんでもはやもどれず花八ッ手
・死や霜の六尺の土あれば足る
・木の葉ふりやまずいそぐないそぐなよ
・節分の豆にまじろぎ檻の鷲
・のぼり鮎すぎてまた来る蕗の雨
・稲負ふや左右にはしる山の翼
・朝寒く鎖は軋る船二つ
・冴えかえるもののひとつに夜の鼻
・鳥雲に隠岐の駄菓子のなつかしき
・露の蕪抜いておどろく声洩らす
・はるかなこゑ「茶の花がもう咲いてます」
・犬の背で濡手拭ひて茄子を買ふ
・喪の家へ夏灯つづけり蛾と沿ひゆく
・楓の芽もはらに燃えてしづかなり
・隠岐や今木の芽をかこむ怒濤かな
・雲はみな動きめぐるや更衣
・この雨や紫苑の秋となりし雨
・静かなる午前を了へぬ桐一葉
・若芝にノートを置けばひるがへる
・静かなる日や泣初もすみたれば
・枸杞の実のさびしさも夜を越えざりき
・青き胡瓜ひとり噛みたり酔さめて
・大阪に曳き来し影も秋めきぬ
・花吹雪仔を咥へたる犬何処まで
・鶏頭をはなれたる目の行方なし
・虹のもと童行き遭へりその真顔
・麦の芽をてんてんと月移りをり
・貧交や寒鮒の目のいきいきと
・茄子漬や雲ゆたかにて噴火湾
・蜂の巣の下おのづから瞼閉づ
・蓑虫や宙明るすぎ土暗すぎ
・澄みとほる天に大綿うまれをり
・駒とめて野馬追の武者水を乞ふ
・咳けば夜も眼中の火と闘ひぬ
・病める蚕を見つつすべなし夜の暴風雨
・焼土も蟻穴を出て走るなり
・やどかりの必死は螺の殻の中
・雉子の眸のかうかうとして売られけり
・巣立鳥ひねもす雲のいらだてる
・吹かるるもの孕雀と我等夫婦
・玉虫の曇れば光身にかかる
・寒木瓜のほとりにつもる月日かな
・炭取とならび老いゆく岩魚取
・西瓜切るきらりきらりと肘ゑくぼ
・金蝿のこどくに生きて何をいふ
・水芭蕉しづかな時間通りけり
・とび終りたる蟷螂が鶏の前
・吹かるるもの孕み雀と我等夫婦
・深息や大綿を辺に漂はす
・夾竹桃しんかんたるに人をにくむ
・夏蚕いまねむり足らひぬ透きとほり
・火取虫羽音重きは落ちやすし
・冬の虫言はぬ一言とはに生く
・キャンプの火上れる空の穂高岳
・山ざくら石の寂しさ極まりぬ
・父に子に明日への希ひ蓮の実とぶ
・まんさくに滝のねむりのさめにけり
・蜜柑吸ふ目の恍惚をともにせり
・すいつちよの髭ふりて夜のふかむらし
・鉄壁の心の隙に風鈴鳴る
・大鷲の爪あげて貌かきむしる
・夕焼の雲より駱駝あふれきつ
・巣燕見るおしくらまんぢうの押され役
・鰤起し腹に徹りて風邪癒えぬ
・秋蝉のこゑ澄み透り幾山河
・冷かに目の奥を歩みゐたりけり
・屋上に見し朝焼のながからず
・茘枝熟れ萩咲き時は過ぎゆくも
・非は常に男が負ひぬ帰る雁
・冷し馬の目のほのぼのと人を見る
・だまり食ふひとりの夕餉牡蛎をあまさず
・著莪の花白きに湧きて雲絶えず

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