評価 (3点/5点満点)
公文式の教室は全国に約1万6300あり、さらに49の国と地域に広がっています。
ある調査では、東大生の実に3人に1人が公文式を経験したことがあるとのこと。
この本では、公文式のしくみや歴史にも触れながら、「なぜ東大生に公文式出身者が多いのか?」「なぜ世界中の子どもが通うのか?」「そもそも公文式とは何なのか?」に迫ります。
本書から公文式のメリットとデメリットをピックアップしました。
・公文式経験者と話をしていると、「自信がついた」「コツコツ学習する習慣がついた」というフレーズがよく出てくる一方で、「考えない癖がついた」という意見も目立つ。(P.45)
・前にやったことをちょっとだけアレンジして新しいことができるように、非常に細かいスモールステップが設計されている。さらに類題をしつこいほどにくり返し復習させ、反射的に答えが出るようになるまで鍛え上げる。(P.68)
・問題点は、余計なことをモヤモヤ考えることがない、他人の考え方にふれることもない、正解のない問いに対して最適解を出すような内容の教材ではないの3点。人工知能が進化したら、人間にとってあまり意味がない勉強システムになるのではないか。(P.132)
・できる子が公文式を早々にやめるのはよくわかります。「一を聞いて十を知る力」のある子は、公文式ではすぐに飽き足らなくなるはずだからです。自信をもつまでは面白いでしょうが、だんだん退屈になり、もっとステップ幅の広い難しい問題を解きたいという欲求が湧いてくるのは自然なことです。(P.156)
・公文式とは、子どもの能力のごくごく一部である「計算力」を効率よく向上する目的に特化して作られた究極的にシンプルな「専用ツール」である。それ以上でもそれ以下でもない。(P.198)
世界で最も有名な学習メソッドの強さの秘密と意外な弱点が明らかになっています。
公文式ももちろん万能でありません。活用する時期と範囲の見極め、そして保護者のサポートが必要です。