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拾い読み★2016-348≪コラム記事≫

2016年12月13日 22時14分59秒 | 千葉ロッテマリーンズ2016


【千葉魂】 あっという間の49年 70歳、退団する池田寮長

 よく晴れた日だった。12月6日、栃木のゴルフ場では笑顔がはじけていた。この日、今年限りで寮長兼打撃投手の仕事を終えた池田重喜氏の慰労会を兼ねたゴルフコンペが催された。台湾ウインターリーグに参加しているメンバーなどを除く12名の寮生が参加。70歳に達するまでの長きにわたってプロ野球の仕事に携わり、自分たちにとって父親のような存在だった寮長をみんなで慰労した。

 「プロ入りして49年。ロッテに入って44年。こんなに長いこと、野球に携わらせていただけるとは思っていなかった。現役を終えた後もトレーニングコーチ、育成コーチ、チームスタッフ、そして寮長を17年間やらせてもらった。本当に幸せな日々だったよ」

 肩の荷が下りたからだろうか。寮長は終始、笑顔で寮生たちと接した。前半に二つのバーディーをとるなど92のスコアで回った。プレーをしながら、ずっと寮生たちと思い出話をしては盛り上がっていた。

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 教えは最後まで一貫して変わらなかった。11月23日のファン感謝デー参加のため選手たちがマリンに向けて出発する前に、寮の駐車場に全員集合をかけた。この日が事実上、寮生全員が寮に集合をしている最終日。いつもみんなで朝の体操を行った思い出の詰まる場所に全員を集め、今年限りで仕事を離れることになったことを伝えた。そして最後の訓示が始まった。それはこの17年間、変わらずに寮生たちに言い続けたこと。最後の日もいつもと同じだった。

 「くだらないことで評価を下げて、損をするなよ。まずはあいさつ。人にあいさつをする時はその人の目を見て、ハッキリとあいさつをしろよ。そして約束の時間を守ること。とにかく人として当たり前の事を当たり前にやること。人間、まずはそこからだからな」

 情の人だった。生活態度が乱れがちな選手を見ると、あえて大声を出して怒ることはしなかった。自分たちで気が付いてほしかった。だから、その選手の部屋に直筆のメッセージを添えた紙を張った。「勝負の世界は厳しいヨ。寮長」。達筆な字で書かれた短い言葉に部屋に戻ってきた選手は何度となくハッとさせられ、自分の行動を思い直した。それは40年以上もプロ野球界で生きてきた人間だからこその含蓄あふれる言葉だった。

 今年、プロ初勝利を含む7勝を挙げた二木康太投手は、初勝利後に寮長の部屋に日本酒を持って行き、勝利を報告した。お酒が大好きな寮長に日頃の感謝の気持ちを込めて地元・鹿児島県のなかなか手に入れることができない地酒を探し求め、渡した。そして二人で祝杯を挙げた。ただ、少しばかり飲むと「次は5勝してからだな」と言って、大事そうに棚にしまってしまった。棚には同じように先輩選手たちからプレゼントされた日本酒がズラリと並べられていた。5勝を達成するとまた寮長の部屋を訪れ、お酒を酌み交わした。その時も「次は2桁勝利してからだな」と最後まで飲み切ることはしなかった。

 「寮長とお酒を飲んでいると、話が長いんです。昔話とか、いつもと同じ話とか小言とか。でも、ボクはそんな時間が嫌いじゃなかった。好きだった」

 寮長と一緒の組でゴルフを回った二木はラウンド後、そう振り返り、笑った。ゴルフでの慰労会は寮生の長を任されている二木が仕切って、執り行われた。その後も食事会が催され、いつまでも思い出話が尽きることがなかった。寮での失敗談、怒られた話。次から次へと話題が出てきては、懐かしそうに振り返った。

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 「寮長として接した多くの選手たちのことはこれからも気になるでしょう。いや、今まで以上に気になると思います。だからシーズンに入ったら、テレビで応援したいと思います。それにしてもあっという間でした。それだけ充実していたということでしょう。幸せな時間を過ごさせていただき、本当にありがとう」

 会の最後、素晴らしい時間をつくってくれた選手たちに寮長は頭を下げて感謝をした。それから数日後。プロ野球経験者が学生を指導するための学生野球資格回復制度のプロ側研修会の会場に池田氏の姿があった。アマチュア選手を指導する資格を手に入れるため、講習会を受けた。「老後がとても楽しみ。これからは若い子たちに教える活動もしてみたい」。新たな一歩に夢あふれる表情を見せた。思えば、現役引退した後、近所の少年に「プロ野球選手だったんでしょ!キャッチボールをして」とせがまれた。そして最近、散歩をしているとまた近所の子供に「キャッチボールをしてほしい」と頼まれた。よく話を聞くと昔、キャッチボールをしてあげた子供が大人になり、そして結婚して生まれた子供だという。「ずいぶん長い時間が過ぎたんだなあ」。池田氏は感慨深い表情でしばし、歩んだ道のりを振り返った。充実した幸せな日々だった。そして、これからも大好きな野球のための日々を続ける。情熱は尽きない。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

(千葉日報)









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