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拾い読み★2012-366≪コラム記事≫

2012年12月31日 13時02分00秒 | マリーンズ2011~15
【野球クロスロード】野村、伊藤、藤岡……。
'11年ドラフト1位選手の○と×。


 毎年、たった12人しか選ばれない特別な存在。
 それが、ドラフト1位である。
 アマチュア時代に圧倒的な実績を残し、あるいは類稀なるポテンシャルを高く評価された彼らは、プロ入りと同時に大きな宿命を背負わされることとなる。
 言うまでもなく、「ドラフト1位」という看板だ。
 入団当初は注目を浴び、どのルーキーよりもチャンスを与えられる。
 しかし、ひとたびそれをふいにしてしまえば、称賛の声はたちまち非難の声に豹変する。
 彼らは、どの選手よりもプレッシャーと戦っていかなければならないのだ。
 2012年にルーキーシーズンを送った選手たちは、日本ハムの斎藤佑樹や巨人の澤村拓一ら「黄金世代」が数多く入団し、豊作と呼ばれた前年と比べ派手さはない。だが、ドラフト1位という評価とチームが寄せる期待値は変わらない。

「○」が4選手、「×」が7選手、振るわなかったドラ1たち。
 では、今年のドラフト1位選手の結果はどうだったのか? 「○」と「×」に分けるとこうなる。

「○」(4選手)
中日 高橋周平(東海大甲府/内野手)……41試合 打率.155 2本塁打 3打点
広島 野村祐輔(明大/投手)……27試合 9勝11敗 防御率1.98
西武 十亀剣(JR東日本/投手)……41試合 6勝0敗 HP14 防御率2.72
ソフトバンク 武田翔太(宮崎日大/投手)……11試合 8勝1敗 防御率1.07

「×」(7選手)
巨人 松本竜也(英明/投手)……7試合 2勝2敗 防御率4.50(二軍)
ヤクルト 川上竜平(光星学院/内野手)……44試合 打率.175 1本塁打 6打点(二軍)
阪神 伊藤隼太(慶大/外野手)……22試合 打率.148 1本塁打 5打点
DeNA 北方悠誠(唐津商/投手)……6試合 0勝2敗 防御率6.91(二軍)
楽天 武藤好貴(JR北海道/投手)……9試合 0勝0敗 防御率5.14
ロッテ 藤岡貴裕(東洋大/投手)……21試合 6勝7敗 防御率3.36
オリックス 安達了一(東芝/内野手)……50試合 打率.159 0本塁打 4打点
※日本ハムは1位の菅野智之が入団拒否したため除く。

 成績を見ても明らかだが、「○」と「×」の明暗はくっきりと分かれた。

ルーキーたちの結果を分けた意識の差。
 今年に限って言えば、結果を残せたか否かの境界線を明確に表すことができる。
 極端に言ってしまえばそれは、意識の有無だ。
「○」だった選手は、目の前の1試合に対し、いい意味で無欲に臨むことができていた。
 ルーキーでは46年ぶりの防御率1点台をマークし、圧倒的な大差をつけセ・リーグの新人王となった野村はその代表だ。
 明大時代から、「精密機械」と呼ばれるほど制球力は高かったが、それ以上に、打者を速球でねじ伏せる力強さも兼ね備えていた。
 そしてプロでも、「コースを間違えない」ことだけを意識し、速球でどんどん押す気持ちの良い投球を披露。勝ち星を積み重ねていった。8月以降は、体力的な問題から勝ち星に恵まれず2ケタ勝利は逃したが、それでも立派な数字を残したといえるだろう。

社会人即戦力となった西武・十亀の投球術。
 西武の十亀も、無欲なマウンドを重ねていったことで結果を得た一人だ。
 その十亀は、春季キャンプでこんなことを言っていた。
「大学まではストレートでゴリ押しすることしかできませんでしたけど、社会人になってから、変化球でかわすことによってストレートも生きてくると分かったので、内角にも強気に攻められるようになりました」
 社会人時代に学んだことがプロでも通用すると信じ、己の投球を続ける。今季、中継ぎとしてチームの信頼を勝ち取り、終盤には先発を任せられるなど、十亀は投手陣を支える存在として機能した。

「楽しんでやる」ことが好成績につながったソフトバンク・武田。
 1年目にして大ブレークを果たしたソフトバンクの武田は、高卒選手ならではの信条で結果を出した一人だった。
「バックを信じて野球をする。『楽しんでやろう』をモットーにしているので、それを続けていることが良かったと思います」
 7月に一軍昇格を果たすと、わずか3カ月余りで8勝と、武田は一気にローテーション投手にまで成長を遂げた。
「プロでは楽しむことなんてできない」と語る人間は多い。だが、右も左も分からない1年目、さらに言えば経験の少ない高卒選手だからこそ、むしろ、武田のように楽しんで野球をすることが大事なのかもしれない。
 武田ほどではないにせよ、同じ高卒新人の中日・高橋周も、開幕一軍、2本塁打などトータルとして数字以上のインパクトを残したことを含めれば、「○」に値する働きだった。

「新人王の大本命」、ロッテ・藤岡が振り返る1年目。
 一方で、「×」とした選手はというと、その多くが「即戦力」という評価や結果を意識し過ぎたが故に、思うような成績を残せなかったと判断できる。
 ロッテの藤岡は、その典型的な例だった。
「1年間、一軍で続ける難しさは最初から分かっていたつもりでしたけど、想像以上に辛かったです」
 彼は、このようにルーキーイヤーを振り返っていた。
 ドラフトでは「最大の目玉」と注目され、春季キャンプが始まると自身はひと言も明言していないのに「新人王の大本命」と囃し立てられる。シーズンでも敵地での開幕カード3連勝がかかったゲームや、4月に3勝を賭けたマウンドに上がると、前日のスポーツ紙に「快挙か?」と煽られる。
「自分は知らなくても、新聞とかにそう書いてあるのを見てしまうとプレッシャーになっちゃったりするんですよね」
 藤岡はそう苦笑いしていた。アマチュア時代に実績を残してきたことからも分かるように、彼は決してプレッシャーに弱いわけではない。ただ、あたかもチームの命運を託されたかのような報道をされてしまっては、誰だって多少なりとも気負ってしまうものだ。
 6月に入ってからの藤岡は、結果を求めれば求めるほど打たれるようになった。ファーム落ちも経験し、終わってみればシーズン6勝。新人王最有力候補と呼ばれた選手にとっては、物足りなさだけが残る1年となってしまった。


「ポスト金本」と期待された阪神・伊藤は“職人気質”が仇に?
 阪神の伊藤もそうだった。
 大学時代から、「僕は結構、深いところまで突き詰めていくほうで、練習にしても、やるなら質を高めるためにはどうすればいいかを考えるタイプですね」と言っていたように、“職人気質”の選手である。
 プロ1年目は、それが逆に仇となった。
「ポスト金本」とレギュラーをほぼ約束されながらも、オープン戦では打率1割台。開幕一軍を手にしたが即ファーム落ち。その後も一軍、二軍を行き来するなど、職人気質である彼が巻き返しを図るには、時間が足りな過ぎた。結局、9月27日のヤクルト戦で放ったプロ1号の満塁弾以外、シーズンでの伊藤の見せ場は、全くと言っていいほどなかった。

大事なのは早期に結果を残し、それを持続させること。
 その他、即戦力と期待された楽天の武藤、オリックスの安達も十分な結果を残せたとはいえなかった。高卒の巨人の松本、ヤクルトの川上、DeNAの北方にしても、武田や高橋周が一軍で数多く経験を積んだだけに、結果不足と判断されても仕方がないだろう。
 今年、結果を残したドラフト1位は少なかったが、だからといって、それでプロ野球人生の全てが決まるわけではない。
 '03年に自由枠で入団した巨人の内海哲也はこんなことを言っていた。
「ドラフト1位に選ばれる選手というのは、そのチームでずっと結果を残し続けていかなければならない存在だと思います」
 1年目に結果を残せても、2年目以降も実績を作っていかなければ意味がない。仮に1年目が不本意だったとしても、2年目から巻き返すことができればいい。
 大事なのは早期に結果を残し、持続させることだ。
 それができて初めて、ドラフト1位として評価されるだろう。

(number)
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