都市と楽しみ

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WTC の移転:Sunk Cost 1,000億円を捨てて、100億円にこだわる

2009-09-21 17:40:40 | 都市経営

 WTC自体が課題開発であり、ATCも課題がある。周辺は住宅開発に転換しようとしているし、民間のビルの空きもある。そこに府庁を移転するのは利用者と歴史ある府庁の扱いからも問題があるが、再度、要約して述べる。このような都市政策を大阪市も後押しているのは何故かと訝しむ。読むほうも呆れるだろうか、書くほうも嫌になっている。<o:p></o:p>

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1.立地選択<o:p></o:p>

大阪市では都市の空室率上昇があり、都心への集約が見られ、周辺部分の賃料低下がある。つまりは南港での適性賃料は低下し、水準取得費の低下がある。前の価格の時点修正はより必要だ。安い賃料は投資1,000億円強が100億円になりさらに目減りしているが、損としては巨額なのは同じだ。安いからというのはそれだけ立地に課題があるからだ。(ちなみにWTCは梅田から直線距離で10kmあり、これは東京駅から羽田空港のトンネルあたりか、西なら高円寺、北なら赤羽くらいの距離だ)<o:p></o:p>

さらに、賃料が低い立地とは不便さをあらわす。そのようなところに府民の窓口を置いていいのか。府庁は主に府下の政令都市以外の許認可の窓口機能がある。<o:p></o:p>

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2.都市経営としての追加投資<o:p></o:p>

 立地創造を考えているようだが、既存の都心への追加投資の「限界効用」が高い。大阪市交通局は地下鉄さえ間引く、つまりは限界費用が限界収入より小さい状況だ。今や御堂筋線でさえ駅と電車内の広告に空きがある。その課題ある都心を更に魅力的にするのが優先だ。周辺に投資をするのは、「集中と選択」の「何が売り物か」、「その都市は快適か」とう都市間競争への投資が分かっていないのではと懸念する。<o:p></o:p>

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3.   府庁のランドマークとしての保存<o:p></o:p>

大阪府庁は保存すべき建物である。府庁として生かされる効用(歴史資産としてのアメニティ)がある。有楽町の東京都庁も近代建築として優れていたが取り壊された。大阪も歴史資産の扱いがこのようで良いのだろうか。水都2009をやるなら天満橋から府庁、大阪城まで延伸すべきだろう。そもそも大阪の名所といったら、大阪城、海遊館、USJ(いまやスヌーピーもキティもいるぞ)だろう。中ノ島軸の緑とアメニティを軽んじてはいけない。<o:p></o:p>

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4.開発構想<o:p></o:p>

 臨海部では必ず出てくるカジノ構想(外国船の利用や特区など)はあたりきだ。迎賓館、領事館という考えがあるが、東京で臨海副都心にそんなものがあるだろうか。どうしても活性化できるというのは、移転での工事やサービス発生に期待するかつての「箱物」行政と変わらない。提案するなら比較施設との優位性、集客人数、季別変動、ターゲット、消費単価などフィージビリティを示すのが説明責任だ。梅田のデパートが新宿の1.5倍になりより都心集客が増えるであろう現実をご存知か。<o:p></o:p>

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 結論として、橋本知事の拘りの理由が分からない。安いから買うなのであれば、「安いものには理由がある」、買ってから、耐震、防災、利用者コストなどすべて考えてみてはどうか。府庁の移転は「バーゲンハンター」なのか。だとしたらお寒い志と言わざるを得ない。<o:p></o:p>

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