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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録(55)  貧困撲滅ファンド

2009年04月27日 | 浜矩子語録
政府は、家計に眠る個人金融資産1400兆円のうち、60歳以上の人が60%を保有するといわれる資産を若年層に移して活用する法案を27日に国会に提出する予定である。
26日放送のNHK・新BSディベートは、高齢者の資産の活用で景気回復のきっかけを掴めるのか?が議論された。
尚、1400兆円という金額は今年度予算の16年分に相当するという。

ここに招かれた妖艶なエコノミスト・浜矩子は、春の装いだった。
レモンシフォンに黒っぽいストライプを施したパンツスタイルだが、この色は春の大地の色である。インナーは黄色に淡い緑が混合された新芽の色。アップルグリーンのジャケットは新緑そのものである。
同番組出演は久しぶりの浜矩子、何故かいつにも増して笑顔が優しく、真赤な唇が印象的だった。以下は、その浜矩子語録の前篇である。

Q~・~・~ 高齢者の資産の活用は景気回復につながるのか?
A~・~・~ せっかく一生懸命貯めた金融資産を高齢者から引き剥がすということで景気対策になるのか?と思います。また、先ほどVTRでも「持っている人はいいけれども、持ってない人が多いのでは?」という意見がありました。
(金融資産が)持っている人から持っている人に渡ってもあまり意味がないわけで、いま困っている方、本当に必要としている人々に支援が回るということの方を集中して考えるべきだ、と私は考えます。

Q~・~・~ データでは、80歳以上の方が2千万円を超える資産を保有している?
A~・~・~ 「平均で」ということがポイントで、非常に大きなばらつきがあるということは考えておかなくてはいけません。
いずれにしても、それなりに多いということを考えても、それだけ裕福な方が日本にいるのであれば、その資産を若い世代が家を造るというようなことではなくて、今本当に困っている人に~~。
今日本には、豊かさの中の貧困という問題がありますが、こんな豊かな国なのにその中でホームレスの人たちが増えていく、ワーキングプアの人たちが増えていく、すごく変な状況だと思います。
そういう弱い人ほど、一番深刻な状況の中で一番打撃を受けているわけですから、その人たちを直接救済する方向に(金融資産を)回してゆくほうが合理的だし、政策に求められる役割であって、目先の成長率をあげるというようなことではない、と考えます。

Q~・~・~ 先月の有識者会合で、贈与税減税を提言している東京大学大学院教授・伊藤元重が、「これ(若年層の住宅取得のための贈与税減税)をやるから浜さんの言ったことをしないということではない」と語ったことに対して、
A~・~・~ それは良くわかりますが、「なんで住宅なのですか?」というところは考える必要があります。
「住宅バブルを再現してどうするのよ?」という面もあります。
また今回このような厳しい状態になってゆく中では、住宅を巡る使い過ぎ、金融の暴走という面もあったわけで、そこにまた戻って行くということでいいの? という感じを持つ面もあります。

今我々は、分かち合いということが必要だと思います。
ですから金融資産も分かち合いで良いのです。
お金持ち、セミお金持ち、不安を抱えている半分お金持ちの皆さんに、住宅であるとか消費ということで使わせるのではなくて、「今救済すべき人のために分かち合おうよ」という形で、税金で取るのではなく「豊かさの中の貧困撲滅ファンド」というようなものを作って、そこに相対的にお金持ちの方に入れていただく。

(この発言には株式会社ワタミ社長・渡邊美樹氏から「非現実的」との批判が浴びせられたが、浜矩子は次のように言い切った)
今の状況はいままでとは違うわけです。今までとは違う発想で物事をやっていかなければならないと、私は思うのです。
~・~・~以下、次編

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