トンボが留まった!

心のつぶやきをここに記します。

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命果てる瞬間

2017-06-14 10:35:01 | Weblog
命果てる瞬間:

あの日も、良いお天気で、ランチアワーの片付けを終え、子供の学校のお迎えに、レストランを後にして、風もない爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込みながら、大きな100年以上もする古いオークツリーの木漏れ日を浴びながら、内庭のテーブルで若いカップルが穏やかな時を過ごしていている側を通り過ぎようとしていた時、
突然、太ももよりはるかに大きい10mはあろうかと思われる枝が、
何の前触れもなくドサッと落ちてきた。
若いカップルのすぐ側 かするほど近くに、
そして私も瞬間飛び上がって避けられたものの、
今何が起こったのか訳わからず、
体も頭もショックで固まってしまった。
バリバリバリという音もなく、
風に振り落とされるでもなく、
周りに構える余裕も与えず、
突然、ただ、ストーンと落ちてきた!
そういうこともあるんだと、その時学んだ。


そして昨日、
爽やかに晴れ上がった青空の下、
メモリーケアーのレジデント15名ほどが、コートヤードのセメント広場庭になって、
懐かしの歌をみんなで口ずさんで和やかな朝のひと時。
お日様大好きな私のクライアントは、皆とともに座ることもせず、
ただ、太陽の暖かい日差しを身体中に浴びるのが気持ちよくて、
広くよく整備された敷地内をあちこち散歩していた。
そして、ようやく戻ってきた時、それは起こった。
椅子に座って歌を歌っていた一人の老女が、
突然横に倒れ落ち、
コンクリートにそのまま頭から打ち付けた。
何が起きているのかも分からぬ皆の耳に、
傷んだりんごがストーンと木から落ちた様な音が伝わって
コンクリートの上に横たわり動かない老女の方を振り向き、
皆声も出ない様子だった。
瞬間的に私はその場の状況をアセスメントし、老女の方へ向かっていた。
動かさないで!という声で止められて振り返ると、
私のクライエントが助けようとこちらに向かっているのが見え、彼の元へ戻り、
まずは、彼と他のレジデントをこの状況から引き離すことが私がすべきことと判断した
(私は、ここのスタッフではなく、自分のクライアントのプライベイト介護士に過ぎない)。
その間、スタッフが、救急を呼び、レジデントを車椅子で建物の中に移動し始めていた。
老女はそっと そのまま誰も近寄る事なくほっとかれ、
たとえ、DNRであれ、
血のプールが広がる中、せめて、あの老女のそばについて、
手をとって、救急が来るまででも、安心させてあげたかった。
動かさなくても、できることはたくさんある;
意識の確認、バイタルサインのチェック、そして、意識の確保、緩和ケアー…
間も無く救急隊が来たのを確認し、
私はショックを受けているレジデントをtvルームに集め、
シックと悲しみを抑えながら、唇に歌を口ずさみ出したレジデントの肩に手を置き、
一緒にくちずさみ、一人また一人と加わって
歌声は、まるで、つい先ほどまで寝起きをともにしていたともの命を思いやる
賛美歌のように広がっていった。
アクティヴィティーコーディネーターが戻って来ると、バトンタッチし、
1分前のことも全く覚えていないクライアントとともに部屋に戻った。



それから、ずっと、
私の心は小さな枝で初冬の風に揺れる枯葉の様に揺れていた。

ストン... コトン..

あの音は何なんだ?
あれが、人生の終わりの瞬間の音なのか?
傷んだ果実が枝から落ちるように、
人の命も前触れもなく、音も立てずに
瞬きするように闇の中に落ちていくものなのか?

今まで、
死は、ベッドの上で、
夜明け前頂上を目指し最後の丘陵を登り終え、
頂上に立ち、眩しい朝日を浴びながら、
吹き上げる風に乗っ昇天する、
そんなイメージを浮かべていたロマンティストの私は、
かなりショックを受けている。



人生の最後、
死は、
命の誕生のドラマティックなものではなく、
暗闇の中に揺れるロウソクの火が尽きる、
誰も知られず、
たった一人の旅立ちなのかもしれない。

デパートの人混みの中でいつもなぜか孤独に見舞われ、
息がつまるような遣る瀬無さに陥る自分を思い出しながら、
人の死も、また、
人混みの中で起こっても、
ひとりぼっちの旅立ちなんだろうかとも思ってしまう。

一つだけ確かな事がある。
それは、私には、自分の命の最後に関して、
時や場所、状況の”選択肢” がないという事。
命の誕生の瞬間から死に向かって歩いているのだから、
誰もが一度は向き合う人生最後のイベントなれど、
これもまた、思うようにはいかないことのようです。
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